秘密ダンジョンとビショップ
533 名前: 秘密ダンジョンとビショップ 投稿日: 2005/08/17(水) 10:06:36 [ 03A8VYSQ ]
「狼巣窟の秘密ダンジョンに行かないか?」
彼、とあるビショップが剣士にそう声をかけられたのは気だるい夏の昼下がり。
暇だし、レベルもちょうどよく、なにより涼しい洞窟と言う事で、快く承諾した。
狼巣窟は古都ブルンネンシュティグの西、5kmほどのところ。魔の森グレートフォレストの手前あたりにある。
確かに狼もたくさんいるが、実際のところは吸血鬼巣窟とでも言うべきところである。
やはり洞窟ということで、内部はひんやりしていて気持ちいい。
彼のPTは秘密ダンジョンへの鍵、ポータルクリスタルを求めて洞窟の狼や下級のヴァンパイアを狩っていた。
彼も邪を滅する神の力を借りた技、エクソシズムエンカウンターで殴ったりしてみた。
その時、吸血鬼や狼たちは倒しても倒しても後から沸いてくるけど、どこから沸いているんだろう・・・
といつもは気にもしないような事がふと気になった。
そうこうしているうちに、ポータルクリスタルを見つけ、PTは秘密ダンジョンへ入っていった。
秘密ダンジョンは、最近発見されたダンジョンの裏道とでも言うべきところで、
それぞれのダンジョンの裏事情やなにやらが渦巻いているところである。
彼は古都の近くの地下墓地にある秘密ダンジョンに行ったことがあった。
あの時はただ倒すべき対象としか思っていなかった不死の魔物に、同族を倒すように頼まれた。
神に仕えるビショップとして、軽いショックを受けたものだ。
そのせいでさっき吸血鬼や狼のことが気になったのかもしれない。
そんな事を考えながらPTメンバーに回復や神の祝福を与えていた。
秘密ダンジョン内の敵は、外の敵とは比べるまでもないほどであった。
むろん強さもだが、その知性においても比にならないほどのもののようだ。
魔物は普通人の言葉を当然喋らない。おそらく理解もしていないだろう。
地下墓地にも何体か人の言葉を理解する魔物がいたが、ここにもやはりいた。
その一体に攻撃をした時に、「なぜこんなに人間たちが攻撃して来るんだ!」と言われた。
他のPTメンバーは気にもしていないようであったが、彼には衝撃の一言と言っていいものであった。
そう、ここは彼らの住処であり、それを侵しているのが自分たちなんだ・・・
彼の中で渦巻いていたものを形にした一言であった。
彼はこの秘密ダンジョンをクリアしたら、魔物たち、特に不死の魔物たちについてもっと理解を深めようと思った。
数年後、彼は有名なネクロマンサーとして人間、魔物の両方からよく知られることになる。
それはまた、今度話すことにしよう。
最終更新:2008年07月07日 22:24