咲と和の二人は学校からの帰り途中で寄り道をし、懐かしい遊びに興じていた。
場所は神社の階段。
夕日が二人の影を長く伸ばす中、
「「ジャ~ン、ケ~ン、ポン」」
二人の掛け声が響く。
「また負けてしまいました」
「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」
じゃんけんに勝った咲が、掛け声に合わせて階段を一段一段上って行く。
既に二人の間にはかなりの距離が出来ており、
「咲さんがあんなに遠くに…」
和が思わず寂しげな声を漏らした。
すると、それを見ていた咲が
「次に和ちゃんが勝ったら、自分で言葉を考えて沢山進んでいいよ」
落ち込む和を慰めるように一つのおまけを提案した。
「「ジャ~ン、ケ~ン、ポン」」
再び響く掛け声。
「勝ちました」
「チョキで勝ったから『チ』で始まる言葉を好きに作っていいよ」
ようやくじゃんけんに勝った和は、神社の階段を見上げ、
「ち、っ、と、も、勝、て、な、く、て、咲、さ、ん、が、ど、ん、ど、ん、
遠、く、に、行、っ、て、し、ま、っ、て、寂、し、か、っ、た、で、す、
も、う、置、い、て、行、っ、ちゃ、嫌、で、す」
声に合わせて一段一段上り始める。
やがてぴったりと横に追いついた和を見ながら
「う、うん。置いていかないよ//////」
咲が真っ赤な顔で頷き、その手を握った。
二人はもう離れず、肩を並べて夕日の中を帰っていった。
最終更新:2010年04月23日 17:59