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私はもう十分に熟達したランサー。
少なくとも自分ではそう思っていた。
だからどんな場所でも独りで切り抜けられる…はずだった。

今日、初めて来てみた。ここは薄暗い洞窟。
床のあちこちに、冷たくかび臭い水たまり。
尻尾の毒針から紫色の液体を滴らせて獲物を待ち構えているサソリの攻撃をステップで避け、
この間習得したばかりのオウサムフォートレスで全身を貫く。
まだまだぬるい。この狩場は私には合わないようだ。
そして私は歩を進め、下へ下へと進んでゆく。

槍対槍。この戦いがどれほど厳しいものか、私は今までに体験したことがなかった。
コボルト系の敵は概して槍術に長けていない、弱いものだと教わっていたし実際そうだった。
だがコイツは違った。
コボルトの上位モンスターにして槍の達人・ファミリア。
予想外の回避・命中能力の高さで、私は徐々に追い詰められていった。
それに見た目に反してかなりの体力がある。
旋風で距離を離そうとするが、相手もこれを悉く回避してくる。
ついに私の手から槍がこぼれ落ちた。攻撃を防ぐつもりで出した槍が勢いよく弾き飛ばされた。
醜く歪んだファミリアの顔がこれでもかと言わんばかりに大きく見える。
(もうダメだ!!)
ファミリアが私の心臓を狙って槍を突き出し…
 ガスン!!!
何かが目の前を飛び、激しい音がするのと同時に、私の足元にファミリアの槍が転がる。
いや、しかしその槍は真ん中から折れ飛んで、原型を止めていない。一体なぜ…?
「早く反撃を!!」
どこからか、男の声が聞こえる。
その一言で、焦っていた心は一気に冷めた。私は槍を探す。
後ろに転がっていた自分の槍を拾い、ファミリア目掛けて正確に素早い突きを放つ。
一撃はファミリアの急所を捉えた。敵が倒れる。

「危ないところだったな」
近寄ってきたのは、一人の剣士だった。私と同じく、ここへは独りで来ているようだった。
「俺の盾、役に立てたか?」
剣士は自慢げに彼の盾を見せる。
鈍い銀色の表面に、かすかな青い光。
「その盾…」
「ああ、これね。『武器破壊攻撃』っていう魔法が掛かってるんだ」
彼はその盾を投げてファミリアの槍を折ったのだと説明した。
それにしても、重そうな盾を軽々と放り投げ、細い槍に正確に当てるとは大した実力だ。
私が少し微笑むと、彼は照れくさそうに頭を掻く。
「いや、その…」
「?」
「すまねぇ。横殴り、しちまったな」
申し訳なそうにこちらを見る彼の顔が、ちょっと可愛く見えた。
「気にしないで。私のほうこそ、ありがと」
私は、彼と一緒にそこで狩りをすることにした。


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最終更新:2009年06月03日 20:46