18禁連載 ⑦

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<咲視点>

夜更かしは楽しい。
最近になってそのことに気がついた。
とりたてて何をするわけでもないんだけれど、昼の喧騒から離れられるだけでほっとする。
昔に比べて忙しくなったことも関係しているのかな?
自分のために時間を使うのが贅沢に感じられるんだ。
それで、次の日に一限の授業がない日なんかついつい夜遅くまで起きてしまう。

そういう時、街はしーんと静まり返っていて、時折車が走っていく以外、なんの物音もしない。
音だけじゃなくて、明かりも少なくて、私の家の電気がぽつんと点っているのはちょっと不思議な感じがする。
まるで世界に私達しかいないような、そんな気分になる。

取りとめもなくそんなことを思いながら、私は台所の電気をつけて薬缶を火にかけた。
間もなく沸騰したお湯を、ティーパックを入れたカップに注ぐ。
沸き立つ香りを楽しみながら窓を開ければ、そこには清澄高校から遠く離れた東京の街。
少しずつ見慣れてきた、夜の街。
私はそこで和ちゃんと一緒に暮らしている。
ぽつんと点る明かりのように、温かい時間が流れている。

夜更かしが好きなのは、和ちゃんと一緒に暮らしていることを噛み締めるのが好きだからかも知れない。
宵闇の中に静まっている街を眺めていると、我が家に点る明かりに心が落ち着く。
それはきっと一人じゃない安心感があるから。
大好きな人と一緒にいられる嬉しさがあるから。
何より、和ちゃんの温もりが感じられるから。

しみじみと紅茶を飲んでいたら、部屋のドアがノックされた。
開けると、和ちゃんが立っていた。

「お邪魔してもいいですか?」
「うん、勿論」
「咲さんの声が聞きたくなって」
「私も同じことを考えてた」

もう一度台所に行き、先ほどの薬缶をまた火にかける。
まだ冷えていなかったこともあって、お湯はすぐに沸いた。
新たに淹れたお茶を持って部屋に帰ると、和ちゃんが窓から街を見ていた。

「何か見える?」
「真っ暗で何も」
「うん」
「咲さんは何を見ていたんですか?」
「自分の部屋の明かりを見てたんだ」
「自分の部屋の?」
「うん。なんとなく安心するから」
「安心ですか?」
「和ちゃんと一緒に暮らしてるんだって、その明かりを見ると心が温かくなる」
「私も咲さんと一緒なんだって思うと凄く安心します。だから、ちょっと声が聞きたくなって…」
「怖い夢でも見たの?」
「咲さんがいなくなってしまう夢を見ました」
「……大丈夫だよ。和ちゃんを置いていなくなったりしないよ」
「本当ですか?」
「うん。だって、和ちゃんが好きだから」
「咲さん……」
「和ちゃんと一緒にいられるだけで嬉しい。明日も一緒にいたい。今日よりも、明日の方がきっと和ちゃんを好きになってる。どんどん和ちゃんを好きになる」
「私も、どんどん咲さんを好きになっています。離れ離れになるなんて、考えられません」

ベッドに腰掛けていた和ちゃんの隣に座って、カップをちゃぶ台に置く。
手を回して抱き寄せて、額と額を軽くぶつける。
目の前の和ちゃんが、好き。
今が一番大好き。
でも、明日になったらもっと好きになっていると思う。
どうしようもないほど愛おしくてキスをしたら、和ちゃんが私の唇を受け止めてくれた。
そこで止まらずに力を込めると、和ちゃんは抵抗せずにベッドに横になって、私の気持ちを受け入れてくれた。


続く
最終更新:2010年06月29日 23:49
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