学校を卒業して、和ちゃんと一緒に暮らすようになった。
同じ大学に行った私たちは、やっぱり麻雀部に入っていた。
「今日、どこかに食べに行きませんか?」
「うん、いいよ。」
いつも一緒。
それが当たり前だった。
「なに食べますか?」
「うーんと…パスタとか?」
「わかりました。そうしましょう」
そうして着いた、小さなレストラン。
禁煙かつ2人席に座って、注文した。
大学生になった和ちゃんは、より一層美しくなった。
髪を縛らなくなっていて、それがまた大人の女性にさせていた。
まわりの人が、彼女を振り返る。
…私だけのものなのに。
なんて、我が儘も言ってみたくなっちゃう。
「…悔しいなぁ」
「え?」
「ううん、何でもない…」
今日あった出来事とか、友達のこととかを喋る。
静かに時が流れた。
注文した料理が届いて、一緒に食べた。
交換こしたりして、美味しかった。
店を後にして、帰路につく。
「…ねぇ、和ちゃん…聞いて?」
「はい…」
前々から、思っていたことを言った。
念願の大学に入れて。
好きな人と一緒に過ごせて。
友達がたくさんできて。
好きな麻雀も続けられて。
何一つ陰りのない日常だった。
なのに…あの頃を思い出すと何でこんなに悲しいのだろう。
高校生だった時のことを思い出すと、なぜか、あの頃の方がよかったな…だなんて。
思ってしまったりするんだ。
「…おかしいね…私、我が儘なのかな…」
あの頃。高校生だった時。
みんなで全国目指していた時。
「…咲さん…寂しいですか…」
「…うん…」
なんでなんだろう。理由がわからないけれど、寂しい。
すると和ちゃんは…私を抱きしめた。
「…泣いて、いいんですよ…」
「…和ちゃん…」
和ちゃんの胸で、泣いた。
帰路、人がいないからといって、道で。
「…ぐすっ…和ちゃん…慰めて…」
「………はい…」
それから、家に向かった。
夜通し、慰めてもらった。
朝がきた。
「おはよう、和ちゃん」
「…ん…咲…さん…おはよございますぅ…」
「…昨日はありがとうね」
「私こそ…もう、寂しさはないですか」
「…昨日ほどじゃなくなったよ。ありがとう…大好きだよ、和ちゃん」
「…!」
朝から顔真っ赤になるあなた。
「もぅ…不意打ちは反則です!」
「あはは…朝ご飯、食べよっか」
「…はい」
大丈夫。もう涙は出ない。
最終更新:2010年04月23日 15:01