自分が、駄目な人間だということは知っていた。
家族以外とは、マトモに会話が出来なくて。
いつも孤立して、独りでいて、いつしか、そんな自分にも慣れてしまって。
・・・それでも、少しは変われたと思う。
友達ができたから。守りたいと思える、大事な友達が。
ゆたかが、いてくれたから。
ゆたかのおかげで、私は少しだけ前に進めた気がする。
何人か、友達も増えた。優しい先輩たちとも知り合えた。
そして、・・・恥ずかしいのだけれど、その・・・好きな・・・人も、できた。
自分の世界が、瞬く間に広がって・・・まるで自分の体じゃなくなってしまったみたい。
だから、知ってしまった。
自分が知らなかった自分を。
知らなかった。
こんなにも、自分は、弱くて、・・・醜い人間なのだと言うことを。
そうして、先輩は私の隣に立って歩き出した。
近すぎず、遠すぎず。今の私と先輩を現しているかのような、曖昧な距離。
今はまだ、これでいい、とも思う。また、もう少し近づきたいな、とも思う。
どうしたいのかはよくわからないけど、不快ではない、恥ずかしいけど、心地よい悩み。
それが、ちくりと刺すような痛みに変わったのは、最近の話。
変わったのは私でもなければ、先輩でもなく。
ただ、ゆたかの居場所が変わっただけ。
今、ゆたかは・・・先輩の隣に。私の、反対側にいる。
会話も、先輩の周りが、大半を占めるようになった。
並びが変わった事に戸惑っているわけでも、中心から外れた事を寂しがっているわけでもない。
ただ、見えてしまっただけ。
今までは左右に見ていた二人を、同時に視界に入れた時に。
その中で、ゆたかが先輩を見ている眼を。
・・・私と、同じ眼で・・・先輩を見つめるゆたかを。