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&bold(){&sizex(3){花束から一つずつ R15}} 名前を呼ばれると、紫歩は胸が高鳴る。160cmあるかないかの身長に、肉付きの良くない痩躯。胸だけは、美南よりあるけれど、というか、ずいぶんとある。大きい、と言って間違いない。美南の羨望の眼差しを感じるし、言われる。だが、体型に不似合いなことを含め、紫歩からすれば美南の控えめな胸の方がよほど良かった。ここに触れると、美南が顔を真っ赤にして、いかに貧乳がつらいかを伝えてくるので触れないに尽きるが。 自分の住むがらんどうの3LDK。テレビを二人でぼーっと見ていたら、後ろから抱きすくめられた。手は明確な意図を持って、紫歩の胸に伸びている。 「紫歩の身体で、ここは特に柔らかいよね」 楽しそうに言われると、もう何も言えない。唇を噛み締めるばかりだ。 「我慢できなくなってきたかな」 染めているわけではなく、生まれ持った亜麻色の髪の毛を避けられ、うなじに口づけが落とされる。 呼吸はどんどん浅くなる。 「美南さん……」 電気を消せ、と言いたかった。明るいところで見られるのは、初めての時からずっとずっと恥ずかしい。 「私にも、あなたを愛させて」 「どうぞ」 余裕たっぷりのその顔は、最中もなかなか変わらない。自分の変化を理系特有の眼差しで楽しんでいるように見える。 彼女を恥ずかしがらせようと思うなら、美南の弱点は胸だった。人一倍小さいことを気にしてる。お世辞にも豊かとは言えないし、紫歩より間違いなく小さい。 Aカップのブラって、あんまりないんだよ? 知ってる? と言われると、口達者な紫歩でも何も言えなくなる。 電気を消そうにも、美南は楽しげにしているし、暇がなかった。 最初も散々言ったものの、煌々とした明るい、紫歩の部屋だった。 紫歩は黒に飲まれちゃいそうじゃないか。 だなんて、美南は耳元で囁いてくる。 今まで他人との身体的接触を避けてきた、はっきり言って嫌いだった紫歩からすれば、羞恥心を煽られるばかりなのに。 美南の目はきらきらしている。 きっと、本当に楽しいのだ。入学式からずっとずっと紫歩を観察してきた身として。 威嚇ばかりしていた紫歩を、手懐けて、餌を与えて。わかっていて、引っかかったのは自分だった。 紫歩の観察眼は人並み以上だ。 「何を考えてるのかな? 私のこと?」 「ええ」 「今、目の前の私のことだけ考えていてよ」 不敵に笑われ、体勢をひっくり返される。 見上げた天井は見慣れているはずなのに。そこに美南がいるというだけで、まったく違って見えた。 この期に及んでも、自分は心の根までひねくれている、と笑いたくなる。 集中しようかと、目を閉じた。 漏れる自分の甲高い声に眩暈がする。 「紫歩はずっと、私のことだけ見ていてね」 美南の声は、研究対象を見つけた夏休みの小学生のようで。 与えられる快楽とともに、紫歩の心に何かを落とすのだった。
&bold(){&sizex(3){花束から一つずつ}} 名前を呼ばれると、紫歩は胸が高鳴る。160cmあるかないかの身長に、肉付きの良くない痩躯。胸だけは、美南よりあるけれど、というか、ずいぶんとある。大きい、と言って間違いない。美南の羨望の眼差しを感じるし、言われる。だが、体型に不似合いなことを含め、紫歩からすれば美南の控えめな胸の方がよほど良かった。ここに触れると、美南が顔を真っ赤にして、いかに貧乳がつらいかを伝えてくるので触れないに尽きるが。 自分の住むがらんどうの3LDK。テレビを二人でぼーっと見ていたら、後ろから抱きすくめられた。手は明確な意図を持って、紫歩の胸に伸びている。 「紫歩の身体で、ここは特に柔らかいよね」 楽しそうに言われると、もう何も言えない。唇を噛み締めるばかりだ。 「我慢できなくなってきたかな」 染めているわけではなく、生まれ持った亜麻色の髪の毛を避けられ、うなじに口づけが落とされる。 呼吸はどんどん浅くなる。 「美南さん……」 電気を消せ、と言いたかった。明るいところで見られるのは、初めての時からずっとずっと恥ずかしい。 「私にも、あなたを愛させて」 「どうぞ」 余裕たっぷりのその顔は、最中もなかなか変わらない。自分の変化を理系特有の眼差しで楽しんでいるように見える。 彼女を恥ずかしがらせようと思うなら、美南の弱点は胸だった。人一倍小さいことを気にしてる。お世辞にも豊かとは言えないし、紫歩より間違いなく小さい。 Aカップのブラって、あんまりないんだよ? 知ってる? と言われると、口達者な紫歩でも何も言えなくなる。 電気を消そうにも、美南は楽しげにしているし、暇がなかった。 最初も散々言ったものの、煌々とした明るい、紫歩の部屋だった。 紫歩は黒に飲まれちゃいそうじゃないか。 だなんて、美南は耳元で囁いてくる。 今まで他人との身体的接触を避けてきた、はっきり言って嫌いだった紫歩からすれば、羞恥心を煽られるばかりなのに。 美南の目はきらきらしている。 きっと、本当に楽しいのだ。入学式からずっとずっと紫歩を観察してきた身として。 威嚇ばかりしていた紫歩を、手懐けて、餌を与えて。わかっていて、引っかかったのは自分だった。 紫歩の観察眼は人並み以上だ。 「何を考えてるのかな? 私のこと?」 「ええ」 「今、目の前の私のことだけ考えていてよ」 不敵に笑われ、体勢をひっくり返される。 見上げた天井は見慣れているはずなのに。そこに美南がいるというだけで、まったく違って見えた。 この期に及んでも、自分は心の根までひねくれている、と笑いたくなる。 集中しようかと、目を閉じた。 漏れる自分の甲高い声に眩暈がする。 「紫歩はずっと、私のことだけ見ていてね」 美南の声は、研究対象を見つけた夏休みの小学生のようで。 与えられる快楽とともに、紫歩の心に何かを落とすのだった。

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