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蒼眼の戦士-1


1

 荒野を過ぎ、多分みどりの森が広がるこの大地。アウグスタ近郊の海岸線の途中、外は相変わらず雪が降り続いている。
その中、旅人の三人は神聖都市アウグスタを目指し歩いていた。
思い足取りをゆっくりと動かしながら、寒い潮風に耐えながら歩いている。
「…アレン君。」
「何ですかミル…。」
数時間前に動かしていた口を再び動かし喋りだしたミル、ソレとは対照的に一言だけ返し前を向いて歩き続けるアレンとミト。
「…前から思ってたんだけど。」
ザクザクと音を立てて歩いているミルの足音がぴたりと消え、その瞬間に全ての音が止んだ。
「何であなた達二人とも浮いてるのよ!」
槍を杖代わりにして歩いていたミルは既に限界を感じている様子だった。この三週間で降り続いた雪は既に積雪が二メートルにまで達している。その中炎の力で道を作りながら浮いているアレンと交代で道を作るミト。その後ろ遥後方でふらふらになりながら何とか着いてきているミルの姿があった。
「私は呪文で浮いているんです。」
「私は…昨夜アレンさんが靴に細工をしてくれたおかげで…。」
二人は顔をあわせて少し困った様子でミルのほうを同時に向く、まだ後方三百メートルぐらい離れていは居るだろうと思われるミルの姿が少し小さく見えた。
「…仕方ないですね、ミル…私は浮遊術を解くので道を作ってください。」
「どうやって作るのよ、こんな堅く降り積もった雪を私なんかが。」
「方法はあります、とりあえずそこでへばってないでこちらまで来てください。」
アレンは額に汗をかきながら少々疲れた様子で浮遊術を解いた、そして精神を集中させていつでもその方法が出来るように準備をする。
「はい、では私が合図をしたら槍を頭上でクルクルと回してください。」
「え、たったそれだけ?」
「はい、それだけです。ミト、私と一緒にミルの後方へと下がりますよ。」
ミトは言われたとおりにアレンと共にミルの後方へと下がった、そしてアレンは詠唱を始めだしミルはいつでも槍を振り回せる状態を整える。
「行きます…今です!」
アレンは大声で叫ぶとミルはソレに合わせて頭上でやりを振り回す、アレンはそのやりに炎の弾をぶつけ槍の回転と共にその炎は徐々に渦を巻きあたり一体の雪を徐々に溶かし始めた。
「二時の方向に槍を全力で振り下ろしてください。ミト、矢の準備を。」
「え、こう?」
ミルが槍を全力で地面へと叩きつけた瞬間、ミトがその振り下ろされた槍にまとわりつく炎を矢で射る。するとその炎は矢に吸着するようなカタチで矢にまとわりつく。
そして振り下ろされた槍から直線状に炎が吐き出され、直線上八キロの雪を一瞬にして溶かす。その先をミトが放った矢が雪を溶かした。
「…これで文句は無いでしょう…さぁ歩きますよ。」
呆気に取られる二人をよそ目にアレンはすたすたと歩き始める、その後ろから一息置いてから二人は歩き始めた。
「…ねぇミト。」
「はい。」
ミルは隣を歩くミトにちょっとした疑問を感じ、それを相談する。
「アレン君って、もしかしてものすごいウィザード?」
「…かも、ですね。」


2

「さぁ、着きましたよ。」
三人が到着したのは港町ブリッジヘッド、ワインと塩の産地であり漁業が盛んな町でもある。そしてこの町には数々の冒険者達の憩いの場としても有名な場所であった。
この町から東に二十キロ先に行った所でトワイライトの滝という場所がある、そこでは我先にと冒険者達が自分の実力を試すために日々戦闘に明け暮れている場所だと聞く。
そこからさらに二キロ先にあるソルティーケーブという場所、通称塩の産地。その名の通りこの町での産物である塩はソルティーケーブにて採取されたものばかり、冒険者達が持ち帰ってくるソレを商人たちが買い取り、それを船に乗せて砂漠の町アリアンへと売りさばく。これがこの町の商売としての成り立ちであった。
「とりあえずは宿屋ですね、場所をその辺の人にでも…って。」
アレンはあたりを見渡す、だが町にはひとっこひとり居なかった。アレンの後ろからへとへとになりながらやっとの思い出到着したミルがひょっこりと顔を覗かせる。そしてミルの目にも人影は全く映らなかった。
「おかしいですね、この時期漁業で忙しいというのに…漁協組合の人すらいないとは。」
「アレン君、この雪じゃ漁業とかそういう問題の前じゃないのかな?」
「…ですかね、やっぱり。」

アレンとミルはミトを囲むようにして戦闘態勢をとる、アレンは背中から杖を取り出しミルは持っていた槍を両手で構えて腰を低くする。
その二人の背中に囲まれるようにミトは琥珀の人を取り出し矢を一本仕掛けて丁度おへその前辺りで構えた。
「道中、モンスターが一匹も居なかったもの気がかりですが…いよいよ何かありそうですね。」
「かもね、先手必勝と行く?」
ミルが楽しそうにそうつぶやくとミトは急に頭上へと数本の矢を勢いよく発射した、そしてアレンはミトに浮遊術を掛けるとそのままミトは空中へと跳躍し弓を構える。空中からは物陰に隠れているモンスター達の姿がいくつか確認され、ソレに向かって散弾型の矢を数発撃つ込んだ。
「永久より来たれし悠久なる焔、黄昏と共に渦巻き深遠なる暗闇へと帰れ!」
アレンが詠唱を始めた瞬間ミトが放った矢が地上へと突き刺さり、そして爆発を起こした。ソレと同時に数体のモンスターが姿をあらわして詠唱中のアレンへと襲い掛かった。その行く手にミルが立ちふさがる。
「詠唱中の人に攻撃仕掛けるなんて酷いんじゃないの?」
ミルは体制をさらに低く落とし襲い掛かってくるモンスターに突進する。大きな棍棒を振り回すオーガに分身を作ったような錯覚を感じさせるような素早い動きで体の数箇所を突き息の根を止める。さらに後方から襲い掛かるモンスターの初撃を交わして背後へと回り込む。
「喰らいなさい…。」
ミルは一つ笑みを浮かべて一匹のモンスターを踏み台にして上空へと跳躍する。そして精神を集中させてモンスターの中心に狙いをつける。その技はかつて有望といわれた一人のランサーが得意とする技だった。
「やぁぁぁぁぁぁ!」
狙いを定めた場所へ魔力を帯びた槍を放り投げる、ものすごい勢いで飛んでいく槍は地面に突き刺さると当たり一体に電撃を放つ。その電撃で十数匹居たモンスターは全て感電する。
「…終いです。」
アレンはにやりと笑みを浮かべて詠唱を終了させ右手に持っている杖を空高く突き出した。
「降り注げ…永久なる焔!」
アレンの頭上に一つの亜空間が出現し、その中から大量の隕石が落下し始める。その隕石は大きさすら小さいものの、町ひとつぐらい消し去るほどの破壊力を帯びている。隕石はモンスター目掛けて落下をし、アレンの目の前に居るモンスターの全てを焼き尽くした。


3

「…うわぁ。」
ミトとミルが同じタイミングで地上に降り、アレンの底力を見せ付けられ呆気に取られている。
「…そんな大掛かりな魔法つかっちゃって大丈夫なんですか?町がこなごなに…。あれ?」
ミトはようやく浮遊術が解かれ地面へと足をつけ、そして町全体を見渡す。だがアレンが放った魔法の損壊は全く見られなかった。
「あの魔法を放つ前に町全体に魔法防御を展開したので、ダメージは無いはずです。あの魔法も小惑星郡の中から一部の小さな流星群を呼び寄せただけですから、そこまで大きな破壊力は無いんですよ。」
アレンは自慢げに事細かく自分がやったことに対して説明を入れる、その説明を受けてミルとミトは小さく頷いて納得する。
「さて…。」
ミルとミトはアレンの方向に向けていた体を後ろのほうへと回して町をもう一度見渡す。海からの潮風が強く、三人がつけているローブがばたばたと風になびいて音を立てる。
その町で一体何が起きたのか、町の住人達は何処へと行ってしまったのか。三人は町の中を深く探索することにした。


 蒼眼の戦士-1
 END


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最終更新:2009年06月04日 06:46