蒼眼の戦士-6
1
909 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/09/23(金) 10:17:23 [ 6DvRKaNU ]
蒼眼の戦士-6
人は罪を犯す、それは…何時のころから始まったのかは定かではない。幾戦もの時の流れの中で人は、誰かを傷つけ、そして贖罪と言う名の罪を犯した。
王家という象徴、何時の時からかそれは存在し、何百年というときの中で一つの王国を作りあげた。古にそびえ立つ王城、そこに流れ込むように導かれた幾戦もの戦乱。忠実なる王家の科学者達が作り上げた組織、それも今はもはや廃墟と化している。人々はその施設を”レッドアイ”と呼び、恐れていた。
そのレッドアイに所属する一人の魔法剣士、正しくは黒衣を身にまとい方目だけ深く切れ目が入った三角帽をかぶり、腰には二本の長剣がぶら下げられている。彼に名前はなかった。名前とは別に彼にはIDがあった。ADER1157というIDだ。彼はレッドアイに作り出されたホムンクルス(注意:ホムンクルスとは人工的な人型の人形をさす、魂及び感情を一切持たない人形と呼ばれる存在。)だった。彼には一つの任務が与えられている、それは天井から降り注いだ一つの宝石の探索だった。人々が悪魔と呼称する存在より先にその宝石を見つけ出し、持ち帰る事、それが彼に与えられた一つの任務だった。
生成されてからドレぐらいの時がたったのだろう、彼は名前を貰った。ADER1157のADERをアデルと略された名前だった。かれはこの名前が気に入っていた、そして忌み嫌っても居た。
名前をつけたものの名は”キミト・スティール”という女性だった。リンケン北東部でモンスターに囲まれて倒れようとしていたときの話だ。キミトはどこからともなく現れ、そして一つの本を広げるとそれを詠唱した。すると本は光だし、その本は次第に魔物の姿へと変わる。とても大きく、体全体は青い色をした虚心兵だった。人々はこの存在をオーガと呼称する。オーガにも名前があった、ステンドバックという名前だった。彼女は見たところ冒険者には見えない、とても幼い顔立ちでそれ程身長も高くない、見る限り15歳程度の子供だろうと推測される。これが噂に聞くサモンジュールの能力を生まれながら持ち合わせたサモナーという人種なのだろう、決して穢れる事のないその純白な心は、度々モンスター達の心を沈め、自らの配下へとおくことが出来るというビーストテイマー。この二つの能力を持ち合わせた人種が、極東の小さな村に存在すると聞いた事はあった…見るのは初めてだった。
2
910 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/09/23(金) 10:17:48 [ 6DvRKaNU ]
私は彼女についていく事にした、彼女もまた…家で寝込んでいる母親の病気を治すためにあの宝石を探し回っているとのこと。彼女についてゆけばきっと手がかりは得られる。そう確信していた。だが…もし見つけ出す事が出来たとして、私はそれをどうすればいいのだろうか。彼女を殺してまでも手に入れる必要性はあるのか、はたまた命令を無視して彼女と共にその村で安静に暮らすのもいいものだと私は考える。名前をくれた人、それが彼女だったからだ。
私に名前が付いてから幾日が経っただろう、時間の流れが変わったのは多分あの日から。彼女について旅をしてから一ヶ月が経過しようとしていたある日の事。私たちは宿場であるリンケンに戻り、一息を付いていた時の話だ。突然リンケンで爆発騒ぎが起こった。当然正義感が強いキミトは自分達の部屋を飛び出してその現場へと向かう。そして彼女はその爆発した家の中に飛び込み逃げ遅れた人々の救出に向かった後…二度と姿を見ることはなかった。
そして再び私はリンケン北東部へとあの宝石を捜しに出た、そこで出会った戦士が”ベルスタッド”であった。体力、気力、精神力ともにトップクラスの戦闘要員。私より遥に強い人間でもあった。
「ほう…それじゃぁあの宝石を捜すのにこれだけの時間を容易たということか。」
「あぁ、いくつ物生と死を見てきた。最良の時間というのは流れるのが早いと感じる時もあった。」
ようやく見つけ出した宝石の手がかり、それをベルと一緒に探しに行くと約束を交わし、今剣を交えている。
「最後に一つ、近年まれに見る面白い話をしてやろう。」
「…なんだ?」
ガキンと金属音がぶつかりそこから火花が飛び散っているさなかの出来事。ベルは一つにやりと笑うと楽しそうに自分が犯した罪について語りだした。
「あれは三年前の出来事だ、今日みたいにとても暑い日でな。希少種と謳われたあのビーストテイマーを見たんだよ、全身青い肉体を持つオーガを配下に従えててな。俺はその時丁度機嫌が悪かったんだ、そこで酒場で揉め事をしてよ…ついついその酒場燃やしちまってさ。その火が偶然にも隣の民家へ燃え移り、人々が逃げ始めた時の事だっけな。」
「…っ。」
「一人のかわいらしい女の子が馬鹿みたいに燃え盛る家の中に飛び込んで行ったんだよ、それがビーストテイマーだったって話しさ。いやぁ…可哀想なことをしたとおもったよ…はっはっは。」
「…。」
ベルはその時気が付いた、自分にのしかかる異常までな圧力を。それはすぐに分った。
「…貴様が…貴様がぁ!」
ガキンとアデルは剣を弾いた、そして後方へと両者はとんだ。アデルは両手に剣を構えた状態で何か詠唱を始めた。すると着ているコートはバタバタと風になびくようなそぶりを見せると突如足元から炎が沸いた。
「っな!」
突然アデルの姿が消えたと思った刹那、自分の体に何かが突き刺さる感覚を覚えた。それはアデルの剣だった。心臓を一突きにされたベルはそのまま生命を絶たれた。
3
911 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/09/23(金) 10:18:10 [ 6DvRKaNU ]
それから幾月が経っただろうか、私の体は寿命を迎えようとしていた。今はもうない組織にも変えれず私は使命を果たすことなく尽きようとしていた。そして…私は彼に出会った。
「これが私だ。」
「…。」
アレンは訪韓している、アデルの全てを聞かせれ、何が起こり何が始まったのかを聞かされた。これから始まる事、それは神への冒涜だと悟るまでそれほど時間は掛からなかった。
「結局のところ…あの石は実在しているのですか。」
「実在はする、そしてそれはお前のすぐ側にある。」
アレンは少し驚いた顔でアデルを見た、その石のありかは自分のすぐ側にあるという。
「あの石は絶対的な力を持つ、その石が奴を断つ唯一の力となるだろう…探すのだ、近すぎて見えない力はすぐ側にある。」
暗い部屋に一つの光が差し込み始めた、それと同時にアデルの姿と私の姿は薄くなる。最後の言葉と思われるアデルの声を強く記憶し、私はその光の中で体をゆだねた。
蒼眼の戦士-6
END
最終更新:2008年07月21日 22:43