18禁連載 ⑥

<和視点>

ぐるんと目が回って……。
視界の先に鉄骨で組まれた梁が見えました。
少ししてから、私はそれが武道場の屋根を内側から見た物だと気づいたんです。

(そういえば柔道の授業中なんでした)
(えっと、それで……)
(私は咲さんに押し倒されて……)
(畳に仰向けになっているんでしょうか?)

背中に伝わる固い感触はおそらく畳みのものでしょう。
目の前に見える横顔は咲さんのものに違いありません。
それと同時に、やけに体が重たいのは、おそらく二人分の体重がかかっているからでしょうか…?
自分の置かれている状況を手探りで確かめていた私の耳に先生の声が響きます。

「はい、押さえ込み入ったよ。上になっている方はそのまま30秒押さえ込む。下になっている方は何とか脱出する」

その言葉を聞いて、ようやく頭が追いつきました。
事前に読んだ柔道のルールブックに照らし合わせると、私は今、横四方固めという技で咲さんに押さえ込まれている状態。
このまま25秒が過ぎると咲さんに技ありが入り、さらにもう5秒経過して30秒となれば…

(咲さんの勝ち、つまり私の負け……)
(ま、負けたくありません!)

咲さんは恋人。
ですが、それと同時にライバルでもあります。
たとえ麻雀ではないとしてとも、そのライバルにこうも簡単にやられては立つ瀬がありません。

(それに今は一緒に暮らしているわけですし、微妙なパワーバランスも当然あるわけで……)
(最近は私が咲さんを抱くというか…)
(ベッド上で主導権を握ることも増えてきていますし…)
(出来れば今後はもっと私が咲さんをリードしたい、なんて…)
(だから、絶対に負けたくありません!)

負けず嫌いの虫が頭をもたげ、私は必死で手足をバタつかせました。
すると、横四方で押さえ込んでいた咲さんも俄に力を込めてきたんです。

(も、もしかして、咲さんも私と同じことを?)

そんな想像が頭に浮かんで、私はすっかりヒートアップ。
これはなんとしても負けるわけにはいかないと体をジタバタさせ、その甲斐あってか咲さんの押さえ込みから逃れられそうになったんですが、その瞬間

「きゃあっ!?」

体が硬直して、また咲さんの押さえ込みの中に捕まってしまいました。

「ず、ずるいです!!」

思わず声を大きくしたのは、咲さんが横四方で抑えていた手で私の感じ易い部分を触ったから。
それは、たまたま当たったという類のものではありませんでした。
私の意気を挫くよう意図的になされたもので、どうしてそれがわかったかというと、いつもその触り方で泣かされているから///
こんな所まで来てそんなことをするなんて、私は恥ずかしくなると同時に

(でも、このままでは負けてしまいます…)

勝負師としてウィークポイントを攻め立ててくる咲さんが憎らしくなりました。



<咲視点>

(和ちゃんと寝技!?)

最初のうちはそのことにドキドキしたんだけど、ふと冷静になってみたら複雑な気持ちになった。

もし、私が一緒にこの柔道の授業を履修してなかったら、和ちゃんは私以外の誰かとくんずほぐれつすることになってたんだ。

そう考えると、ドキドキとはまた別の感情がわき上がってきた。


(和ちゃんは自覚してないみたいだけど、それって私がいながらとっかえひっかえ色々な人に手を出す浮気者と一緒な気がする)
(もし男の子が相手だったらどうするの!?)
(勿論、女の子でも絶対駄目だよ!)

なんとなく面白くない気分になって、そうなると

『はい。男女共修ですが?』

無邪気に言っていた和ちゃんがちょっと憎らしくなった。

(和ちゃんをガードするために履修しておいて良かった)
(和ちゃんってば、本当に世間知らずなんだから)
(私がどう思うかなんてちっとも考えてないし)

こういうのを、可愛さ余って憎さ百倍って言うのかも知れない。
私は、

(一度ちゃんとお仕置きしなきゃいけない!)

寝技の練習開始と共に和ちゃんを押し倒すと、そのまま上に覆いかぶさって、さっき先生に教えてもらったばかりの横四方固めという技へ移行した。

(世間知らずの和ちゃんに、しっかりお仕置きしなきゃ)
(そもそも、和ちゃんの根がお嬢様なのがいけないんだよ!)
(私が手綱を取らなきゃいけないんだ!!)
(もう! 和ちゃんの考え無し! 浮気者!! えっと、えっと……わがままおっぱい!!!)

ちょっぴり苛々していたこともあって、押さえ込んでるうちに色々な考えが浮かんできた。
言葉は悪いけど、コテンパンにしてわからせなきゃっていう気になったんだ。
だから、和ちゃんが押さえ込みから逃れようともがいた時、絶対に離すもんかって、私は更に意固地になって力をこめた。
でも、あんまり和ちゃんが激しく抵抗するから逃げられそうになっちゃって、それでついズルをしてしまった。
押さえ込んでいた手を使って、和ちゃんの敏感な部分を触ったんだ。
そしたら

「きゃっ!?」

っていう声と共に体がビクンと硬直して、和ちゃんはまた私の手の中に。
続けて

「ず、ずるいです!!」

恨めしそうに言うのが聞こえてきて、私はその瞬間、凄くドキドキした。
自分でもびっくりしたけれど、なんだか和ちゃんを思いのままに出来たような気がしたんだ。

(これが征服欲なのかな?)

漠然とそんなことを思いながら、必死にジタバタする和ちゃんを上から見下ろしていたら、ドキドキが大きくなった。
だって、為すがままっていう言葉が本当にぴったりなんだもん。
どんなに頑張っても、いつの間にか柔道着からはみ出たおっぱいにそれとなく鼻先を擦れば、

「ひゃぅんっ」

と身もだえして、股の間に差し込んで押さえ込んでいる手を動かせば

「やっ、ずるいっ」

ビクンと体を硬直させて、私から逃げられない和ちゃん。
負けず嫌いだから、目尻にうっすらと涙を滲ませて、それでもなんとか逃げようとする姿にドキドキを通り越してゾクゾクした。
私はそんな和ちゃんにもっと意地悪してあげたくなって、押さえ込むために下半身に回していた手をそれとなくお尻の方へ回した。
私が何をするつもりなのか、その意図を察した和ちゃんが

「やめて下さい」

って訴えかけるような目を向けたけど、無視を決め込む。
畳と和ちゃんのお尻の間に挟まっているその手の指を立てて、お尻の割れ目に沿って動かすと

「はぅんっ」

思った通りに腰が跳ねた。
私は上から体重をかけてそれを押しつぶして、おっぱいの弾力を楽しんで、トントン、とお尻をノックする。
軽くノックしただけなのに、和ちゃんがジタバタするのが、また楽しい。

(駄目駄目、絶対逃がしてあげないから)

中指でお尻の穴をマッサージして、親指でいつも弄っている方を軽く刺激する。
その手つきに合わせて、額に汗を滲ませながら首を振る和ちゃんを見下ろしていると、凄く興奮した。
本当に、いつまでもこうしてお仕置きしていたくなるくらいに。
必死に足を閉じて差し込んだ私の手を自由にさせまいと頑張っても、鼻先で軽くおっぱいにタッチすると、

「んんっ」

って力が緩んで、その隙にまた二箇所攻めを再開出来る。
そのうち、頑張り屋さんの和ちゃんはまた必死に足を閉じようとするんだけど、

(駄目だよ)

思い通りになんてさせてあげない。
おっぱいに悪戯して、ほら、また元通り。
一本勝ちになる30秒なんてとっくのとうに過ぎていたけど、寝技の練習が終わるまで、私はその調子で和ちゃんを苛め続けた。
必死に逃げようとする和ちゃんは可愛くて、

「止め」

という合図がかかった後で、ぐったりと脱力した姿なんてたまらなかった。
他の履修生もいたけど、みんなの目を盗んで仰向けのまま放心しているそのおでこに思わずキスしてしまったくらい。
なんていうか、本当に可愛かった。


<和視点>

なすがままでした。
どんなに逃げようとしても、咲さんはずるい手を使って私を思うままに弄って、逃がしてくれなかったんです。
本当に酷いとお思いました。

(それに今は一緒に暮らしているわけですし、微妙なパワーバランスも当然あるわけで……)

なんて思っていた私は、計画倒れもいいところ。
流石にムッとしたので、柔道の授業が終わってからは、ずっと無視を決め込み、部活の間も目を合わせませんでした。
終わった後も黙ってアパートへ直行し、そんな私を少し後ろから追いかけてくるは咲さんは、今や

「和ちゃぁん」

すっかりいつもの子犬みたいな態度に戻っていますが、いい気味です。

(もう少し頭を冷やしてください)

散々私に意地悪したことにまだ苛々しつつ、時折

(でも、たまにだったらいいかもしれません)

そんな考えが浮かぶのを打ち消しながら、私は明日まではこのまま無視し続けようと心に決めて、家への道を歩き続けました。


続く
最終更新:2010年06月27日 02:04
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