のっぺらぼうは、一般的に外見は普通の人間だが、顔には目も鼻も口もない妖怪のことである。小泉八雲の『怪談』のなかの『むじな』の話が有名である。のっぺらぼうそのものは存在せず、『怪談』にあるように、狢(むじな)などが人を驚かせるために化けるのだとも言われる。
凹凸がなく、すべすべした物体(卵など)の形容にも用いられる。
江戸は赤坂の紀伊国坂は、日が暮れると誰も通る者のない寂しい道であった。ある夜、一人の商人が通りかかると若い女がしゃがみこんで泣いていた。心配して声をかけると、振り向いた女の顔にはなんと目も鼻も口も付いていない。驚いた商人は無我夢中で逃げ出し、屋台の蕎麦屋に駆け込む。話そうとするも息が切れ切れの商人の前で、蕎麦屋は「こんな顔ですかい」とのっぺらぼうに変身、商人は気を失うのであった。
二度にわたって人を驚かせるという筋立ての怪談の典型であるが、これは「再度の怪」と呼ばれ、他にも「朱の盤」や「大坊主」などの話がある。原型と見られる小話が中国古典の『捜神記』にあり、ここから由来したものであろう。
最終更新:2006年05月02日 01:25