5-463氏 溶け残り。

――たったったった・・・


「・・・ん?」
「―さん!咲さーん!」

「ふぇっ!?どうしたの和ちゃん??」
「こ、これ・・・!はぁ、はぁ・・・これ!どういうことですか!?」

「ど、どういうことって・・・私があげたチョコがどうかしたの?
 あ、もしかしてそのクローバーのこと?それねー私もびっくりしたんだけd」
「ち、違いますっ!そうじゃなくて、いえそれもですけどそうではなくて!
 ・・・な、生チョコだけじゃなかったんですか・・・?」

「――!?な、なんでそれを・・・あ、まさか・・・」
「・・・はい。先ほど、須賀くんと話していましたよね?」
「・・・あちゃー、聞かれてたんだ」
「・・・すみません」

「ううん!和ちゃんが謝ることじゃないよ!
 むしろ私のほうこそゴメン、困らせるようなことしちゃって・・・」
「いえ、咲さんだって謝る必要はありません!それに私は別に困ってなんか・・・」
「・・・ないの?」
「な、ないです!私はただこのクッキーとクローバーの意味が知りたい、それだけです!」

「い、意味・・・!?えっと、意味はその・・・なんというか、
 和ちゃんには普段ホントにお世話になってるから、そのお礼も含めてみました、という・・・」
「・・・お礼・・・だけ、ですか?」
「―――う、うん・・・余計だったかな?」
「っ!そんなこと・・・そんなことありません。
  とても嬉しいです。―――ただ、少しうぬぼれていました」

「え?何?」
「いえ、何でも。とにかく、本当にありがとうございます、咲さん」
「う、うん。。あ、でもそのクッキーとクローバーは和ちゃんにだけの“特別”だからね?」
「えっ・・・!?そ、それはどういう・・・?え、本当ですか?」
「うん!お父さんにもちょっと焦げたとこくらいしかあげてないし♪」

「――!す、須賀くんや部長には渡してないんですか!」
「なんでそこで京ちゃん?まあいいけど、和ちゃんにだ・け!だよ?」
「~~~・・・ッ!
 そ、そうですか・・・!お礼って言うからてっきり麻雀部の皆さん全員にだと・・・っ!」
「あは、それだとさすがに私のお財布がもたないかな~と思っt」
「咲さんっ!」
「!? はっはい!?」

「生チョコもクッキーもクローバーも、本当にありがとうございます!
 どれも全部、おいしくいただきますから!」
「う、うん!?よろしくどうぞ!(?)」


相変わらず、その手のことにはめっぽううとい少女Sは
突然テンションが高くなった少女Nの真意に気付くことはなく、

一方その少女Nは、最後に発した言葉ではまるで
クローバーまで食べてしまうかのような意味であることに気が付かなかった。

だけどまあ、いいじゃないか。
なんだか2人とも、幸せそうに見えるのだから。

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最終更新:2010年06月15日 09:06
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