〈和視点〉
可愛いものが好きです。
だから、エトペンが好きで、ネット麻雀のアバターも個人的に可愛いいと思うものにしました。
実は、「のどっち」のアバターは結構自信作なんですよ。
でも、今一番可愛いと思うものはエトペンでもなくて、「のどっち」でもありません。
〈咲視点〉
和ちゃんは可愛いものが好きらしい。
「高校生にもなって、ちょっと恥ずかしい話ですけど」
なんて、はにかみながら教えてくれたけど、
それが結構ぐさりと来る言葉だって、自分ではわかっていないところが和ちゃんらしい。
初めて会った日、凄く綺麗で、可愛くて、セーラー服のタイの色を見ても同じ一年生だなんて思えなかったっていうのに…
「可愛いものが好きです」
シレっと言うんだから。
そんなことされたらこっちはたまらないんだよ? 和ちゃん…。
〈和視点〉
学校帰り、こうして一緒に歩いていると、つくづく咲さんは可愛いと思ってしまう。
少し癖のある猫っ毛の髪、
光を受けて薄赤く輝く瞳、
そして私の名前を呼んでくれる澄んだ声、
全てが可愛くて、まともに視線を合わせることが出来ないくらい。
でも、そんな風に私が目を逸らすと、咲さんは最近ちょっぴり面白くなさそうな顔をする……
〈咲視点〉
和ちゃんに比べたら、私なんてちっとも可愛くないってことはわかってる。
だからって、あんなにあからさまに目を背けなくたっていいと思うんだ。
和ちゃんってば、私と目が合うとすぐそっぽを向いちゃって、
そのことで私が結構傷付いているなんて、ちっとも思っていないんだ……
和ちゃんは可愛いいものが好き
でも、私は可愛くない
それでなのかな? なんだか面白くない
〈和視点〉
肩を並べて歩きながら、ふと風に乗って咲さんの匂いが漂って来た気がして、頭がくらくらしました。
そのせいで自分の足に躓いて、倒れこみそうなって――――――
けれど地面の固い感触はついぞ訪れず、恐る恐る目を開くと、私は咲さんの腕に抱きとめられていました。
「大丈夫?」
尋ねる声がいつものように澄んでいて、それがなんだかとても……
〈咲視点〉
びっくりした。
和ちゃんってば、転びかけたと思ったら、慌てて抱きとめた私に向って
「かっこいいです」
なんて言うんだもん。
それってちょっとだけ複雑だよ…
だって、可愛いわけじゃないしさ
〈和視点〉
咲さんはかっこいい
かっこいいものは、、、大好き
いつかそのことを伝えられたらいいなと、そんなことを考えながら、私は再び咲さんと一緒に帰り道を歩き出しました。
最終更新:2010年04月26日 20:45