十字の咎

狂俳の我が性をも
飼い慣らせど
残響 詩歌が消えぬ

狷介の我が心も
皮を剥げば
飢ゑた獣

紅き 霧の中に見えた
人の子の誠に触れて
言の葉を紡いだ
疾く疾く失せよ

満たされぬ腹が
血を流す胸が
叫ぶ
朧月を駆る
朋友の眼ぞ 刺さる
血濡れた爪牙に
絡む肉叢の
悲鳴も無く
紅霧の中に
慟哭は未だ止まず

暁角を留め伏せよ
秋風の残響
未だ消えぬ

怯懦こそは
人の病
成り果てし
ただ獣

紅き 月の下に吠えた
人の子の骸を抱いて
浅ましき食欲
咽び泣くまま

満たされぬ飢ゑに
理性は靡いて 乾く
酔いを晴らせども
悔いを指折りて 数う
はかなく重ねし
倨傲の月日は 戻り得ぬ
ぬばたまの闇に
咆哮ばかりが 聞こゆ 嗚呼

願いを喰らった
望みを喰らった
すべて
欲望のままに
絶望のままに
詠う

背けた眼へ
突き刺さる罪と
絶える息

紅霧の中に
獣は未だ
孤独

満たされぬ腹に朋友の臓腑を喰らう
朧月の夜に弔ひの詩歌を捧ぐ
血濡れた爪牙に落つる涙さえ 獣よ
紅霧の中に
我が悲鳴は未だ止まず-リスト
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  • ほおずきみたいに紅い魂
  • 妖魔夜行
最終更新:2024年01月21日 13:20
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