あるウィザードが残したもの-3 (蘇る悪夢)
1
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・・・・・・・・・いたたた・・・・。
・・・・そういえば、ここは・・・・・どこだろう?
何でこんなところに?何だか見覚えがある風景。
ここはどこかの古い町だと予想できる。
野原が多く、町外れには破壊された城のような跡が残っているところから見て、ここは反乱が起こって間もない町。
町といってもかなり壮大で、警備体制も厳重に見える。しかし、武器や鎧が古めかしく、能力も高そうには見えない。
それにしても、ずっと体が変な感覚に襲われている。自分の体はここにあるはずなのに、消えてしまったような感じだ。
――そうか、これは夢なのか。それならもう一度寝れば元の世界に・・・・
そんなことを考えていた時、ふと一人の少年が目に留まった。目を瞑り、壁に寄りかかって何か考え事をしているように見える。
年齢から見て私とそんなに変わらないだろう。(十代後半のようだ)
腕は普通の人より少し細めな感じで、目は底深く吸い込まれそうな綺麗な青色。
背は180はゆうに超えているだろう。髪は私と同じ金髪だが、私より長く伸ばしているようだ。
どことなく顔立ちは美しく、しかし裏に悲しげな過去があり、それを隠しきれていない幼さが一瞬見えた気がした。
2
彼に見つからないよう、もう少し近づいて観察しようと試みた時、私のすぐ横を黒い影が彼に向かって走り抜けていった。
目の前の少年に、十数匹の影が牙を向き、襲い掛かってきたのだ。
しかし、彼の反応は速かった。彼は瞬時に状況を理解し、ポケットから杖を抜くと同時に唇を僅かに動かす。
すると彼の杖から目も眩むような光が放出し、轟音とともに彼の周りの地面が激しく波を打った。
一瞬、影が怯んだ隙を見逃さず、彼は前よりも大きく唇を動かし、体全体で杖を振る。
次の瞬間、荒れた地面に強力な衝撃が走り、全ての割れ目から高速で鋭い炎が噴出し、影たちを次々と吹き飛ばす。
一瞬全てが止まったように見えた。彼はゆっくりと、しかし私まで聞こえるような声で一言喋った。
「命まで奪おうとは思わない。早く去れ。」
彼はまた僅かに唇を動かし、杖を奇妙に振ると彼の周りに魔方陣が現れた。そして、静かに杖を止めると魔法陣は消えた。
彼は悪魔達に背を向け歩き始めた、その次の瞬間。戦う力が残っていないように見えた悪魔達が立ち上がり、彼に飛び掛った。
しかし彼はそうなることを予想していたかのように振り向き、さっきよりも長く何かを唱え始めた。
彼と一番近い悪魔との距離が1mまで縮まったその瞬間、炎を纏いし閃光の如く、より強力な攻撃が放射状に成された。
彼は少しの間、今まで生き物だった「物」をじっと見つめていたが、体に電撃が走ったように顔をあげ、どこかへと走り去った。
私は今、目の前で戦いで起こったことを把握できずにいた。
気がついたとき、彼はずっと前方にいた。彼に一生懸命ついていったが、途中で見失ってしまった。
私は彼を探したい気持ちと町の様子を見たい気持ちの両方が、私に西のほうの楼閣に上らせ、町全体を見渡させた。
恐ろしい光景だった。一度も見たことがなかった、本当の「戦い」というものだった。
町の川という川は全て真っ赤に染まり、いたるところで火事がおき、時折戦闘を思わせる大爆発が目に入った。
家は9割方破壊され、町の東の方は相当な被害のようだ。未だに爆発が静まる気配はなく、立ち上る煙の数だけが増えていく。
その中で、幸運にも彼の身に着けていたローブが見えた気がした。
私は急いでそこへ向かおうとした瞬間、自分の意思とは違う物に自分のまぶたが閉じられるのが分かった。
最終更新:2009年06月03日 20:55