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【冒険者(?)アベル】

「こんにちは…。あなたも冒険者さんですよね?」
井戸端オークションの帰りに、かわいいお嬢さんにナンパされた。ラッキー。
「ハイハイ、そうですよw」
「ひとつ仕事をお願いしたいのですが…。」
ナンパじゃなかった。でもまぁ。
「…美しい方からのご依頼、喜んでお助けいたしましょう!」

その内容はというと。
「実は父が冒険に出たまま行方不明になってしまったんです。心配で心配で…。探して下さい。」
どうやら、グレートフォレストにいることは分かっているらしい。
「まかして下さいっ!」

というわけで森をさまよう。
同じところを何度かグルグル回ったが、
テント…というにはかなりしっかり木が組んであるログハウスを発見!
その周りでなにやらソワソワと落ち着きなく動いているのは…。
「もしもし、あなたがアベルさんですか?」
「ぇぇぇっ!? そ、そうですが…。」

実はかくかくしかじか、娘さんがあなたを探してましたよっと。
「む、娘がよこしたのか。じゃあこれを届けて安心させてやってくれ。」
「はいはい。OK~。」
しかし、なぜあからさまにホッとするのか。妙にソワソワしてるし、な~んか怪しいこの親父。

街にもどって、かくかくしかじか。
「というわけで、これが証拠。まぁ、元気そうでしたよお父さん。」
「そうですか…。でも長旅で色々と困っているかもしれません。この手紙とこれを届けてくれますか?」
えっ、あそこ遠いんだよな~と思ったけど、女性の頼みは断らないのが信条だ。
「はい。かならずお届けいたしましょう。」
「言うまでも無いですが、中身は見ないで下さいね?」

再び森。
もう道は憶えたから、だらだらと長いだけの退屈な道。
たまに熊さんが追いかけてきたりするが、すたこらさっさっさのさ~♪
問題はない。だが、しかし。
美女と怪しい親父、手紙、そして見たことのない薬…。
な~んかにおうぜ。スリルのにおいがな。
「…そ・れ・に。見るなと言われると見たくなるのが人の心ってぇモンさ~www」
KGB直伝の技術があれば、封を切らずに中身を見るなんてのは朝飯前。
「どれどれ。」

『お父さん、まだ元気ですか?生きていますか? 私は元気です。
 お母さんはまだ怒っています。お父さんが逃げ出したから、もっと怒っています。
 今日もお父さんを探しに出かけました。
 ハノブで見かけたとウソの情報を教えたので、まだしばらくは平気だと思いますが、
 どうか早く帰ってきて下さい。そしてお母さんに謝って下さい。
 このままだと、お母さんはますます…怒り狂うことでしょう。
 この手紙と一緒に、フルヒールポーションを送ります。
 人に頼んで遠くの町から取り寄せた、すばらしいお薬です。
 これを飲めば、お母さんがドメスティックなバイオレンスにはしっても、
 お父さんは半殺しですむと思います。
 一発焼きを入れたら、お母さんもきっと許してくれると思います。
 今ならまだ間に合います。早く帰ってきて下さい。  -娘より- 』

「・・・・。」
想像していたスリルとは、かなり方向性の違う生々しいバイオレンスな展開だった。
アベルさん…、男らしくないッス。
でも仕事は仕事。
CIA独自の方法で手紙を封筒に戻すと、何事も無かったかのようにアベルさんに手渡した。

「ハハハハハ、こりゃ、悪かった。娘が短気なものでね。これはお礼だ。」
つかオッサン、笑いがむちゃくちゃ乾いているぞ。
それに、実のところ短気なのは娘…じゃないんだろ?
「これをあげるから、私の居場所は黙っていてくれ…。」
お礼…ってか、口止め料じゃないかコレ。

靴と帰還の巻物をもらって、ていよく追い払われた俺だった。
しかしなんか、ちょいと小汚い靴だなぁ。サイズ合うのかよ?
と、なかじきをのぞきこむとそこには…
[試作靴1号]
という文字が。ちょうどサイズはピッタリだったので履いてみる。
…なんか、足が少し早くなった気がする。

「しっかし、試作品1号…ってことはアベルさん…。」
あぁ、まだまだ逃げる気マンマンなのな…。
まぁ、なんだ。母ってな無敵に強いが、死ぬなよオッサン。
美しい娘さん。次は、どこかにあるという復活の巻物でも探して届けてやれよ…。

俺は冒険者。
新たな冒険を求めて明日も行く~。


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最終更新:2009年06月03日 20:51