復讐の女神
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850 名前: 復讐の女神~夢~ 投稿日: 2005/09/15(木) 04:54:34 [ NedpEM66 ]
復習の女神~夢~
夜の帳がおり…。
私の隣には、愛する人がいる。
火照った体を撫で回す彼の手が、とても愛おしい。
「ジェシ、聞いてくれ。俺…前線に出ることになった」
まだボーっとする頭の隅で、きてしまった…と、思う。
彼は優しい人で、戦える人じゃないのに。
やさしく私の髪をすく彼の手が、なにか迷っているのだと私に告げる。
「お父さんの命令なのね?」
「違う…俺が志願したんだ」
お父さんに彼のことを紹介したときから、いつかこうなると解っていた。
あの人は、根っからの武人だもの。
そこで、ふと思う。
そんなだから、私は槍や弓なんて女らしくないものが好きになったんだと。
そして、だからこそ彼と知り合えたのだと。
「ねぇ、私も一緒に行ってあげようか?」
クスクスと、ちょっとおかしさがこみ上げてきて笑ってしまった。
彼は、初めて会ったときから未だ、私から一本も取れたことがない。
私のほうが、ぜんぜん強いんだから。
「私があなたを守ってあげる」
彼の手をとって、自分の頬に持ってくる。
訓練で硬くなった手のひらも、彼の優しさだけは止められない。
彼は、困ったように笑った。
「それはだめだよ、俺は君のお父さんと約束したんだ」
「あら、どんな?」
興味半分に聞いてみる。
「君と、婚約させてくれと」
夢が現実となり、私はただ彼を見つめるしかない。
「任せてくれ」
彼の自信にあふれるその顔を、私はしっかりと見つめた。
だけど、どんなにがんばっても、零れ落ちる涙ではっきりとは見えなかった。
あまりにも懐かしい夢を見た。
もう、ずっと過去のことだと感じてしまう、そんな夢を。
東の空が明るくなってきた。
そろそろ夜明けだろう。
そういえば、彼は夜明けが好きだったなと。
ふと、そんなことを思い出した。
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866 名前: 復讐の女神 投稿日: 2005/09/17(土) 17:00:38 [ NfaToNpQ ]
復讐の女神~優しき瞳~
「お父さん、お父さん」
剣の鍛錬を積んでいるお父さんに、私は駆けていく。
手には、先ほど自分で作った下手な弓が握られていた。
「見て、作ったの!」
お父さんに差し出したそれは、一番の自信作。
剣を振るのをやめたお父さんは、私の頭を一撫でして、
「うまいな」
と、褒めてくれた。
私はそれが嬉しくて、エヘヘと照れてしまう。
そして、お父さんが剣の鍛錬をする姿をじっと眺めるのだった。
お母さんが早くに死んでしまった私は、父の手一つで育てられた。
お父さんは戦う人で、いっつも急がしそうにしていたけれど、それでも私の相手をしてくれた。
お手伝いさんを雇えばいいのに、おばあちゃんが嫌がるからっておばあちゃんとお父さんで家事をやってた。
私もなんとなく、自分も家族の一員なんだって思って手伝っていた。
お母さんがいなくても、3人で楽しく過ごしていた。
そんなだからだろうか、私はお父さんが大好きだった。
ある日のことだった。
掃除をしていた私は、弓と槍を発見した。
使い込まれているのが分かるその姿は、だいぶ埃をかぶっていたが決して衰えることのない迫力を放っていた。
私は嬉しくなって、重いそれらを持ってお父さんのところへ向かった。
「見て、発見したの!」
私の嬉しそうな声を聞いて振り向いたお父さんは、それらを見てすごくビックリした表情をした。
「すごいでしょ」
私は嬉しくてしょうがなく、お父さんの表情に気づかなかった。
「お父さんに、見せてもらえるかい?」
私はうんと頷き、両手で抱えていたそれらをお父さんに渡した。
お父さんはいつも剣を使っているけど、これらもお父さんが使うものだと思ったから。
もしかしたら、もう使わなくなったものかもしれないと、勝手にそう思い込んでいた。
でも、受け取ったお父さんはそれらを懐かしそうに眺め、ふと泣き出してしまった。
「どうしたの、お父さん…」
私は動揺した。
お父さんが泣いた姿を、初めて見たからだ。
お父さんは、私の声を聞いてはっと慌てて涙をぬぐうが、止まりはしない。
「泣かないで~」
お父さんが泣いているのが悲しくて、私まで泣き出してしまった。
「大丈夫だよ…ちょっと昔を思い出しただけだ」
泣き出してしまった私をやさしく抱き、お父さんはそう言ってくれた。
「うぅ…ひっく……本当?」
「あぁ、本当だ。ほら、もう泣いていないだろう?」
お父さんは本当にもう泣いていなくて、うんと私は頷き、涙をごしごしとぬぐった。
「ジェシ、笑っておくれ。お父さんは、ジェシの笑った顔が見たいな」
私はちょっと照れくさかったけど、最高の笑顔を見せてあげた。
すると、お父さんはいつものように頭を撫でてくれて。
「ありがとう」
と、言ってくれた。
「ほい、おまちどうさん」
武器屋の店主が差し出すそれを、受け取る。
「うん、今回もいい出来だ。さすがね」
何本かの矢を確認して、そう頷く。
私が今まで見てきた中でも、やはりここの矢が一番出来がいい。
「いやいや、そういってもらえると嬉しいねぇ。ところで、何をみていだんだい?」
私がさっきまでぼーっと見ていた方向を、店主も覗く。
が、そこにはもはや何もない。
「ううん、なんでもないわ。ただ、ぼーっとしていただけ」
「そうかい。まぁ、また矢がなくなったらおいで。良いの作って待ってるよ」
「ええ、そうさせてもらうわ」
ウィンク一つ交わして、私は店を出た。
女の子が、父親の手を握って私の前を通り過ぎる。
一瞬そちらに目を向け、私は歩き出した。
最終更新:2008年07月09日 00:04