サーヴェリー姉妹-13
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655 名前: FAT 投稿日: 2005/08/25(木) 01:00:19 [ i9X7wmzk ]
・・・・あ・・・
・・こ・・こは・・?
―― 闇 ――
真っ暗な闇の中に私は立っている。
何も見えない
何も聴こえない
何も感じない
これが死と言うものなんだろうか?
あぁ・・・。私は死んでしまったのか・・・
フプレ、お母さん、ごめんなさい・・・・
レニィ、タカさん、クレナ。
さようなら、私の大切な友達たち・・・
・・・あ・・・
ひかりだ・・・ひかりがみえるよ。
まって、まってぇ!!わたしをおいていかないで、ねぇ、まって
よ!!
・・・きみは?・・・そう・・よろしく、なかよくしてね・・・
ここは・・さむいね・・。きみはどこからきたの?
え?まっていた?・・・わたしを??
あれ?ウィンディにスウェルファー??
あ・・・ケルビーにヘッジャー・・?はじめまして。
きみがよんだの・・?え?ちょっと、なにして・・・
・・・きみ、すごいね・・・なまえは?
ウィスパー・・・
あ、なんだろう、おっきいひかりが・・・
わぁ、あたたかい・・・
きもち・・いいなぁ・・
「おい、反応があったぞ!!」
「がんばれ、フラン!!がんばるんだ!!」
だれ・・?わたしをよぶのは・・・
「くそっ!!フラン、フラン、死ぬなよ、フラァァァン!!!」
タ・・タカさん・・・?
「タカ、平常心を保て、魔法に乱れが出てる。」
この声、レニィもいるのね?
それにしても、眩しいなぁ・・・。
もう・・すこしだけ・・寝ていよう・・・・
2
656 名前: FAT 投稿日: 2005/08/25(木) 01:01:17 [ i9X7wmzk ]
「おお!目が覚めたか!!」
「う・・・タカさん?」
「痛みはないか?何か食べるか?調子は悪くないか?汗、気持ち
悪くないか?」
「そんないっぺんに・・・。」
「おぅ、すまない・・・。」
「背中が痛むわ。お腹は空いてない。調子は・・・最低ね。」
ふと鏡の中の自分が目に入った。そこには青く、むくんだ顔の私が
映し出されている。
・・・誰よ、これ・・・
「ねぇ、タカさん。何故私はここにいるの?」
私はここと言ったが、決して見覚えのある部屋ではなく、周りに並
べられている薬品などから病院だと推測した。
「あぁ、一昨日、血だらけのお前が突然噴水前の広場に現れたって
街の人から連絡をもらってここに運び込んだ。ホントに酷い傷でな。
よく、生き延びたな・・・。」
「・・・なんで、私古都に帰れたんだろう・・・?」
「それはあれだ、お前のバッグに入っていた帰還の魔石の力だろう。
ほれ」
タカさんはデスクの上に置いてあった私のバッグを掴むと、私の膝
元に置いてくれた。
・・・バッグは一目みただけなら何の変哲もないが、ひっくり返し
てみると・・・
何もなかった。
そう、バッグは半分しか残っていなかった。半分は焼け焦げてしま
ったのだろう・・・。
そのバッグの上に、バラバラになった紫色の石がばら撒かれた。こ
れが私を救ってくれた石・・・。ありがとう、長老様。
「焼け方からしてバッグが背中にまわっていたんだろう。お陰で致
命傷を負う前に転送されたんだ。」
そう・・・運が良かったのね、私。
「そういえばフプレはどうした?」
「・・・・」
私は、答えられなかった。その後を全く知らないから。あれから二
日も経ったのか・・・。
まだ戻っていないと言うことは・・・
いやっ!!考えたくない・・・・
「すまない・・・。」
申し訳なさそうに下を向くとタカさんは部屋を出て行った。
私は、再び眠りについた。
入院してから一週間が経った。調子は大分良くなった。背中のヤケ
ドもそれほど痛まない・・・だが、髪が生えてこない・・・。
初めは気がつかなかったが、熱のせいか、後頭部の毛が全て抜け落
ちてしまっていた。毎日魔法で治療をしてくれているタカさんも、
ハゲを治すことは出来ないという・・・。
・・・フプレ・・・
毎日、夢にフプレが出てくる。18年間の思い出が毎晩毎晩頭の中
で繰り返し流れ、その度に涙を流す。
何故、私は生きているの?
何故、フプレを置いてきたの?
何故、私たちは村を出たの?
・・・あぁ、そうだ。村を、私たちが村を出たりしなかったらこん
なことにはならなかったんだ。静かに、母と三人で暮らしていれば
よかったのに、幸せだったのに・・・・・。
暗い顔をして沈んでいると、宿のおじいさんがひょっこり姿を見せ
た。私は急いでフードをかぶった。
「やぁ、お嬢ちゃん。具合はどうだい?手紙が届いてたから持って
きたよ。」
とかわいいクマ柄の封筒を渡された。母の大好きな柄のものだ。
「じゃあね・・・。お嬢ちゃん、体が良くなったら私のところに来
なさい。大事な話があるから。」
意味深に表情を硬くすると、足音も立てずに部屋を去っていった。
・・・恐い・・・
この封筒の中身は手紙だろう。その封を切るのが・・・恐い。
でも、見なきゃ、見なきゃいけない気がする。・・・勇気を出し、封
筒の口を手で一気に千切る。
3
657 名前: FAT 投稿日: 2005/08/25(木) 01:02:49 [ i9X7wmzk ]
フラン、フプレへ
元気かい?あたしはもちろん元気さ。手紙ありがとうねぇ、すご
く嬉しかったよ。タダのホテル?あんたたち、いやらしい仕事な
んてしてないだろうね?そんなことしてたらあたしゃ許さない
よ!!
まぁ、冗談だよ。仕事、特にバインダーってのは大変だったね。
なにさ、ネクロマンサーって!あたしたちでも会ったことないよう
な化けもんを、よく退治したねぇ。
さっそく、いい友達が出来たみたいで母さん安心したよ。・・・で
も、男二人と遊ぶってどういうことさ?あんたたちはかわいい顔し
てるんだから男共をうかつに近づけちゃいけないよ!男なんて何考
えてるんだか分かんない生き物なんだからね!!
こっちは相変わらずのんびりやってるよ。ただ、あんたたちがい
なくなって静かにはなっちまったけど・・・。
そうだ、子供、生まれたんだよ。トマクスの。あ、トマクスじゃ
分からないか、長老の子だよ!もうかわいくってね、男の子なんだ
けど、髪の毛くるくるで、指をキュっと掴んでくるのさ、もう、最
高だよっ!!さ・い・こ・う!!!
・・・こほん。えー、何が言いたいかっていうと、早くこの子を
抱きに帰っておいでってことさ。おっきくなっちまったら他人の子
なんて小憎たらしいだけだからね。今しかないんだよ!!
と、あたしがとやかく言うことじゃなかったね。でも、これだけ
は言わせておくれ。無理するんじゃないよ、あんたたちだけが、あ
たしの唯一の宝物なんだからね・・・・。
メイ=サーヴェリーより、愛を込めて
Oct.23
P.S.帰ってこないにしろ、手紙はちょうだいな!待ってるよ♡
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああん」
子供のように、声を張り上げて泣いた、泣いた、泣いた。
静かな病室いっぱいに泣き声は響き、声を聞きつけたタカさんが駆
けつけ、私を大きな両手でぎゅっとやさしく抱いてくれた。彼の胸
の中で身を縮め、気が遠くなるほど母への懺悔の言葉を繰り返し
た・・・・。
いつもと変わらぬ母の手紙に、フプレを置き去りにした私の罪の意
識だけが高まっていった・・・・
最終更新:2008年07月08日 01:21