あるウィザードが残したもの-5
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714 名前: 252 投稿日: 2005/08/31(水) 18:33:26 [ MzUs3tFU ]
あるウィザードが残したもの
・>>252 ―プロローグ、表紙―
・>>316 ―一頁目 誕生、そして襲撃―
・>>317 ―二頁目 少年時代―
・>>413-414 ―三頁目 蘇る悪夢―
・>>456-458 ―四頁目 二つの出会い(前)―
―五頁目 二つの出会い(中)―
・・・・・・
・・・・まぶしい・・・・・・
まぶしいよ・・・・・・父さん・・・・・・
「まぶしいってば・・・・・・」
私は誰にも聞こえるはずのない言葉をつぶやきながら、薄らと目を開いた。
温かい木漏れ日が私の顔を優しく照らしていた。
「・・・・・・。」
まぶしさで目が眩み、目から涙が出てきた。私は静かに目を閉じた。
さっきとは違い、既に記憶は戻っていた。少し前に目の前で起こった出来事が頭に焼きついている。
一瞬で風化してしまった者。体の大部分を失っても死ぬ事のできなかった者。血肉の焦げる臭い、悪魔達の叫び。
あまりに酷な形で花びらを落としていった、たくさんの命。まさに地獄のような光景だった。
―・・・・・・。
父が最初に日記に残した言葉が、もう理解できてしまったように思えた。
しばらくして目を開くと少し日が傾きかけていて、丁度私の足あたりを日が照らしていた。
肩の重荷を下ろしたように疲れがとれていた。私はゆっくりと立ち上がった。
立ち上がったとき、森のほうに目が行った。
一番最初に地に横たわっている青年が目に入った。
これが本当に父の記憶の中の世界なら、彼こそが青年時代の父である。
なんだかよくは分からないが、彼の周りには土が盛ってある。まさか土葬ではないだろうし・・・・・。
近づいてみると、その土は絶え間なく動いていた。まるで中を何かが流れているようだ。
ふと私はこれの正体を思い出した。体力を回復することができる、地脈の流れを利用した魔法である。
普通は一瞬で流れを見つけ出し、一定量を一回で回復するものだが、技を磨けば断続的に使うことが可能になるらしい。
彼を助けた男はどこにもいなかった。ただ周りに薬草の不要な部分が散らかっていたので、男に敵意はなかったことだけは分かった。
すると、辺りがだんだんと薄暗くなっていく。夕陽が没する速さとは全く違うようだ。
ゆっくりと周囲を見渡す間にも、辺りは昏々と闇に包まれる・・・・・。
突然視界が広がった。しかし、さっきまでとは全く違う景色だった。
私は一人埠頭に立っていた。潮風が当たり前のように髪を靡かせ、美しい夕陽が波間に映り、私の心に落ち着きを持たせてくれた。
しかし心を和ませている暇はなかった。後方から奇声があがると共に、銀色の鱗と巨大な鈍器を持った巨体が私に向かって倒れこんできた。
危なげなくそれをかわした私だったが、その時に視界に入ってきた光景は全く驚くべきものであった。
どこにこんな恐ろしい数がいたのか全く分からないほどの数。
しかしそれだけならまだ驚かないだろうが、その一つ一つが奇妙な形をしていて、不思議なオーラのようなものを感じるのだ。
それらがこれまた奇妙なコスチュームに身を包んだ集団と闘っていた。その集団は普通の冒険者とは一味違った雰囲気を漂わせている。
それ以上は何も分からなかった。三度あの自分の意思とは違う物が自分のまぶたを閉じさせたからだった。
道のない暗闇の中を彷徨っていた。そして、何かにぶつかるような感触がし、気がつくと長い廊下にいた。
いくつもの部屋があるようだったが、立ち上がった私はずっと一つの部屋の扉を見つめている。
直感的にどこかの扉を開けるべきだと悟った。だが、果てが見えない廊下の中でどれが何の扉なのか。
すると私の考えている事が全て筒抜けだ、とでも言うように目の前の扉が軋む。
しかし私がその扉の取っ手に手を掛けると中から鍵を掛けたような音がし、それは開かなくなり、軋みも聞こえなくなった。
途方に暮れかけていたとき、その扉から見て右手の少し奥のほうの扉が「やれやれ」とでも言うように、キィ・・・・・と軋みながら開いた。
不気味だと思いつつもその扉の前へと歩み寄った。しかし、中は暗くて何も見えない。
しかし何回も味わっていた闇とは何か感じが違い、知りたさの誘惑に勝てずに扉の中へと踏み入った。
最終更新:2008年07月08日 22:01