3-222 先生



明日から定期テスト。
私は早めにテスト勉強を始めていたので今日は夜更かしせずに済みそうだ。

「テストを気にせず麻雀が出来そうですね」

そう思いながら部室の扉を開けた。


「ああ、和。今日はもう終わりじゃ」

「え?何故ですか?」

「テスト勉強にするわ。赤点3つ以上はIHには出られないからね」

部長が優希を一瞥する。

「東京に行けないなんでやだじょ~」

ああ、なるほど…
優希を見て納得した。また準備を怠ったのだろう。
IHは合宿と違い、誰一人欠けることは許されない。
これは優希に頑張ってもらわないと…

「優希、頑張りましょう」

「そうだよ、優希ちゃん!私も手伝うから!」

「咲ちゃん…ありがとうだじょ~!」

?!宮永さんと優希が2人で勉強?!
させません!!!

「優希!私も手伝います」

「のどちゃんまで…皆ありがとうだじょ!
よーし、タコス仕入れて勉強だじょ!」

「では…どこで勉強しましょうか?」

「そうだねえ…図書館じゃ静かすぎるし…」

「私はタコスさえあればどこでもいいじょ!」

適当なところを考えていると、ある場所を思いついた。

(いやでも…いけません!まだそんな…)

(でも、ここで悩んでいても始まりませんね…)

「わ…私の家はどうですか?」

つ…ついに宮永さんを家に誘ってしまった…!!
顔から火が出そうです…

「私はOKだじぇ!」

「あ、そうでした」

「ん?」

優希がいるのを忘れていた。
安心したような、がっかりしたような…

「い、いえ!宮永さんはいかがですか?」

「うん!原村さんの家、行ってみたいな」

嬉しすぎです…優希がいてよかったかもしれません。
2人きりだと心臓がもちません…

「じゃあタコスを買ってのどちゃんちに行くじぇー!」

私たちは優希のタコスを買い、家へと向かった。
部屋につくと早速勉強を開始する。

「まずは英語だじょ!」

「数学は大丈夫なんですか?」

「数学は捨てるから大丈夫だじぇー!赤点は2つまで取れるから数学は諦めるんだじぇ!」

「まったく…では英語をやりましょう」

でも明日に迫った今、その作戦の方がいいかもしれない。

「あ、あのー原村さん…」

「?なんですか?宮永さん」

「英語は私も苦手なんだ。だから…私も優希ちゃんと一緒に教わっていいかなあ?」

「も…もちろんです!」

私が宮永さんに勉強を教える…夢にまでみたシチュエーションです!

「では、私が言う英文を日本語に訳してくださいね。」

「わかったじょ!」

「わかったよ、原村さん!」

「では…I have a pen.」

「私はペンを持ってるじぇ!」

「テストではじぇって書いちゃ駄目ですよ…
The girl standing over there is cute.」

「えと…向こうに立ってる女の子は可愛い…かな?」

「正解です。宮永さん、そんな苦手じゃないじゃないですか」

「そんなことないよ~」


しばらくこれを続けていると、私は名案を思いついた。

良心が咎めやめようかとも思ったけど…少しくらいならいいですよね…


「で、では宮永さん…I love you.」

「私はあなたを愛してます」

生きててよかったです…!

「なんか咲ちゃんの問題簡単だじょ」

「そんなことありません。優希、I can't distinguish a frog from a toad.」

「さ…さっぱりだじょ…」

「カエルとヒキガエルの区別ができない、です。宮永さん、ノ…Nodoka is my wife.」

「のどかは私の嫁です」

ああ、もう死んでも悔いはありません!
宮永さんの口からそんな言葉を聞けるなんて…

それからはまた普通に3人で勉強して、今日はお開きとゆうことになりました。

2人を玄関まで送り、部屋を片付けていると…



ピンポーン



こんな時間に誰でしょうか…パタパタと玄関へ向かいドアを開けると、宮永さんが立っていた。

「宮永さん?!どうしたんですか?忘れ物ですか?」

「ううん…そうゆうんじゃないんだけど…」

「では…どうしたんです?」

私は宮永さんの言葉を待った。

宮永さんはしばらくして、真っ直ぐ私を見て口を開いた。







「I love you,Nodoka.」


私が驚きと嬉しさで黙っていると宮永さんは顔を赤くして言った。

「は、原村さんみたいに上手く発音できないけど…」


「……して……さい……」

「え?なに?」



「さっきの英文…日本語に…訳してください…」

ちゃんと聞きたかった。宮永さんの気持ちを。
宮永さんは少し笑みを浮かべていた。


「…原村さんの方が英語得意でしょ?」

「…意地悪ですね」

「私はもういっぱい言わされたもん♪」

「~~!!!……お願いしますから…」


ほとんど涙目だった。多分顔は真っ赤だろう。

そして宮永さんは優しい声で言った。

「あなたを、愛しています。和。」

「私も…私もです」

涙がこみあげ、気づいたら宮永さんに抱きついていた。

「け…結構恥ずかしいね、これ…」

「いっぱい言えば大丈夫です」

「もう…」

私も、愛しています。…咲さん


おしまい



最終更新:2010年04月23日 15:03
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