とある夏の日の午後
額ににじむ汗がまた一つ、雫となって頬をつたう。例年に増してレベルの高い夏に、壊れたエアコン、振動する扇風機。運ぶは熱風…といったところか。
いくみ「ちょっとー。聞いてんの?」
D太郎「いや、すまん。今のもう一度言ってくれ。」
この6畳の蒸し風呂の中、私がなんとか勉学に勤しめるのは、彼女たちのおかげだろう。涼とは、周期的に首を振る扇風機にさらわれる、彼女たちの長い髪であり、私はしばし、風の行方に目を奪われていた。
い 「あんたねー、今月末にはテストなのよ?しかも必修ばっか。そんなボケボケしてると、もう一年モラトリアムを増やすことになるのよ。わかってますかぁー?」
D 「おっしゃる通りで。」
ぶつぶつと何か呟きながら、さっき質問した問題を、もう1度丁寧に説明してくれる。 いやはや、持つべきものは友。感謝の気持ちでいっぱいの頭の中を、張りのある、明瞭な声が通り抜けていく。それにしてもこの方、暑さで参ったりはしないのだろうか?
かのこ「先輩ー、ここ分りませんー(汗)」
暑さで完全にダウン中なのは、愛すべき後輩のほうである。
もともとこの勉強会は中学3年生、高校受験まっただ中のかのこさんが苦手とする、社会なる科目を私が教えるということで企画され。途中、私の役不足を補うために、いくみ様を召喚して今に至ったものだ。本当はその間に、エアコンが緊急停止し、なんとか蘇生を試みるも叶わず…というエピソードがあるが、触れないでおこう。
いくみ様の手際の良さにより、私はお役御免となり…というか、私までがお世話になっている状況ではあるが、気にしない。
か 「御成敗式目をつくったのは、北条…。誰だっけ…うぅー、名前がややこしくて覚えられませんー!」
はるかにややこしい、酷似した諸化合物名を正確に覚える中学3年生が悲鳴を上げる。
っと、メールが届いた。 なになに、うっ…
い 「どうしたのかしら?」
D 「いや、アップ〆切とかが、書いてあるだけだが…ん?生命科学… よっ…要点と流れだけ簡潔にまとめた生命科学のシケプリだと! これは、例なのだろうか、提案なのだろうか、はたまた指令なのだろうか…?」
い 「まぁ、この前Wikiに書きこんだやつも、そんなに好評じゃなかったんでしょ?冗長と言えば冗長だものね。で、今回も同じようなことして、一体何が狙いなのかしら?」
D 「…では今回は簡潔にまとめてみようか。」
か 「この書き方をやめるってことは…あぁっ!? もしかして私たちの出番、もうないんですかっ?何の展開もなかったじゃないですか?」
D 「すまない…後輩。しかしだな、こういった、女の子2人に囲まれるなどという状況を味わったことのない筆者に、甘い展開を書かせようなどということ自体無理なのだよ。わかってくれ…。そして、高校受験がんばってくれ。」
か 「ふえぇぇぇっ?」
い 「D太郎!あんたこそがんばりなさいよ。でも、今まで生命科学しかやってないと言いながら、実は何もやってなくて、他の科目もノータッチなんでしょ?具体的にアドバイスが浮かばないほど不憫ね。えっと・・・がんばりなさいよ!(笑)」
D 「…」
みなさんこんにちは、暑いですね。というわけで、ハンドアウトのメモです。
私が授業の中でハンドアウトにメモしたことや、少し調べたものまで、いろいろなことが乱雑に書いてあります(ぉ。箇条書きです。
私的には気合を入れました。もう気合が残ってないくらいです。
まぁ、少しでも力になれたら、これ幸い。