蒼眼の戦士-2
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蒼眼の戦士-2
暗い、とても暗い部屋の中で私は一人倒れていた。周りには誰もいない、気がつくとそこは本当に真っ暗なただ一つの空間だった。
自分の体だけが光に照らされ、自分から一メートル先が全く見えない不思議な空間。そう…確か自分は古の昔から、勇敢な戦士としての家計を持ち、その家計の仲の子孫。
名前は覚えていない、五年ほど前に倒れていたところを一人の女性に救われ。近くの都市へとつれてかれたという事だけは記憶に残っている。
その隣に一人の戦士が居た、彼もまた彼女と一緒に旅をしているものだろう。私はその二人が羨ましかった。
自分には記憶が無い、記憶が無いからこそ周りに見えるものが新鮮だった。その新鮮さゆえに私は何時しか道を踏み外してしまう。
黒魔術、世の中ではそう呼ばれている技法だった。私は黒魔術に手を染め、そして肉体を手に入れた。それは魔法都市スマグの優れたるウィザードの体だった。私は彼の潜在意識の中に身を潜めこうして今でも彼の中に寄生している。精神寄生というものだ。
彼の名はアレン、”アレン・ケイレンバック”。彼の体の中はとても居心地が良かった、優れたエレメントの持ち主で、男性としても華麗に成長し、そして今では二人のランサーと、アーチャーと旅をしている。
アレンの目に映るものは、私の目にも映る。そして今彼は目を閉じている。いや、気を失っているといっても過言ではないだろう。
精神寄生してから幾年、私の元の体は今何処で何をしているのだろうか。
うすうす感ずいていた、私の中にもう一人の誰かがいることを。
その誰かは、とても強大な力を持ち。そしてやろうと思えばすぐにでも私の体を乗っ取り操る事が出来る事も。
だが、彼はそうしなかった。理由は定かではない、はっきりとし無い。彼はいまだ私の中で眠り続けている。
私がまだ幼かった頃、それも師匠と出会う少し前の事。私は一人課題提出のためのサンプル採取のために森へと出かけていた。そこで一人の戦士と出会う。目が合った瞬間私は気を失った。気がついたときは病院のベッドの上だったことだけは覚えている。
だれも私がどうやって倒れていたとか、見つかった時の事とかは話そうとはし無い。もう一つ、覚えているといえば私の体に出来た見覚えの無い小さなあざ。それは右足の足首に出来た赤い斑点模様。
私の中に誰かがいることが感じ始めたのはつい最近の事。それはミルと出会ってからの事だった。彼女が私の目の前に現れたとき、私の中に眠る誰かは目を覚ました。今まで感じた事も無い強い力、それが私の中で何かのきっかけで目覚めてしまった事。そして、鏡を見る自分が誰か他の人物かもしれないと感じ始めたのはすぐだった。
今まで茶色い瞳だったものが、突如真っ青に染まってしまった。組織体の異常だと最初は思っていたものが、次第に眼鏡を必要とし無いほどの視力まで回復している。そして体つきが徐々に変わっていくのも一つ。察しがつくのは誰かが私の中で生きている、潜んでいる事だった。
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493 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/08/13(土) 11:29:41 [ 3dSXljKk ]
「…さい…おき…い…起きてください!」
誰かが私のことを呼んでいる、ゆっくりと目を覚まし瞳を開ける。そこは倉庫の中だった。小さな倉庫で、周りには何かの袋がたくさん詰まれている。その袋に囲まれるように私と一人の女性が居た。
「…気がつきましたか。」
「…ん…ミト。」
私の体を揺さぶりながら名前を呼んでいたのはミトだった、ゆっくりと起き上がろうとすると激しい頭痛に見舞われる。多分あの盗賊達から攻撃を受けた後遺症だと察するのに時間は掛からなかった。
「…ここは。」
「盗賊団のアジトだと思います。」
ゆっくりと立ち上がり、あたりを見渡す。確かにミトが言ったとおりここは盗賊団のアジトだろうと推測が付く。周りには少量ながら金品やシーフが使用する短剣などが無造作に置かれている。八畳ぐらいの広さで、周りは袋だらけ。
「…ミルは!?」
「…ミルさんは、盗賊の人に連れられて古都へと向かわれました。何かの儀式だとか…そのようにも言っていたように思えます。」
「儀式…。」
アレンは悩むように両手を組み下を向いたまま考え込む、そこへミトがさらに気になることをアレンへと問いかける。
「あの…アレンさん。」
「ん。」
「あの人が言ってたことって…どういうことなんですか?」
ミトは少し不安がちにそういいながらアレンのほうを見た、アレンはまだ直らない頭痛に悩みながら数時間前の事を思い出そうとする。
「…ミルが古都の姫君って話しか。」
「えぇ。」
「…分らない、分らないことだらけだ。あの盗賊団は何が目的で、ミルは一体誰なのか。そして儀式って何なのか。今は分らない事だらけだよ。」
アレンは難しい顔をしてミトを見た、そしてあたりに扉が無いかどうかを確認し、脱出方法を探し出す。
「取り合えず、今はここを脱出しよう。それが先決だ。」
アレンが扉を見つけて一歩、又一歩足を歩ませた時のこと。突然アレンに猛烈な頭痛が襲う、その頭痛は頭が二つに割れるかもしれないほどの強烈な、そして意識をつなげているだけでもいっぱいいっぱいなほどの頭痛だった。
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494 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/08/13(土) 11:30:10 [ 3dSXljKk ]
「”あのランサーを助けたいか?”」
アレンの耳元に届くその声、アレンはとっさにあたりを見渡した。だがその倉庫の中にはミトと自分以外の人間はいなかった。
「だ…だれだ!」
頭痛に悩まされながらも声を発する。するとびくっと背中を振るわせてあたりを警戒するミト。だが自分の弓はこの倉庫の中には無かった。
「”お前も気付いているのだろう、私の存在を。”」「どこだ!何処にいる!」
「”お前は知っていた、私の存在を。”」「出て来い、姿を現せ!」
「”何も怯えることは無い、私はお前だ。”」「何をさっきからわけの分らないこと…!」
「”目をそらすな、私は目の前にいる。”」「おまえは誰だ!」
ミトの目には一人で叫んでいるアレンの姿だけが映っている、しかし、アレンは確かに聞こえる不思議な声に翻弄されながらあたりを見渡す。そしてアレンの姿がぴたりと止まる。
「…あんたは。」
アレンはそのままピクリとも動かずに一点だけを見つめている、そこには誰もいない。ミトは不思議そうにアレンが見つめる方向に目を合わせた。
「”お前が望むこと、私がかなえてやりたいが…お前には今の私の姿は見えてもそれを使いこなすことは出来ない。ならば私はお前に知恵を授けよう。”」
「知恵…だと。」
アレンがそう一言つぶやくと当たりに積み重ねられていたたくさんの袋はいっせいに破け、中身を散らばらせた。
中身は白い粉だった、その粉は倉庫中に散乱し、そしてあたり一面を白く漂わせた。
「きゃ!」
ミトが突然のことに声を上げる、アレンはそのまま一点だけを見つめてじっと黙っている。次々と袋は破け白い粉が当たり一面に広がっていく。
「…小麦粉?」
ミトはその白い粉を見てそうつぶやいた、するとアレンはその言葉に敏感に反応する。
「…小麦粉だって?」
アレンは血相を変えて敗れた袋を見つけて中にまだ数量残っている白い粉を手に取りなめる。それは確かに小麦粉だった。あたり一面に積み重ねられていた袋は、小麦粉を大量にしまいこんでいたものだった。
「…小麦粉…なるほど、そういうことか。」
「…アレンさん、どうしたんですか?」
白くて何も見えないほど充満している小麦粉の中、アレンは何かを探すように当たり一体を捜索し始める。そしてアレンはソレを見つけた。
「小麦粉…短剣…。」
アレンは素早くミトを見つけ出し、手を引いて奥のほうへと隠れるように身を伏せた。
「アレンさん、一体何を…。」
「…ミト、できるだけ姿勢を低くして身を護るようにしてくれ。」
「え…はい。」
「…あんたの言うとおり、知恵は貰ったよ。誰だか知らないあんたに私は命令する、あんたが私の中で生きる誰かというのであれば、私たちを無事に救って見せろ!今まで私の中で生きてきたんだ、ソレぐらいの報酬はもらうよ!」
アレンは両手に構えた短剣を大きく振りかぶって短剣と短剣をぶつけて火花を散らした。するとあたり一体は急にさらに白くなり、目の前が真っ白になった。
その瞬間、倉庫の中は突如爆発を引き起こし、倉庫一帯を盛大に吹き飛ばす爆発を引き起こした。
蒼眼の戦士-2
END
最終更新:2008年07月07日 21:52