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こいのわかれみち-2


翌日。
古都の中央通りから一本はずれた道で、唐突に男の怒声が響いた。
声の主は戦士だった。刀身を露にした剣を、慣れた格好で構えている。
そしてそんな臨戦態勢の剣士と向かい合っているのは、古都の守護神と呼ばれる全身鎧の騎士ケイルンだった。
どこをどうみてもチャンバラが始まりそうなその様子に、行く末を見届けようとあっという間に野次馬が群がった。

二人の間にどこからか一枚の葉が吹かれてくる。
と同時、戦士の方が地を蹴ってケイルンに真っ直ぐ飛び掛った。
そのまま頭部に剣を振り降ろすと誰もが思った瞬間、
右足を踏みしめて瞬時に軌道を変え、身を沈めて低い位置で水平斬りを仕掛ける。
一瞬の切り替えについていけない野次馬達の目には、戦士が消えたように映った。
困惑の空気を打ち破ったのは、野次馬達の間から放たれた甲高い女の声だった。
「ひだり!!!」
声に重なって、重々しい金属音が辺りに響く。
響いた音が小さくなって消え行く頃、
軌道を変えた時点で見物人たちの殆どが見失っていた戦士の姿は、
先ほどと変わらない姿勢ながらいつの間にか剣を抜いていたケイルンの前に倒れふしていた。

野次馬達の間から、倒れた戦士に向かって女が飛び出してきた。
起き上がろうとする戦士を手伝いながら、そっとポーションを差し出す。
「大丈夫ですか?もう、無茶をなさるんだから。どうぞお飲みになって」
その声は先ほど野次馬達の耳に届いたばかりの女の声だった。
戦士は女の顔を見ると、カッと赤くなって眼を逸らし、半ば乱暴に差し出されたポーションを受け取った。
「?」
女が首を傾げると、ケイルンが上から声を掛けた。
「ドロシー、どうやらその男は君に用があるらしいぞ」
「私に?」
女…ドロシーが改めて戦士を見ると、戦士は酒でも飲むようにポーションを一気飲みして、意を決したようにドロシーに向き直った。
「…あんたがっ、ケイルンと付き合ってるって噂を聞いて!ケイルンを倒せば俺に惚れてくれるかと思った!」
「ええ!?私が、ケイルンさ…ええっ!?」
困惑したドロシーは思わずケイルンを見上げた。ケイルンの表情は鎧に隠れてわからない。
戦士はドロシーの驚きようを気にもとめずに続けた。
「今回は情けなかったけど!次はケイルンを倒してあんたに告白するっ!!」


つづく


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最終更新:2009年06月04日 06:47