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あるウィザードが残したもの-7


1

948 名前: 252 ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/25(日) 23:02:13 [ 8pPaSviQ ]
あるウィザードが残したもの

―七頁目 帰路にて(前)―

「なるほど、その水晶があなたをここまでワープさせたんですね。」
リフの手の上の透き通った水晶は、昏々と色を濃くしていく空と協調するかように『黒』という色を得て、得意そうにきらきらと輝いた。
先ほどの道を引き返した二人は、そのまま南へ伸びる道へと進んだ。石のタイルがなくなり土がむき出しになった道は、非常に歩きにくかった。
「メリックさんは何故あんな町外れにいたんですか?」
今までメリックが質問し、それをリフが返すという会話が続いていたが、今度はリフが話を切り出してきた。
「あぁ、・・・・そっちに大きな力を感じたもんだから、なんとなく引き付けられてね。」
辺りが暗いせいでメリックの顔つきはよく分からない。しかし声の調子から、それは彼の本心ではないような感じが読みとれた。
「その格好からすると・・・・魔法使いですか?」
「うん、そうなんだ。生まれが魔法使いの家だったし、魔法は嫌いじゃなかったし。
 本当は僕は交霊術に憧れていたんだけど・・・・。」
「交霊術は諦めてしまったんですか?」
「才能がなかっただけさ。人間の中でも限られた人だけが使える能力だからね。
 それからはずっと天体に興味をもってる。
 ブルンネンシュティグにはわりと研究設備が整ってるみたいだし。」
「宇宙ですか・・・・。」
リフは既に星がいくつか散りばめられた空を少しの間眺めていた。メリックも暫し立ち止まり、彼女の横顔と星空を眺めた。

ふとメリックは、道に人通りがないことを確認しながら立ち上がり、リフに向かって囁くように話しかけた。
「ブルンネンシュティグの町からは、あまり綺麗に見えないみたいなんだ。
 よければ今夜ベストスポットを紹介しようか?」
―・・・・・!?
もちろん私は驚いた。父がその日初めて出会った女性を夜の散歩に誘う、なんてことは夢にも思っていなかったからだ。
(まったく、私の父はこんな人だったのか・・・・。)
私が今まで持っていた父への尊敬が少し崩れた。
「わぁ、本当ですか?もちろん行きます!」
―ほらね、残念でした。やっぱり断られ・・・・
 ・・・・・・えっ、何故にOKを?
こんなにホイホイと行くなんて言って・・・・。この女性は何を考えているんだろうか。

2

949 名前: 252 ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/25(日) 23:04:32 [ 8pPaSviQ ]

「おっと、そろそろ川が見えてくるはずだ。あぁ、もう見えてきた。」
前のほうを見ると、確かに水が流れているようだ。暗くてその姿はよく見えないが、その流れる音のおかげで存在くらいはわかった。

―こ、これは・・・・・・。
今まで見たことのないほどの大河。しかも、辺りを見回しても橋は一切架かっていない。
リフも同じことに気づいたようで、首を動かして橋をさがす。
私ももう一度見回してみるが、やはり橋らしきものは見つからなかった。
「あの・・・・メリックさん?ここ、どうやって・・・・?」
リフが少し心配そうにメリックに聞いた。それにメリックが対応する。
「浮遊魔法で川を渡るんだ。それにさん付けはいらないよ。」
メリックは自分の杖を取り出しながら、再び空を見上げた。
つられて空を見上げると、いつの間にか満月に近い月が昇っていた。道の両脇の廃墟がくっきりと浮かび上がった。
杖は多分軽い金属でできているのだろう。月明かりに照らされたその杖には、僅かではあるが光沢がある。
「ちょっと失礼。靴に魔法をかけるよ。」
リフが返事をするまえに、メリックはリフのシューズを杖で軽く叩いた。
風が吹き抜けるような音がして、リフは体ごと空中に持ち上がった。メリックは自分の靴にも浮遊魔法をかけてから杖をしまった。
「・・・・・・。」
「さあ、急がないと。」
「メリック~・・・・」
川の上に足を踏み入れていたメリックが振り返ると、リフは空中にしゃがみ込んだままだった。
「どうかしたのかい?さあ、早く立って・・・・」
「メ、メリック・・・・立てないの・・・・。」

少しの沈黙。

「・・・・・・仕方ないなぁ。さ、手につかまって。」
そう言って顔を傾け、自分の右手を差し伸べた。
その顔は、月の青白い光に照らされていてもはっきりと判別できるほど紅潮していた。
「・・・・ありがとう。」
リフも頬を少し赤らめながら、その手をとって立ち上がった。


―・・・・ん?そういえば私はどうやって川を渡るの?
.・・・・・・。


幸いにも、それから私は例の瞬きのおかげで川の向こう側に渡ることができた。
川を渡り終え、浮遊魔法の効果が切れてお互いの手が離れるまで、二人は何も話さなかった。



続き投稿っと。
・・・・・・あれ?何だか物語が変な方向にすs(ry


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最終更新:2008年07月21日 23:40