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――Hiiiigyaaaahhh!!

 ガラスを爪で引っかいたような耳障りな悲鳴を上げ、ゴーストが数体まとめて消滅した。
 だが、その隙を突いたかのように、天井から落下してきた蜘蛛がその牙を突きたてようとする。
 その毛むくじゃらの腹部めがけ、ミーア直伝の直蹴りを叩き込み、相手が怯んだその隙にバックステップで距離を取る。
 そして笛を口元にあて、一気に吹き鳴らすと同時、飛び込んできたケルビーがその体をばらばらに引き裂いた。

 そこまでやって、あたりにいたモンスターたちはまさに蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
 小さな広場とも言えるフロアから、魔物の気配が遠ざかる。
 フィーナはそれを感じ取り、安心したかのようにむき出しの地面に座り込んだ。
 そんな彼女を守るかのように、ウィンディとケルビーがその傍に待機する。

「はぁ、きっつー……」

 やはり、ここはどうやら普通の墓所ではないらしい。
 墓所であるなら当然現れるはずの、ゾンビや骸骨といったモンスターがまったくいないのだ。
 出てくるのはワームやスパイダーといった暗所を好む魔物と、瘴気に惹かれて集まってきたゴーストの類。

「やっぱり、なんかおかしいわよね。ここ」

 入り口でも感じたことだが、この墓所は間違いなく、外ではなく内側へ向けて封印がなされている。
 所々に罠らしきものや扉が設置されていたが、それらはすべて中にいるものを外に出さないためのものだ。
 それに、入り口からここまでの道から類推できるこの墓所自体の構造も、それを意識しているらしく感じられる。

 極めつけは時折左右に存在する「それ」だ。

「ケルビー、ちょっとそっち照らして」

 フィーナの言葉に、ケルビーが炎の灯った尾を、入ってきたほうとは逆の通路へと向ける。
 そこにあるのは、石でできた人型――ロックゴーレムだ。
 だがそれは、フィーナたちが近づいてもまったく動く気配がない。

「うーん、殴ったら動くかな?」

 ちょっと気になって、ぶんぶんと笛を振り回す。
 と、その袖を必死になってケルビーが咥える。

「ああ、冗談、冗談よ。イフリィトには手を出すな、ってね」

 微笑んで手を下ろし、かわりにケルビーの頭をぽんぽんと叩いてやる。
 すると、嫉妬したのかウィンディがフィーナに向かって「撫でろ」とでも言うように頭を垂れる。
 まるで普通の生物のようなその態度に、フィーナは苦笑。
 その頭と喉元あたりを撫で、ついでにふかふかしてから放してやる。

「さ、あんまり休んでるとまたモンスターが寄ってくるし、そろそろ先に行こうか」

 言って立ち上がり、ばふばふと服についた埃を払う。
 光源はケルビーの尾の炎のみ。
 あたりは薄暗く、通路の先は闇に呑まれている。

「コロッサスが出るかレイスが出るか……開けてびっくり宝箱ってね」

 先の見えない通路を睨み、フィーナは悪戯っぽく微笑むのだった。

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最終更新:2007年08月19日 23:31