サーヴェリー姉妹-5
『キャッホゥーーーーー!!!!』
崩れた王宮跡の一部屋から奇声があがった。
「見てよ、フラン、こんな大金、見たことある??」
「ないわよ、ないわよ。私たちなんて5000Gすら持ったことな
かったじゃない!!」
「あぁ、フラン、私たち・・・」
「うん…」
『おっかねもっちぃ~~~~~~!!!!!』
『あはははははは』
この日は二人して夜遅くまではしゃぎまくった。なにせ、小さな村
では私たち子供がお金をそう多く持つ必要などなかったのだ。
ふと、私はファーガソンからもらった笛のことを思い出した。
「ねぇフプレ、なんで彼は笛なんてくれたんだろう?」
フプレは笛を手にとってみた。
「!!これ、なんかおかしいよ、見て!」
フプレから笛を受け取りじっと見てみる…!! これは!?
「…穴が、一つしかない?」
そう、この笛には指で押さえるための穴が一つしかないのだ。
「こっちのも一つだけだよ!」
どうやら二本とも同じものらしい。
「どうする?」
なにかの魔法でもかかっているのでは、と私は少し警戒した。
「吹いてみようよ。」
フプレは何も考えていない様子で、笛に口をあてがった。
「ふ~~」
彼女が笛に空気を送る。すると!!
…ただ単調な音が出ただけだった。
「なんだぁ、期待はずれ。」
がっかりしている彼女の横で、私も笛を吹いてみた。
すると、穴がぽこぽこと空き、なんともいえない、心地の良い音色
がその小さな笛から沸々と湧き出てきた。
「え?」
フプレはキョトンとして目を大きく開き、私の演奏をじいっと見て
いた。
その笛には、確かに一つの穴しか空いていなかった。それが、まる
で生き物のように、息の強弱に合わせて穴を作り出しているのであ
る。
・・・私は、夢中になって笛を吹き続けた。
「きれい・・・」
フプレの一言で私は演奏を終えた。
「ごめん、夢中になっちゃった。」
「すごいよ!フランったら、天才奏者ね。聞惚れちゃった。」
「私は何も・・。笛が勝手に演奏してくれたのよ。」
「でも、私はできなかったもの。フランだからそんな素晴しい音が
でたのよ!!いいなぁ、なんだか、焼けちゃうよ。」
その一言に、私は軽い恐怖を感じた。以前、私が彼女に対して抱い
ていた劣等感。それを今、彼女は私に対して抱いているのではない
だろうか?いや、こんな些細なことで・・。考えすぎかな。
「あ~あ、私もそんな素敵な演奏してみたいなー。」
そんなことを言いながら、フプレは笛を手にしたまま、可愛らしく
腕を振ってみせた。
『ん?』
腕を振った瞬間、二人の耳に先ほどと同じような音がわずかにだが
聴こえた。
「ねぇ、いま・・。」
「うん。聴こえた・・。」
今度は、大きく、ゆっくりと腕を振った。
「すごい・・。どうなってるの?フプレ。」
「・・わかんない。でも、なんだか・・。気持ちのいい音だね。」
だんだんと、彼女は演奏の指揮をとるように拍子を取り始めた。
自然と、私は口を笛の先へとあてがい、息を吹き込んだ。
フプレと私。
二人が一人になったかのように、お互いの笛は全く同じ音を奏でて
いた。
・・・あぁ、わたしたちは、やっぱりいっしょなんだ。
この夜のできごとは、私たちの仲をより、一層強く結びつけた。
最終更新:2008年07月07日 21:49