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ウルフマンの復活


1

470 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/08/11(木) 17:10:59 [ S90OkTG6 ]
ここの職人に触発されて、短時間で書き上げたものをうpします
まだまだ未熟ですが…

俺はスマグ生まれのウィザード。少なくともかつてはそうだった。
俺の母は幼い頃に病死し、父は俺を捨ててどこかへ旅立ったと聞かされた。
そんなこともあり、物心ついたときから魔法学校でみっちり勉強する毎日であった。
同級生のある者は、大きな火の玉をいくつも作り出し、モンスターを攻撃することを覚え、
ある者は魔力を込めた掌でモンスターに触れただけで、瞬時に凍結させる技術を持っていた。
しかし俺は小さな火の矢を飛ばすことがやっとであり、劣等感に苛まれていた。
俺は学校で勉強している時以外はいつも独りぼっちであった。そんな中
よく声をかけてくれる少女がいた。彼女は亜麻色の髪をしていて、その瞳はどことなく寂しそうだった。
彼女は俺の悩みをよく聞いてくれて、俺にとって唯一の理解者であった。
機嫌が悪い時はぶっきらぼうに追い返したこともあったが、
本当は彼女を見ているだけでも嬉しかった。

ある日の事、若いウィザードが傷つき、服を焦がしながら長老のもとに駆け寄った。
「た、大変です。レッドアイの奴らが、大勢のモンスター達も、ぐっ…。」
そう言うと彼は気を失い倒れた。それとともに外から凄まじい地響きが轟いた。
「すぐに迎え撃つんじゃ!奴らを町にいれてはならんっ!」
ウィザード達は急いで町の入り口へ向かった。しかし敵の数は雲霞のごとくであった。
その中にはこの世のものとは思えない形相をしたデーモンの姿も。
「なんということだ…」
敵の大群に向け、ある者は天界から巨大な隕石を呼び寄せ、ある者は強烈な水大砲を放つ。
さらに地震を起こし敵の足止めもする者もいる。
だがさすがに魔力に長けた敵だ。ウィザード達の魔法を前に平然としている。
俺はというと、下級のグレムリンどもの相手をしているだけで手がいっぱいであった。
軽装なウィザード達は、斧槍兵やゴブリン達に囲まれ、いとも簡単に倒されていく。
終に奴らは町の中まで押し寄せてきた。ふと目をやるとあの子の姿が…

「うぉおおおぉおおぉ!!!」
俺は無我夢中で飛び出していった。しかし俺はただでさえ魔法に関して未熟だというのに、
奴らの強大な魔力の前にはなす術もなかった。地面にうずくまり、意識が薄れ行く…
とその時、体の中で煮えたぎる何かを感じた。次の瞬間自分の腕が長い体毛に覆われ、
手には鋭い爪までが備わっていることに気づいた。いや、全身毛むくじゃらじゃないか。
「な、なんなんだ、これは…」
と思うや否や、敵の群れに突っ込でいた。
ゴブリンどもを強靭なアゴで噛み砕き、斧槍兵どもに鋭い爪で連続攻撃を浴びせる。
敵は突然の反撃になす術もなく倒れていく。俺は逃げ惑う敵を追い回し、次々と爪の餌食にしていった。
「よくも…、よくも…」
滴る涙が爪に当たり、一層輝きを増した。
大方の敵を倒したが、彼女はぐったりしたままであった。死んでしまったのだろうか…?
しかし天は無情にも俺に涙を流す猶予を与えなかった。
背中に身が凍りつくほどの視線を感じた。
振り向くとそこには巨大なデーモンが。
俺は奴を睨み付け、必死に彼女から気を反らせようとした。
奴との間合いをとると、決死の突進を試みる。奴は俺に向かって灼熱の炎を吐き出した。
炎の嵐が俺の体毛を焦がす。
全身に激痛を伴いながらも奴の許にたどり着いた。渾身の力で切り裂く。何度も何度も…
奴も必死に炎で応戦する。その炎によりまさに町は地獄と化した。
…とその時、奴は一瞬ひるんだようだ。奴の心臓目がけて爪を振り下ろす。
「グゥォオオオアアアギャアアアアアア…」
この世のものとは思えない断末魔の叫びを上げ、奴は倒れた。や、やったんだ。
それと同時に意識が遠のいていく…

2

471 名前: 470 投稿日: 2005/08/11(木) 17:13:27 [ S90OkTG6 ]
気がつくと長老の家のベッドに横たわっていた。ふと腕を見るとそこに長い体毛はなかった。
体も別におかしなところはない。なんだったんだ、あれは夢だったのか…?
隣のベッドにはあの少女が静かに寝息をたてていた。どうやら無事だったみたいだ。
「遂に目覚めてしまったようじゃな。ウルフマンの力に。」
長老が思い口を開いた
「あれは17年ほど前のことじゃったかの。ある男がわしに娘との結婚を申し入れた。
その男は魔法をほとんど使う事ができなかったがウルフマンに変身することができ、
勇敢な獣戦士として知れ渡っていた。
わしは、魔法に疎い者に後を継がせることなどできぬと断ったので
彼らは駆け落ちし、タトバ山の麓でひっそりと暮らしていたようじゃ
それから数年後、彼らは町に姿を現し、子供に魔法の教育をするようにわしに頼んだ。
今更なんじゃと思ったんじゃが、その時じゃ。レッドアイの奴らが攻めてきたんじゃ。
今回と同じようにな…」
男はウルフマンに変身し、ウィザード達とともに懸命に戦った。しかし、目を離したスキに
子供がモンスターどもに囲まれてしまった。男はモンスターの大群へ飛び込み、子供を抱きかかえ
斧槍兵やサラマンダー達の攻撃に必死に耐えた。なんとかウィザードの応戦により
モンスター達を倒したものの、男は全身焼け爛れ、深い傷をいくつも負っており、助かる見込みはなかった。
「この子を頼む…、俺と同じ目には…」
その後男は息をひきとった。
「その男はお前の父親、その子供はまさにお前のことじゃ。
お前の父親は、なんとしてでもお前を立派なウィザードとして育てたかったようじゃな」
「と、父さん…。お、俺、魔法もロクに使えないし…。」
声にもならず、涙がこぼれる。
「何を言っとるんじゃね。お前にはウィザードとしての力も備わっている。
杖を掲げて念じてみるんじゃ。」
そうすると、なんだか杖に暖かい力が込み上げてきた。いや、熱い…
「こ、これは…?」
「ファイアーエンチャントじゃ。武器に炎の力を備えることができる。
仲間の戦士達に使うもよし、自分に使えばウルフマンとしての攻撃力も強化できるぞい。」
「お前は他のウィザードと違って強い攻撃魔法は使えん。その代わり魔法によって
自分自身や仲間の攻撃をサポートすることができる。これはわしの血を引いてる証拠じゃな。ほっほ。」
長老が得意げに笑う。
「ウルフマンとしての修行もしたいので、旅に出ようと思います。
レッドアイの奴らの事も気になるし…」
「それもそうじゃな。お前にはウルフマンとしての力だけでなく魔法も備わっていることじゃ。
いつかは父親以上の存在になれるはずじゃ。健闘を祈るぞい。」
そしてこう付け加えた。
「お前は戦いの中で気づいたはずじゃ。お前の父は、自分に憎しみを向けさせることで、
お前に真の力を授けようとしたようじゃが、それは決して真実ではないと…。」
軽く頭を下げ、長老宅を後にする。

「いってしまうのね。」
振り返ると、そこには少女の姿が。
「だめじゃないか。まだ寝ていないと。」
彼女は黙ってうつむくと、そっと俺の頬に口づけをした。
「きっと戻ってきてね。いえ、必ず…。」
俺は静かにうなずき、スマグを後にした。



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最終更新:2008年07月07日 21:26