ギルド戦終了まで残り1分です
1
BISが悲鳴を上げる。
相手側の戦士が無慈悲にも巨大な剣を振り下ろす。
瞬間的に目を背ける。
油断していた。まさか戦士が1人で乗り込んでくるとは思っていなかった。
ギルド戦には慣れていたつもりだったが、却ってそれがいけなかったのか。
意思に逆らい瞼をこじ開ける。
BISは肩口に大きな裂傷を負い、噴き出した血の海に倒れていた。
乗り込んで来た相手戦士相当なてだれである事が容易にわかった。
同時に恐怖に襲われる。必死押さえ込むが、押さえきれない。
相手戦士が空で剣を薙ぎ、べたりと付いた血液を振り払う。
こちらに体を向ける。冑の間から目が覗いていた。その目は笑っていた。
怒号と共にこちらのメンバーが戦死に一斉攻撃を仕掛ける。
アーチャーは火矢を放ち、Wizは攻撃魔法を詠唱する。
しかし、戦士はこちらを恐れる事なく突進してくる。
ここは俺が止めるしかない、俺は相手に向かって駆ける。
ガキリと金属同士がぶつかり会う音が響き渡る。
「皆!攻撃の手を休めるなこの戦士に集中砲火だ!」
そう叫び、再び相手と睨み合う。
剣の手を緩めれば致命傷になりかねない。だが、いつまでもこうしている訳にもいかない。
戦士は後衛の攻撃を受けるものの、一向に体力は減らない様だ。
このままでは埒が明かない…そう俺が考えていた時だった。
「相手本隊がこちらに向かってきます!」
こちらの斥候の悲鳴とも似た叫びが響き渡る。
このままこの戦士に構っていては、全滅は明らかだ。
「皆、散らばれ!生き残れ!」
咄嗟に叫んだ。俺以外のメンバーが散らばり、周辺からいなくなる。
「(これは勝負をするしかないかもしれない…)」
このまま膠着状態が続いても、相手本隊がここに到着すれば俺はすぐに倒れるだろう。
2
「勝負だっ!」
俺が叫び、剣を高く振り上げる。
相手は笑い、軽々と剣を受け止めた。そして、逆に俺の腹へと重い一撃を叩き込む。
衝撃と共に鈍痛が全身を襲う。攻撃を直に受けた鎧が変形していた。
「うっ…」
俺は衝撃に呻き、体制を崩す。そこに再び戦士の一撃が入った。
腹に冷たい感触が伝わる。
相手の剣が鎧を貫通し、横腹を切り裂く。
血液が溢れ出し、火のように熱くなる。
悲鳴を上げて俺は倒れた。ショックのせいなのか、腕にも足にも力は入らなかった。
冷静さを欠いた俺は、この状況を散らばって相手側とゲリラ戦を交えているであろう
仲間に伝える事すら忘れていた。
ひゅうひゅうと荒い息をしながら鎧を見ると、自分の血でべっとりと赤く染まっているのが見えた。
見上げると相手戦士がこちらを見下ろしていた。
ただニヤニヤと笑い、苦しんでいるこちらを見ていた。
ショックと失血のせいで意識が朦朧とする。目の焦点が怪しくなる。
『ギルド戦終了まで残り1分です』
アナウンスが流れた。
すると相手戦士はもう終わりか、とでも言う様な顔をして宙を見上げた。
「雑魚なんて相手にしてらんねーな」
そう呟くと、相手はもう一度うずくまっている俺を見た。
そして俺の頭に蹴りを入れた。
その瞬間俺は意識を失い、闇に身を委ねた。
-----気が付くと古都に降り立っていた。
治療師のおかげで傷は塞がっている。
続々と仲間が降り立つ。皆口々にお疲れ様と言う。
そういえば勝敗はどうだったのか。聞こうと思ったら皆集合場所に移動したようだ。
古都の喧騒をバックに駆け足で俺は向かう。
おしまい。
最終更新:2009年06月04日 04:29