
剱岳 剱岳本峰南壁A1からの登頂
平成21年5月3日~5日
メンバー 5名
5/3 立山駅前ではすでに観光客でいっぱい。バス乗車待ち2時間30分。
室堂までは車窓から称妙滝、雪の大谷を眺め観光客気分。しかしそれも束の間・・室堂
からは重い荷物を背負い、長くキツイ雷鳥坂を登る。約3時間半で剣沢に。BC設営。
5/4 3時起床。仙人さんは昨夜、エアマットが破れて眠れず、体調不良でテントキーパー。
残り4名にて一般登山道から平蔵のコルへ。途中のアッブダウンをこなす。コルから平
蔵谷をトラバース下降するがトレースは無く、一歩一歩を慎重に歩く。足を踏み外せば、
勿論、奈落の底へ。前日には近くの五竜岳で女性が滑落死しているので、より慎重になる。
しっかり雪をけり込み、A1右の取付きへ。チーフリーダーがトップで脆い岩稜を登り這松帯へ。
1ピッチ目はザイルを繋ぎ、3人が登る。2ピッチ目からはチーフリーダー、ちー姉さん
組とグッジョブさん、ガンプ組に分かれ、ツルベで登る。5ピッチ目の岩稜帯では、岩が
さらに脆く、歩く度に落石の連続。「ラク、ラク、ラク」と何度も叫ぶ。この岩稜を避け、雪面
をトラバースするが、登れそうなのはルンゼだけ。ここも岩は脆いが、行くしかない。
歩く度に石が落ちる。どれだけ慎重に歩いても避けることが出来ないので、下にいる人に
は、なるべく落石がこない所に退避してもらう。相変わらず「ラク、ラク、ラク」と叫び続ける。
そのうち、落石がチーフリーダーのザックに“ドン”と落ちる。早くこの場所を抜けたいと思い
ながら、この時トップであったグッジョブさんが登りきるのを待つ。そしてようやくルンゼを抜け
出た時、少しホッとする。ルンゼ横の雪面を登り、雪田まで来てようやく安心する。山頂まで
は、コンテで頂上直下のガレを行き終了。
山頂東側から剱岳の祠(雪で埋もれている)へ。曇ってはいるが風も無く360度の眺望。
写真撮影した後、登山道から下降。カニノ横バイ、梯子を通過するが、アイゼンでは大変歩き
にくく、危険なので、ゆっくり降りる。平蔵のコルからは、長い平蔵谷を下降。しかし谷の下部
から剣沢までの登り返しが苦しい。すでに精神的、肉体的にも疲れはピークにきており、最後
の登りは堪えた。歩いても、歩いてもテント場が見えない・・いつになれば着くのだろう??
重い足取りで行く。
下部から約2時間、計12時間半でようやくBCに戻る。この時、近くの劔沢小屋でグッジョブさん
がビールを買ってきてくれる。雪で冷やし、皆で乾杯。思わず「うまい!」と叫んでしまう。疲れは
一気に吹き飛んでしまった。1本700円だったが、それ以上の価値があるビールであった。
この日の晩、天気が下り坂に向かうのと帰りの渋滞を考慮して明日下山とする。
5/5 のんびりと6時起床。入山以来曇りが続いていたが、朝は快晴。しかしそれも束の間。
曇り空になり風も強くなる。剱御前小屋まで荷揚げして別山、大汝山を空荷でピストンの予定で
あったが、稜線はさらに風強く周辺の山はガスが掛かっていた。とりあえず室堂まで下降してから
雄山へと予定変更。雷鳥沢まで一気に下降。登りは劔沢から小屋まで行けば後はなんとかなる
かと思っていたが、雷鳥沢に沿って左から巻き道の登りと室堂までが意外にきつい。昼すぎに
ようやく到着。天気は良くならず、雄山への登頂断念し下山。帰りは立山駅までの直行バスがなく、
美女平へ、30分ケーブル待ちする。帰りは立山駅付近にある「ウエルサンピア立山」で風呂に入り、
富山市内で海鮮丼を食べる。北陸道富山ICより帰阪する。しかし渋滞箇所が頻繁にあり、PA・SA
も混雑し、入ることが出来ない状態。長浜ICで降りることにし、一般道で大阪へ。深夜0時30分到着
した。皆さん、大変お疲れ様でした。また、ありがとうございました。
追記:劔岳本峰南壁を終えて・・
今回の劔岳登攀は忘れられない体験となった。劔沢から見える三つの顕著な三角形の岩稜帯。
その一つを登ることが出来た。今後この山を見る度に今回の経験を思い起こすことになるだろう。
8ピッチのうち3つをトップで登ったが、3級とは言え、さすがに劔岳。レベルは高く、常に生命の危険
を感じずにはいられなかった。このGW期間中だけでも、一般道でさえ五竜岳、空木岳、鹿島槍ヶ岳
で滑落死している。まして、ほとんど人が入らない所を登るのだから、緊張するのも無理はない。
そうした中、無事終える事が出来た。今回成功出来たのは、私に関しては、今までの経験、今年に
限っていえば、1月の木曽駒ヶ岳雪山登頂。鈴鹿・釈迦ケ岳登攀、2月の大山・弥山尾根雪稜登攀
の本チャン。3月の百丈岩、妙号岩の岩トレ。4月の六甲山、比良・アルファルンゼのアイゼンワーク
の練習の成果である。これがなんらかの形で生かされていると感じた。しかし何よりもチーフリーダ
ーをはじめ、グッジョブさん、仙人さん、ちー姉さんの協力無しには成し得なかった事で、皆さんに
は感謝でいっぱいであった。また天気も曇りで、暑くなく、風もほとんど無く、強い冷え込みもない
という奇跡に近いコンディションで行われたことも恵まれていたと思う。
ガンプ