
2009年 5月16日 雪彦山地蔵岳東稜および正面壁右カンテ
2名
神社上の東屋07:20‐‐‐地蔵岳東稜取付09:15‐‐‐(東稜登攀)‐‐‐地蔵岳頂上
11:30~12:00‐‐‐取付テラス13:15‐‐‐(右カンテ登攀)‐‐‐地蔵岳頂上15:00‐‐‐東屋16:15
今年の目標であるアルプスの本チャンを達成する為の準備として、近場での岩登り本チャンを
計画した。前日の天気予報では当日午前は曇り、昼過ぎから雨であったが、マルチピッチの実戦
を少しでも積みたいので、途中敗退覚悟で予定を決行。幸い当日早朝も天気は曇りで悪化傾向
は緩やかなようであった。鹿野神社上の東屋からスタートし、東稜の取り付きを目指しガイドマップ
とにらめっこしながら歩く。登山道が夢前川にぶつかった「出合」から、左岸を不行沢の合流部を
探しながら登り返すが、それを見逃してやや詰め上がってしまった。対岸へ渡り「出合」の標識まで
下り返したところ、途中に不行沢を発見。慎重に登ったにも関わらず何故見逃したのかを「出合」
まで確認に行き二人で納得。また不行沢に戻り、左岸の踏み跡を沢沿いに辿っていくと大きな見
覚えのある岩場が現れ、2倍の時間が掛かって何とか東稜の取付に到着。充分なウォーミング
アップで体が温まった。
<東稜>
1ピッチ目はしんさん、2ピッチ目を私が、ツルベで登っていく。3ピッチ目はしんさんの番で、松の
木テラスから左上しチムニー手前に着くが、これ以上継続するとチムニーでザイルが流れなくなる
と判断し、ピッチを切った。そこでこのコースの核心のⅣ級チムニーを私が行かせてもらうことにした。
しかし、取り付いてみるとやや立っていることに加えハーケンが少ないので恐怖心が沸いて来て、ク
ライムダウンしてしんさんに代わってもらおうかと戸惑ったが、一旦チムニーから体を出してみると右
足の置き場所が見つかり、立ち上がることができた。ブッシュ帯をコンテで越え、馬の背と遭難碑の
ピッチはしんさんがトップ。いっぱいにザイルをのばし、最終のコルの手前まで。 最終ピッチも続け
てしんさんがトップで。左の杉の木があるクラックから取り付き、5メートルほどで右へ大胆にトラバ
ースし、その後微かなルンゼ状のフェースを直上する。下降しながらのトラバースは微妙なバランス
が必要で、最終ピッチにふさわしいピリリと辛い刺激的なルートだった。幸い天気はまだ安定していた
ので、頂上で軽く食べ物を詰め込んだのち、正面壁右カンテルートをやることにした。地蔵沢沿いの
登山道を正面壁の真正面まで下り、付近から取り付きテラスへ向かう道を探すが見つけられず。
見覚えのあるテラスは沢を挟んで見えているにも関わらず、その下部は切り立った崖に成っていて
直接にはたどり着けない。雨もぱらつき始め、中断も頭をよぎった。しかし少なくとも取り付きまでの
道ぐらいは見つけ出さないと、無意味な敗退になってしまう。落ち着いてガイドマップを見ると、地蔵沢
の右岸に道があるとされている。引き返してその道を探すこと30分。赤テープに導かれ、地蔵沢を
渡り取り、付きへ向かう水平歩道を発見。7・8年ほど前に一度通ったはずだが、この水平歩道の
記憶は頭からすっかり消えさっていた。取り付きに着くと、幸い雨もやんだ様だ。
<右カンテ>
1ピッチ目は途中から右への大きなトラバースがあり、ルートファイングが必要なため、一度経験のある
私がトップで行くことにした。始めはややかぶり気味のクラック沿いに。10メートルほどの間に新旧含め
て10本ほどのハーケン・ボルトがあるが、そのほぼすべてを利用し尽くし、見境無くA0を使い、じりじり
直上。恐怖のあまり、丈夫なボルトを見つけると、放棄して懸垂で下りてしまおうかと何度か思った。
一方で着実に岩トレをやってきたんだから、という微かな自負も残っていて、何とか自分を鼓舞して登り
続けた。クラックの上部になるとやや傾斜が緩み腕の疲労は溜まらずに済むが、ハーケンの数が減って
気が抜けない。次はどこから右にトラバースを始めるのかが問題だ。直上し過ぎて加古川ルートに入り
込んでしまったら、もうそこは蟻地獄だ。右に目をやると15m先の杉の根本にボルト群が見えたので、
すがるようにそちら目指して右へトラバースを開始する。見た感じまるで垂壁なのに、ホールドとスタンス
がぽつりぽつりと続き、微妙なムーブを交えながら、奇跡のようにフリーでトラバースが可能であった。
ピッチの途中でもいい、ここで一旦しんさんにトップを代わってもらおうとたどり着いたボルト群は、実は
正規の1ピッチ目の終了点であった。
2ピッチ目はしんさんがトップに立った。切り立ったカンテ状のⅣ級。ランニングをきれいに左右に取り
分けながら、慎重に登っていた。填っているようで、叩いてみるとぐらつく岩もあり、見極めながらの登攀
が必要。階段状に見えるが実はつるりとしてあまり掴み所が多くないが、良く探すと要所要所でしっかり
握れるホールドがあった。40m先の小テラスでピッチ終了。私はと言えば、1ピッチ目の恐怖による心の
すくみが取れず、セカンドでありながら岩にしがみつくような典型的初心者の登りとなってしまった。
そこで情けながら3ピッチ目もしんさんにトップをお願いした。Ⅲ級のピッチだけあって、しんさんも先ほど
と比べるとスムーズにザイルを延ばしていた。左へ寄りながらルートを取ると、最後までブッシュに入らず
に長く岩を楽しめる。25m先のブッシュ内の杉の根本でこのピッチも終了。
地蔵岳の頂上で先程よりも堅い感謝の握手。多くの失敗もしたがそれを自分たちで解決できたことや、
手応えのあるルートをつるべで登れたことは、アルプスへの本チャンに繋がるいい経験となった。
ぶち