アットウィキロゴ

サーヴェリー姉妹-12


1

629 名前: FAT 投稿日: 2005/08/23(火) 17:31:36 [ MZGP9yjI ]

「フ・・・フラン?」

 ・・・・なんて顔をしてるんだ。あんたは。

「う・・うそ・・。ねぇ、うそでしょ!!こんなの・・・・。」

 ・・・・嘘なんかじゃない。あんたも見ただろう。目の前でフラン
が消えたのを。あれに仕掛けでもあるって言うのか?

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!」

 ・・・・おいおい、ご主人さまよ、しっかりしてくれ。俺たちだっ
て生きて帰れるか、分からないんだぜ。そりゃ俺もフランのことは
好きだったから、こんなことになっちまったのは悲しいぜ。でも、
ここで俺たちまで死んじまったらそれこそフランが浮かばれないだ
ろ?冷静になるんだ。ほら、くるぞ。


 ・・・今、フランを撃抜き、俺たちの前に立ちはだかるものは・・・

【ホワイトシェード】

俺たちサラマンダ族やイフリィト族の間じゃ結構有名な神獣だ。光
の化身だと言われているが、実際には気に入った場所を散々と荒し、
そこに定住しているものを根絶やしにするまで破壊の限りを尽くす、
そして満足すると別の場所へ移動し、これを繰り返す。悪魔みたい
な奴さ。

―――俺(137歳)が30歳くらいだったとき、こいつは俺たち
の住む、母なる赤山にも現れた。住みかを奪われた俺たちは一族総
出で戦い、何十匹もの仲間が殺られた。

 ・・・それでも、こいつは殺せなかった。

場所が気に入らなかったのか、そのときはすぐに何処かへと消え
てくれたが、まさかこんなところで出会うとは・・・・。



「おい!」
お、ご主人。やる気になってくれたか?
「だまれ。」
へ?お、俺に言ってるのか?
「そうだ。」

 ・・・ご主人の顔を見て、冷たく、体が縛り付けられるような戦慄
を思い出した。

以前にも・・そう・・あれはメラーという少年を誤って殺してしま
ったときだった。
当時ご主人はまだ9歳。それでも俺は彼女に恐怖した。あの時、俺
は火を噴き、それは確かに彼女を飲み込んだ。なのに・・・。彼女
は立っていた。それも平然と、何事もなかったかのように。

 ・・・俺は降参した。でなければ、殺されると思ったからだ。

9歳の女の子に? ああ、そうだ・・・。そうだった。

本当の彼女は・・・・・


「ふん、ようやく黙ったな。」
「さぁ、楽しませてもらおうじゃないか。」
俺から視線を外すと、ホワイトシェードの方を向き、笛を突き出し
戦闘の意思を示した。
それを見るなり、敵の口から静かな、だが強力な光の束が放たれた。

 ・・・一切の音を出さずに攻撃。だからフランもあんな簡単に・・・

文字通り、光速のビームはご主人を完全に捉えた。

ごしゅじーーん!!!

「・・黙れと言っただろう。貴様から殺すぞ。」
 ・・・どんなトリックなんだ?無傷で立ってるぞ。
「そんなものか、期待外れだな。」

ご主人はゆっくりと、敵に向かい歩き始めた。何度、ビームを受け
ても立ち止まることなく、怒りに満ちた目をまばたきもせず、確実
に歩を進めている。

「こんな雑魚にフランは殺されたのか・・・。滑稽なものだな、世
の中と言うのは。」

ホワイトシェードは早くもご主人に恐怖を抱いているのか、体が小
刻みに震えている。

――――本能で感じる恐怖――――

これに奴は蝕まれているのだろう。俺もそうだった・・・。

2

630 名前: FAT 投稿日: 2005/08/23(火) 17:32:22 [ MZGP9yjI ]
「貴様の犯した罪は重い。何せ私の最愛の人を殺したのだからな。」
そう言うと手にした笛で奴を嬲り始めた。たかが笛にそんな威力
が?と不審に思うほど、苦痛に顔を歪めるホワイトシェード。

「どうした?こんなものでフランの死の代償は償えんぞ!!」
「死ね、死ね、死ねーーーー!!!」

 ・・・もう、見てらんないぜ。

豹変してしまったご主人は、地面にうずくまるホワイトシェードに
対し、更に過激に暴力を振るう。もはや体は痙攣し、今にも息絶え
そうなほど弱っている。

「ふん、弱いな・・・。」
「なぁ、生きたいか?生き延びたいか?」
ホワイトシェードの触角を掴み上げ、意地悪そうに問う。うん、う
ん、と震えながら奴が首を縦に振ると、ご主人はその唇に艶かしく
口づけを交わした。

「ふふ、これで契りは結ばれた。貴様もこれからは私の下僕として
精進するのだな。」

はぁ?自分の姉の仇を下僕にってどういう考えしてんだよ・・・。

「名前は・・・フランでどうだ?」

はぁ?やめてくれよ、俺の時と同じ発想か?

「いや、それだと憎過ぎていつか殺してしまいそうだ・・・。」

はぁ?恐いこと言わないでくれよ。

「おい、メラー。何か案はないか?」

はぁ?あ、いや、すみません。そうですね、ホワイトシェードって
いう神獣ですので、無難にシェードっていうのはどうでしょう?

「却下。そうだな・・・よし、名前はクラープにしよう。」

はぁ?なんだ、その適当につけたみたいな名前。

「crapだ。意味は辞書を引けば分かる。にしてもメラーよ、貴様こ
の9年間で偉くなったものだな。フプレに甘やかされて育った結果
か?いちいち私の言ったことに反抗するな。貴様の考えていること
は全て筒抜けだぞ。」

え?

「分かったな。余計なことは考えずにただ私に従え。」

は、はい・・・っていうかフプレじゃないのか?

「体は一緒でも別ものだ。私はフプレではない。フプレの・・・。

フプレの・・・・なんだ??」

 ・・・・ご、ごしゅじん?

「くっ!!余計なことを言うな!!」

いてぇ!!殴ることないじゃないか・・・。

「はぁ、はぁ・・。いいな、とにかく私に従え。フプレはしばらく
出て来れない。その間に・・・」

ん?・・・・なんて顔してるんですか?

「世界を、ぶっ潰す。フランのいないこの世など・・・。私が消し
去ってやる・・・。」

 ・・・なんておぞましい・・・

ハッ!!いえ、冗談です。お供させて頂きます。・・・どこまでも。



<前   ▲戻   次>

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年07月08日 01:16