サーヴェリー姉妹-2
1
―私たちがまだ9歳だったとき、幼なじみの男の子とソゴム山脈の
赤山に迷い混んでしまったことがあった。辺りは殺伐とし、ごつご
つとした岩肌がそこらじゅうに見られた。
「フラン、恐いよぅ…」
「大丈夫よ、フプレ、ウィンディとスウェルファーがいるじゃない。」
と、私の両脇にいる二体の召喚獣たちに目配せをした。
「う、うん。でも…おうちには帰れるのかな…。」
「心配ねぇよ、俺がいるじゃねぇか。」
男の子が自信ありげに胸を張ってみせた。
「近くにビスルがあるはずだから、そこをまず探そうぜ。」
「うん。そうだね。ありがとう、メラーくん。」
自分の名前を呼ばれた「メラー」は少し恥ずかしそうに顔を赤らめ
た。
と、そのとき!
「うわぁぁぁぁ!!」
と言う悲鳴がどこからか聴こえてきた。
「あっちだ!」
メラーは悲鳴の聴こえた方向に向かい走りだした。
「メラーくん、危ないよ、戻ってきて!!」
彼を追いかけながら私たちは叫んだが、彼は聴く耳を持たなかった。
剥き出しになっている岩が少女たちの足をとり、メラーとの距離は
離れていくばかりである。
彼はすでに少女たちの遙か先に見える丘を登り始めていた。
小高い丘を登りきったところで、メラーは言葉を失った。
「う、うあ…。サ、サラマンダ…」
そこには、赤いワニの様な、大きくてごつごつした「化け物」がい
た。その化け物をメラーは昔、一度だけ見たことがあった。
二年前、リンガの村人が焼死体になって発見されたことがあった。
そこで前長老様と今の長老様はモンスターの仕業と判断し、二人で
5匹の化け物を退治してきた。そのうちの一匹がこのサラマンダで
あった。
「ど、どうしよう…」
2
メラーは焦っていた。サラマンダの前には、黒こげになった人のよ
うなものが転がり、今、サラマンダは自分の方にその鋭い視線を向
けているのだ。
「メラーくん!!」
彼が振り向くと、二人の少女が自分の方に向かい走ってきていた。
「おまえたち!くるなぁぁ!!」
フランはメラーの気迫に押され、足を止めた。しかし、もう一人の
少女―フプレは足を止めなかった。(なにか…恐いものがメラーくん
の前にいる!!)フプレはメラーの危険を感じとり、一目散に丘を
駆け上がった。
フプレが丘を登りきる直前、急に目先に真っ赤な炎が昇った。
「あ…」
フプレは何が起こったのか一瞬理解できなかった。目の前の閃光。
自分の横をメラーが…いや、ただの黒い塊がゆっくりと、まるでス
ローモーションのように転がっていった。フプレはその塊を見よう
ともせず、ただ漠然と、目の前に迫るものから視線を外せないでい
た。
私は、まだ丘のふもとにいた。突然噴き出した炎。そして転がって
くるメラー。立ち尽くすフプレ。彼女に迫る化け物。ショックのあ
まり、私は意識朦朧とし、メラーが私の足元に転がってきたとき、
私は意識を失った。
最終更新:2009年06月04日 06:51