18禁連載 ③

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<咲視点> 大学生活が始まって一ヶ月が過ぎ、風薫る五月を迎えた。 この一ヶ月は、何もかもが目新しくて、 「この授業面白そう。一緒に取ろうよ、和ちゃん」 「大学でも全国優勝目指して頑張ろうね」 「あ、お醤油切れてる。ちょっと買ってくるね」 「お風呂綺麗にしたから、あの、一緒に入らないかな? なんて///」 授業に、部活に、日常生活に、全力投球。 (和ちゃんを守ってあげられるような、新しい私になるんだ!) っていう一心で張り切ってきた。 竹井先輩やマコ先輩には 「わりゃあ、四月病じゃ」 「あんまり張り切りすぎると、五月になってからきつくなるわよ」 なんて言われたけど、ちっとも気にならなかった。 だって、和ちゃんと一緒なら本当に何でも出来るような気がして、全然つらくなんてなかったんだもん。 でも、最近ふとしと拍子に溜息が漏れちゃう。 どうしてかわからないんだけど、疲れてるみたい。 『五月になってからきつくなるかもしれんよ?』 あの時の竹井先輩の言葉を実感してる。 (ついつい頑張り過ぎちゃってたのかな?) それで改めて二人にそのことを相談したら、 「そりゃあ、五月病じゃ」 「新一年生は特にそうだけど、四月はテンションが上がってるから頑張りすぎちゃうのよね」 「それで五月にその疲れが一気に出てくるんじゃ」 案の定、笑われちゃった。 二人も一年生の時に五月病になったことがあるみたいで 「今はあんまり張り切り過ぎないようにしてる」 「そうせんと、五月病のままずるずる一年が終わってしまうからのう」 それですっかり懲りたんだとか。 ちゃんと対策をとっているくらいだから『五月病のまま一年が終わってしまった』ことがあるんだろうけど、 このまま一年が終わっちゃうなんて、そんなの絶対駄目! だって、和ちゃんを守れるようになりたいんだもん。 溜息なんて吐いてられないよ。 それで、どうやったら五月病が治るのか竹井先輩とマコ先輩に聞いたんだけど 「これっていう解決方法はないかも知れんのう」 「こういうのって、時間が解決してくれるものだしね」 返ってきたのはみもふたもない答え。 思わず肩を落としたら 「咲、言ったそばから溜息を吐いてるわよ」 「しばらく治らなそうじゃな」 知らないうちにまた溜息を吐いていたみたいで、これからのことが心配になった。 <和視点> 今日、竹井先輩とマコ先輩に呼ばれて、昼休みの時間に話を聞いて来ました。 なんでも 「咲の奴、張り切り過ぎて五月病になってしまったみたいなんじゃ」 「それだけ和のことが大事なのね」 「ちぃと気をかけてやってくれんかのぅ。大事な戦力じゃき、大会で頑張って貰いたいんじゃ」 「いいわよね、同棲生活。大学生!って感じで」 咲さんがお疲れ気味だとか。 私もそうなるんじゃないかと薄々感じてはいました。 四月から一生懸命でしたし、そろそろその反動が来るんじゃないかと思っていたんです。 けれど、咲さんの口から「疲れた」という言葉を出たのを聞いたことがなかったので、 疲れているんじゃないかと思うだけで、先輩に相談する程疲れていたなんて知りませんでした。 言い訳に聞こえるかも知れませんが、咲さんが少しもそんな素振りを見せないので、なおざりになっていたんです。 もっとも、気づかなかった原因はそれだけではありません。 私のために咲さんが頑張ってくれていることが伝わってきて、嬉しかったんです。 それでいい気になってしっかり見つめることが出来なかったのでしょう。 けれど、こうして先輩にまで心配をかけているとなると、嬉しいばかりではいけません。 何より、大好きな咲さんに無理をさせるなんて、どんな理由にせよあってはならないことです。 それで私は帰宅後、一度話し合ってみることにしたんです。 しかし、これが一筋縄ではいかないことでした……。 私に直接言わずに竹井先輩とマコ先輩に相談したということは、きっと私には言いにくいことなのでしょう。 それなのに 「今日竹井先輩とマコ先輩から聞いたんですが、咲さんは最近疲れているんですか?」 なんていきなり切り出したら、咲さんにとっても嫌だと思います。 だから 「咲さん、一緒に暮らし始めて一ヶ月が経ちましたが、大分慣れてきましたか?」 と、婉曲に聞いてみたんですが、返ってきたのは 「うん。毎日和ちゃんと一緒にいれて嬉しいよ」 なんていう見栄っ張りな言葉。 素直に私に弱みを見せないところが可愛らしくもあり、また今回ばかりは素直に喜べなくもあり、複雑な気持ちになります。 「でも、ちょっと張り切り過ぎてるんじゃないですか?」 意を決して踏み込んだ私の言葉に、咲さんの表情が揺らいだのが見えました。 でも、彼女は慌ててそれを取り繕ったんです。 「そんなことないよ。どうしてそんなこと言うの?」 なんだか心に小さな痛みが走りました。 「どうしてって……」 どうして本当のことを言ってくれないのでしょう…。 どうして私に隠し事をするのでしょう…。 「それより、今日の晩御飯の準備をしよう?」 そう言われても、素直に頷けませんでした。 「ね?」 小さかった痛みがどんどん大きくなっていくみたい。 私はただ本当のことを言って欲しいだけなのに、どうして言ってくれないのでしょう? なんだか一緒に暮らし始める前より、咲さんが遠くに感じます。 咲さんは私を気遣いすぎて、私は咲さんの優しさが嬉しくて、いつしかお互い別々の方を向いてしまっていたみたい。 私が咲さんの優しさにかまけて本当の意味で大事にしてあげることが出来ていなかったんだとわかって、そんな自分が悲しくなりました。 痛みの正体は、私自身にあったんです。 そのことに気づいた時 「ど、どうしたの和ちゃん!?」 私は知らず知らず涙を流していました。 「ごめんなさい。私が咲さんの気持ちに気づいてあげていれば」 「ど、どうして?」 「咲さんが五月病になったって、竹井先輩とマコ先輩に聞いたんです」 「え!?」 「本当は私も咲さんが私のために頑張り過ぎていることに気づいていたのに…」 「……和ちゃん…」 「私はそのことが嬉しくて、ずっと見て見ぬふりをしてたんです」 「……」 言い終わって俯いていると、強い力で抱きしめられました。 しばらくそのまま咲さんの胸の中に顔を埋めて、やがて聞こえてきたのは 「ご、ごめんね」 という優しい言葉。 「私、ちょっと怖くて」 「…何が、ですか?」 「和ちゃんに嫌われることが」 「そ、そんな(オカルトありえません)」 言いかけて 「ううん」 咲さんに遮られました。 「嫌われるのが怖くて、もっと好きになって欲しくて、いつまでもずっと好きでいて欲しくて、それで格好つけてたのかも知れない」 「……咲さん…」 「本当はもっと話したかったのに、弱い自分を見せたら嫌われちゃうかも知れないって、そう思ってたんだ」 「咲さんを嫌いになることなんてありません。咲さんのことがどんどん好きになっているんです。 だから、咲さんが無理してるが一番悲しいです。一人で頑張らないで、半分私に分けて下さい」 私を抱きしめたまま、咲さんが頷くのがわかりました。 そしてその瞬間、抱きしめる力が一段と強くなったんです。 「あのね……」 一度言いよどんだ後、咲さんは自分の言葉を確かめるようにゆっくりと話しだしました。 「私、和ちゃんはどう思ってるのかなって、ずっと不安だったんだ。  初めてその、ああいうことをした時も私からだったし、本当はどう思ってるんだろうって。  和ちゃんは『咲さんのすることなら全て受け入れられます』って言ってくれてたけど、私、歯止めが利かなくなってて……。  和ちゃんに触れたい、抱きしめたいって、そんなことばかり考えてるんだ。  でも、和ちゃんが同じ気持ちでなければ意味がないし、だから言い出せなくて……」 聞いているうちに、頬が熱くなりました。 私はもともと恥ずかしがり屋で、自分からそんなことを言い出すなんて考えられなくて……。 たとえ咲さんと同じ気持ちだったとしても、やっぱりちょっと恥ずかしくて……。 それで、口に出す代わりにキスをしました。 唇に唇を重ね、そして今日は自分から咲さんの胸に手を伸ばしたんです。 「私も、咲さんに触れたい、抱きしめたいって、そんなことばかり考えているんですよ」 という代わりに、勇気を振り絞って////// 続く

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