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こいのわかれみち-6


535 名前: ◆ypgWyZmY9U 投稿日: 2005/08/17(水) 13:59:02 [ tveu77w6 ]
こいのわかれみち
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>>436
>>452


 ・6・

半ば乱暴に扉が開けられた音に、クリムスンはいつものように反射的に笑顔を作った。
「いらっしゃい。」
「ちっす、師匠の遣いで来やした!」
クリムスンの眼が映したのは、最近よく来るようになった青年だった。
名はアルフォンソというのだと、最初に来た時に勢いよく告げられたのを覚えている。
「相変わらず元気がいいな。何が望みだ?」
「ラージチャージポーションを1000!」
準備にうつろうとしていたクリムスンの手が止まる。
「1000ってえと結構な額になるが持ってるのか?」
「俺の金じゃねえっすもん。師匠にツケといて」
「師匠ねえ」
クリムスンは作業を再開しながら、ちらりとアルフォンソを見た。
まだ完成はしていないものの体格のいい体。精悍で自信に溢れる顔つき。そして、陽気な中にも隙の無い表情。
「ケイルンの弟子になりたがる奴はこれまでもいたが、お前ほどしつこく付きまとってるのは見たことがないよ。」
アルフォンソが体力も気力も十二分に持ち合わせているのは一見してわかるが、ケイルンは未だに彼が弟子になりたいと言ったのに対して頷いてはいない。
だがそれでも彼は懲りずに、時には先回りして扉を開け、時には今のようにパシリもしている。
「こうやって付き纏い続けてれば、きっとある日境に色々教えてくれるようになるっすよ」
アルフォンソは自信ありげににいっと笑った。
クリムスンは、ラージチャージポーションが100ずつ入った木箱をカウンタに1つずつ置きながら声をあげて笑った。
「随分都合のいい解釈だ!やっぱりお前は大物になる」
「曲解じゃねえと思うけどなあ。あの人根気はあるけどお人よしなんだ」
そう言うと、アルフォンソは置かれた10の木箱を3つずつ、両肩に抱え上げた。
「じゃ、残りの5箱は後で取りにくるっすから」
「待て」
「?」
クリムスンはカウンタから出ると、一枚の紙を持ってゆっくり歩いてアルフォンソに近づいた。
「聞きたいことがあってね。お前、ドロシーを賭けて一方的にケイルンに勝負を挑んだことがあるそうじゃないか」
「…今も諦めてねえっすよ。いつか師匠を超えて、ドロシーさんを俺に惚れさせんだ」
アルフォンソはいつかのことを思い出した。
今は師匠と慕っているケイルンに往来で勝負を挑み、見事負けたこと。
駆け寄ってポーションを渡してくれたドロシーの心配そうな表情。
ついでにあの後ちゃっかり渡されたポーション代の請求書。
「強ければ慕ってくれるだろうなんて、丸っきり男の理論だな」
クリムスンはアルフォンソをしっかりと見据えた。
視線はそのままに、彼の持つ箱のひとつに請求書をしっかり貼り付ける。
「女から言わせりゃ、冒険者と一緒になるなんて馬鹿のすることさ」
「なっ… そんなこと!」
突然の発言に、アルフォンソは咄嗟に抗議をしようと口を開く。
だがクリムスンはそんな彼に構いもせずに扉を開けて、外に出るよう促した。
「続きは計算がちゃんとできるようになったら聞いてやる。じゃあな坊や」


つづく


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最終更新:2008年07月07日 22:31