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"ウルフマン"


俺は幼いころから何か違った。
俺の生まれた街「スマグ」。
ここはウィザードが多いことで知られていた。そんな俺もウィザードだった。
みんな幼いころから魔法について学び、それぞれ、補助魔法を極めるものもいれば、
攻撃魔法を覚えるものもいた。どちらにせよ、冒険パーティーを組むときには
必要とされる存在だ。しかし俺は他のやつらとどこか違った。
ファイアーボールも撃てなければ、エンチャントもできない。ましてや
上級魔法のメテオなんて夢でも撃ったことはなかった。
そんなウィザードの落ちこぼれとなってしまった俺は、勉強も修行もすることもなく、
毎日空ばかり見上げていた。日が昇ってから落ちていくまで・・・
そんなある日、俺は自分の体が変化していることに気づいた。
全身の毛が濃くなっているし、2足歩行もだるくなっていた。周りのやつらもあまり近づかないようになり、
俺は一人ぼっちになっていた。だが、むしろそんなことはどうでもよかった。
魔法の使えないウィザードなど誰が相手にしてくれるだろう?
もう一人で生きていこうと思っていた。

そんなある日、やつらは突然襲ってきた。レッドアイのやつらだ。
やつらはスマグに伝わる上級魔法の秘伝の書を奪おうと襲ってきたのだ。
ウィザード達は得意の魔法で次々に敵をなぎ倒していく。
俺の出る幕などないだろう。俺は物陰に隠れてじっとその戦いが終わるのを待っていた。

しかし、何時間経とうと戦いは終わらない。何故だ?スマグのウィザードの魔法で倒せない敵など
存在するのだろうか?俺はそっと物陰から顔を出した。そこにはレッドアイでも魔法に長けている
レッドアイ魔法師というやつらがいた。やつらにはスマグのウィザードたちの放つファイアーボールが
ほとんど効いていないようだ。苦戦する仲間たち。いや、やつらはもう仲間じゃない。
俺を避けていたようなやつらだから。俺は少し気味がよかった。俺を馬鹿にし、避けてきたやつらが
苦しんでいるのをみて。しかし、俺の気持ちは一瞬で豹変した。

レッドアイ魔法師の放った魔法が俺の母親に当たったのだ。
俺は唐突に怒りに襲われた。
気づくと無我夢中で走っていた。怒りに満ちた顔は牙がひかり、いつの間にか伸びてしまった爪も
敵を切り刻まんと、鋭利になっていた。俺の爪はレッドアイ魔法師を切り刻み、牙は敵の肉をも抉り取った。

それを見たレッドアイ魔法師たちは一斉に逃げ始め、さっきまで物陰で隠れていた俺は
一瞬にして英雄扱い。もちろん嬉しかったが、さっきまで物陰で仲間がやられるのを
面白がっていた自分が情けなかった。

あとで自分が一体どうなってしまったのかを長老にきいたところ、
どうやら俺は「ウルフマン」という、ウィザードの特殊変異型になってしまったのだという。
ウィザードの中でもほんの稀に現れる現象で、その物理攻撃力は、
剣や槍をも越えるという。俺はいつの間にかスマグ最強の物理職になっていた。
俺を避けるやつもいなくなっていた。
だが・・・・
問題は山積みだ。
とりあえず、この毎日毎日伸びてくる毛はどうにかならないのか・・・
強くなっても、仲間ができても俺の悩みは消えない。


END


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最終更新:2009年06月03日 20:56