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私は巨人骸骨。生前の名を一旗次郎直伴と申します。-4


1

  『やみの夜の 行く先知らず 行くわれを

       いつ来まさむと 問ひし児らはも』




  ・・・いやーっ、はっはっはっ!
どうもどうも一旗です。今日は非常に上機嫌ですよ。
なーんて。

いやいや、まさかこの刀がここまですごいものだったとは
思いもしませんでした!


 昨日、興味本位で前話していた刀で、勇者様を試し切りしたら
一撃で葬っちゃったんですよ! えっ? それは紙だからって? 
しょぼい自慢するなと? 

フフッそれだけだったらわざわざ報告しませんよ。
この刀を使い始めてから、なんだか身動きが素早くなったような気がするんです。
しかも太刀が正確になったし、これはすごい!

こんなものがあるんだったら最初から言ってくれればよかったのに。
というのは冗談で、むしろこんなに早く運がまわってくるとは
思いもしませんでしたよ。


 ここに来てからいい事なんてひとつもなかったからなぁ・・・・
見知らぬ世界でいつの間にかこんな姿になり、薄暗い監獄に住みつき、
勇者様の暴言や効率さんの「こいつ不味い」発言に耐え・・・・・・

その中でやっと手に入れたチャンス。
もしかすると地下三階への出世も夢じゃないかも・・・


 死後ではあるものの、ついに華を咲かすときがきたかもしれない。
ポスト地下三、狙いますよ。




(ホント、人に譲らなくてよかった・・・・)



 ここの地で数少ない友、ガイさんにも久しぶりに会えるかもしれない。
彼は今地下三階で大暴れしているそうです。

 嗚呼、早く元気な顔が見たい・・・そのためにはランクアップしないと。


2

生前は本当に目立たない仕事だけで一生を終わらせてしまいました。
しかしもうそんなことはない。この刀のおかげで自信が湧いてきましたよ。


どんな仕事をしていたか知りたいですか? 


 某所の深夜の見回りですね。兵衛です。これが仕事でした。
松明をもって、塀に沿って歩いていくんですよ。
そして怪しいものがいたら者がいたらデヤー! っと刀で・・・・
切りません。 声はかけますが刀を抜くことはありません・・・
第一、そんな状況に陥るほど危険な人にあったことは・・・・・・

………

地味だけど大事な仕事ですよ・・・・


 しかし、本当にここは乱れに乱れていますね。
私のところもそうだったことはそうだったんですけど・・・・・・
監獄に来る人たちの噂話では町までえらいことになっていると
聞いたもんですから・・・・

そんな不届きものは早く追っ払ってやりたいんですけど・・・
Zinになったとはいえ、何分一人では不安ですから・・・・



 そうだ! あそこにあった刀を皆にあげてしまおう。
多分同じような効果が得られるはず。場所はまだ私しか知らないだろうから、
他のものに知られぬうちにさっさと仲間の手に渡してしまおう。


 ん? 取り返しがつかなくなるって? 前に私が言っていたと?


 ハハハ、もうこの際何でも来いですよ。
勇者様が蔓延するよりかはお互いにいい事だとと思いますよ。

そうそう、彼らって本当に何も考えていないんですよね。

なんにも。

周りがどのように見ていようが、自身のとった行動が後々どうなっていくのか。
そんなことまったくお構いなし。

そんなのは嫌ですよね。


 私はね、思うんですよ。
何でそう欲にまみれた人々が、各々の世界で繁栄していくのかと・・・


3

 違いを述べるとしたら、生前いた所の実力者たちが
ずる賢かったのに対して、勇者たちはあからさまだというところでしょうか。
まあどっちがマシなのかはわかりませんが。


 でもどちらにしても・・・・ねぇ・・・
そんなのは見るに耐えられませんよ・・・・
人に恨まれるような事ばかりして、その責任も取らない。
そんなことしているからアンテッドが増えてくるんですよ。

そんな輩、ここから放り出しちゃいましょうよ。


 私はやりますよ。わからずやはもうこりごりです。


 かつてやっていた仕事。
兵衛。再びそれをするときが来たようです。


ここに来たのも何かの縁。神が導いたのかもしれません。
いや、むしろそうであってほしいです。

アルパスから、不届きものを退ける。
それをやりとげるまではここを離れません。
いつそれが終わるのかわかりません。でもやります。

この刀がある。 これが信念を固めてくれる・・・・
そんな気がしてきます。


 さて、有言実行。早速皆に刀を渡してきます。
(数が足りるかな・・・・)



 それでは、またいつか会う日まで・・・・・



 いつ会えるかわかりませんが――――――



  『やみの檻 行く末知らず 行くわれを

       いつ戻れむと 問ひし我とは



   いつ終わるのか、いつ帰れるのか。

   ただただ自問し、意思を通す。

   決して表には出ない、彼こそが兵衛。

   生まれもっての――そして死しても――

   いつまでも。いつまでも・・・・・・』


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最終更新:2009年06月03日 20:58