あるウィザードが残したもの-4 (二つの出会い)
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456 名前: 252 投稿日: 2005/08/08(月) 07:09:18 [ JpBKn8ys ]
む・・・・ネタ切れにも負けずに書いていきます。
あるウィザードが残したもの
- >>252 ―プロローグ、表紙―
- >>316 ―一頁目 誕生、そして襲撃―
- >>317 ―二頁目 少年時代―
- >>413-414 ―三頁目 蘇る悪夢―
―四頁目 二つの出会い―
目を開こうとするときに抵抗は全く無かった。
多分瞬きくらいの時間だろうか、目を開くと私は道の真ん中にいて、彼のローブが目の前を走り抜けていった。
私は瞬時に直前までの記憶を辿った。しかし、彼を追いかけていたことぐらいしか思い出すことができない。
とりあえず彼についていくことだけを考え、彼を追っていくことにした。
町の中心にたどり着いたとき、私は思わず息を呑んだ。
多分広場の中心の噴水は、川の水を利用していたのだろう。
赤くにごった水が、制御の効かなくなった噴水から延々と噴き出している。
その噴水を中心に、建築物などはほとんど破壊され、整備された道は引き裂かれている。
死体の上に死体が積り、その死体を踏みつけながら戦う光景はおぞましいとしか言いようが無かった。
私は死体の山をなるべく見ないようにし、少しだけ足を止め、南側の焼け野原で未だに続いている戦いを眺めてみた。
今は人間優勢だという雰囲気が読み取れた。人間の数が悪魔たちの数を大きく上回っている。あと数時間で決着がつくだろう・・・・・。
しかし、そうしている間にも彼は手を抜くことなく走り続けていた。彼を見失わないよう、戦闘の真っ只中を走りぬけた。
町の中心地を抜け、半壊した屋敷の庭を近道して通り過ぎ、両側に水路が流れている道へと出た。
それにしても彼は足が速い。長い金髪が美しく揺れ、激しく靡くローブを両手で軽く押さえながら走る。
辺りを観察しながら走っていたせいか、追いつくどころかだんだん離されていくことに気が付いた。
彼が塀に区切られている小道の角を曲がってしまった。私がその角を曲がった時に彼の姿はなかった。
――しまった、見失った・・・・・。
失望と同時に、心の中で埋もれていた不安が再び湧き出してきた。
――ここは一体どこなんだろう。どうして私はここに来てしまったんだろう。元の世界に帰ることはできるのだろうか?
不安に押しつぶされそうになったそのとき、さっき起こったことが脳裏を過ぎった。
「何かに目を閉じられ、目を開けたときには風景が変わっていた・・・・」
それを全て思い出すか出さないかのうちに、さっきと同じものに私のまぶたが閉じられた。
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457 名前: 252 投稿日: 2005/08/08(月) 07:14:27 [ vf.cLIFY ]
目を開くと、私は彼より先にいて、彼のほうを向いて立っていた。
するといきなり彼は立ち止まった。みるみるうちに顔から血の気が失せていったことが、ここからでも読み取れた。
私も振り向いた。そして何が起こったのかを知った。
町の北東の端のところに隣接している森があった。森が動いている・・・・?
私は目を凝らし、再び目の前の森を探った。森ではなく、なにか数え切れないほどの生き物がこちらに進んでくる・・・・・。
何百という数の悪魔がこちらに向かってくる。先頭の巨大な怪物こそ、本でしか見たことの無い「バフォメット」に間違いない。
それが私の後方の彼を血走った目で鋭く見、そして私を睨んだように感じた。
恐怖が体中を駆け巡った。その途端、頭が激しく痛み、私は地に膝をついた。あまりの痛みで、目を開くことさえできない。
震えながらも逃げようとしたが、足がすくんでしまって動かない。このままでいれば悪魔たちの餌食になるのは目に見えている。
先頭の怪物との距離が10mまで近づいたとき、私は死を覚悟し、目を瞑った。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・?
今度は何も起こらなかったことに対して不安が生まれ、私は目を開いた。
悪魔たちは、私の体を通り抜けて前進している・・・・・・。
そこで全てが思い出された。
――そうだ、私は父の日記を見ていた。3ページ以降には何も書いていなくて、白紙のページを見つめていたんだ。
――そう、そのあと私は・・・・・これは夢じゃなく、日記が見せている父の過去なんだ。
しかし、それについて深く考えている時間は無かった。
爪や牙、自分の武器などを脅すようにして彼に向けながら、彼と悪魔たちとの距離がどんどん狭めていく。悪魔たちは彼を狙っている・・・・・。
しかし彼は青ざめながらも目を瞑った。再び杖を奇妙に振りながら口を動かす。
すると、さっきとは比べ物にならないほど強い魔法陣が浮かび上がる。と同時に、彼を中心にして起こった空気の波が悪魔たちの足を止めた。
その波は悪魔たちが進んできた森の木々をざわざわと揺らし、その音は不気味に反響し、不思議に心細くなってくる。
悪魔たちが混乱しはじめてきたとき、彼はカッと目を見開いた。魔法陣が消え去った瞬間、彼は杖を高く上げた。
すると、地面が分断されるかのようなとてつもなく大きい轟音とともに、魔方陣が現れたときよりずっと強い空気の波が押し寄せた。
私は衝撃の出所をつかみ、そちらに目を向けた。
不機嫌そうな灰色の雲の間から、巨大な球体が現れた。それが彼によって召喚された隕石だということはすぐにわかった。
その隕石は空に炎の跡を残しながら、すごいスピードでこちらに向かってくる。
隕石が先頭のバフォメットに直撃し、大爆発が起こった。後ろから迫ってくる悪魔の大群は爆風で吹き飛ばされ、彼自身もその衝撃で後ろに飛ばされた。
身に危険が降り注ぐことはないと解っていながらも、私はその衝撃をかわさないわけにはいかなかった。私は思わずグッと目を閉じた。
3
458 名前: 252 投稿日: 2005/08/08(月) 07:14:56 [ vf.cLIFY ]
少しして目を開くと、私はまず辺りを見回してみた。今までそこに生き物がいた様子が全く無い光景へと姿を変えてしまっていた。
辺りはほとんど焼け野原になり、廃墟となっていた屋敷は視界から消え去っていた。
森の入口の木々は一瞬にして灰と化し、まっすぐに続いていた道は大きく抉られ、クレーターのようになっていた。
道と平行に通っていた小さな水路に流れていた水は消え、水路自体も新しく作り直さなければならないほど粉々に砕けていた。
隕石を召喚することは腕のいい魔法使いにもなかなか難しいということを知っていた私は、目の前の少年がそれをやりとげたことを感心する他なかった。
そのとき私は、まさか生き残っている悪魔が存在するとは夢にも思ってみなかった。
目の前のクレーターから、あまりにも急にバフォメットが飛び出てきた。後ろのほうにいた悪魔たちが、何が起こったのかと森から走り出てきた。
彼が倒したのは全体の半分にも満たなかった。クレーターから、今度は上級の悪魔と見られる悪魔たちが次々と這い出してきた。
今や彼は気を失い、近くの焦げかかった木にもたれ掛かっている。彼の杖は彼のはるか後方に落ちていた。
――バフォメットは今度こそ彼の息の根を止めに来る。
そのことは殺気立ったバフォメットの様子を見れば一目瞭然だった。奴は完全に彼を探している。
彼はすぐにバフォメットの視界に入ってしまった。
するとバフォメットはぞっとするような笑いを浮かべ、彼に向かって歩いていく。生き残った悪魔たちもそれに続いた。
彼は全く意識を取り戻す様子は無い。ある程度まで近づいたとき、バフォメットはそれを確認し、地面を蹴って彼に飛び掛った。
しかしその一瞬で彼の姿が消えた。バフォメットは目標を失い、地面に降り立った。
彼は男に助けられていた。その男は浮遊魔法を使っているらしく、地上から3mくらいのところに浮かびながら彼を背に乗せている。
その男が一瞬、バフォメットにむけて憎しみそのものの視線を向けたところを私は見逃さなかった。
私はゆっくりとその男を観察してみた。男は血で少し汚れた服を着て、所々破けたマントを着ている。
しかし、そのボロボロのマントの風に靡く動きは不思議と威圧感を感じさせる。
一方、整った顔立ちとスマートな体型は身なりとは全く合っていない。
私がバフォメットに視線を移した瞬間、バフォメットは男に向かって飛び掛っていった。
男は静かに口を動かした。すると男は光に包まれて姿を消し、一瞬でバフォメットの背後に姿を現した。
バフォメットが一瞬怯んだ。男は素早く自分の周りに球状の水の壁を作り出し、さっき彼がしたのと同じように杖を高くあげた。
彼が放った隕石より数十倍は大きいと思われる隕石が空中に現れ、目にも止まらぬ速さで悪魔たちの中心に落とされ、大爆発を起こした。
私はその世界にいないにも関わらず、物凄い衝撃を受けたような感覚になり、体全体が麻痺してしまった。私はそのまま闇へと引きずりこまれていった・・・・・。
うぅ、どうしてこんなに長文になってしまうんだろう。
もっと見易くしたい・・・・。
最終更新:2008年07月07日 21:18