某日。
チャーラー チャチャチャチャチャーラー チャーラーラー♪
「ん…もう朝ですか…」
和はいつものアラームで目を覚ます。
横を見るとまだ寝ている咲の姿があり、起こさないようにそっと布団から出る。
そして顔を洗い、身支度をして、4人分の朝食をつくる。
櫻が泊まっていたためだ。
目玉焼き、サラダ、トースト、コーンスープと粗方準備が整うと、咲が起きてくる。
「和ちゃんおはよー」
目をこすりまだ眠そうな様子に和はふわりと微笑む。
「朝ご飯、出来ましたよ。」
「いつもありがとう…運ぶの手伝うよ!」
4人分を運び終えると、櫻が起きてきた。
「おはようございます」
「おはよう!椿はまだ寝てた?」
「はい、ぐっすりです。」
「じゃあ櫻さん、起こしてきてくれませんか?」
「は、はい!」
櫻は緊張しながらも走って寝室へ向かった。
和のささやかなプレゼントである。
その間和と咲はココアとコーヒーを入れ、二人を待つ。
真っ赤な櫻と眠そうな椿がやってきた。
また元気な声が響く。
「「「「いただきます!」」」」
食器を洗い終えると、咲と和は慌ただしく大学への準備をする。
「よし。じゃ、いってきまー…」
「咲さん!襟が変ですよ…」
「あ。ありがとう、和ちゃん!」
「はい、これで完璧です。」
「和ちゃん…」
「咲さん…」
二人の顔がゆっくりと近づいていく。
しかしあるところで和の顔が止まった。
咲はあれ?と、目を開けると、柱の陰から小さい影が。
「つつつ椿!」
「きゃー!見つかった!」
「……」ドキドキ
面白がる椿と煙でも出しそうな櫻に和はがっくりとした。
すると咲は三人に笑いかけた。
「いいんだよ、夫婦なんだから!」
和に口付けた。
きゃー!とはしゃぐ椿と、えへへと照れる咲。しかしそれとは対照的にぼーっとする和と櫻は、全く同じ顔をしていた。
「「(似てる…)」」
「ほら、和ちゃん行こっ!」
「は、はい!
では椿、櫻さん。お腹が空いたら冷蔵庫にプリンがあるので、食べてもいいですよ。お昼はサンドイッチです。」
「やったあ!いってらっしゃーい!」
「いって…らっひゃ…」
まだ櫻はぼーっとしていたが咲と和は玄関を出た。
「(夫婦…咲さんと夫婦…)」
和も上の空だった。
ONE DAY⑪完
最終更新:2010年04月25日 23:26