朝日に白む部屋で目を覚ましたら、隣で寝ていた筈の和ちゃんがもうベッドから起き出してパソコンに向っていた。
体に触れようと伸ばしたてがすっかり宙ぶらりんになって、その先で触れた冷たい床の感触が寂しい。
(ちゃんと隣にいてくれなきゃ嫌なのに)
ちょっぴり落胆しつつ
「どうしたの?」
その後姿に声を掛けると、
「お早うございます。今、私と咲さんの相性を診断してたんです」
振り向いた和ちゃんの口から予想もしてなかった答えが返ってきた。
返答次第では拗ねて困らせてみようと思っていたのに、出鼻を挫かれたみたい。
「相性診断?」
「はい。この、無料で出来る結婚相性占いなんですが」
間を置かず、和ちゃんが説明しながら椅子の片側を空けたから、結局駄々の一つもこねられないまま、
大人しくベッドから起き出して隣の席におさまった自分が、何だか悔しい。
座った瞬間和ちゃんの体と密着して、触れ合った部分から温もりが伝わって来たけれど、
それが昨日の夜と同じだったから、やっぱりその時のことが思い出された。
改めて隣に居てくれなかった和ちゃんに対するもやもやが心の中で渦巻いて、
その仕返しにぎゅっと体に抱きつく。
「ど、どうしたんですか?」
「起きた時に隣に居てくれなくて、寂しかったんだよ?」
「ご、ごめんなさい//////。次からはちゃんと」
「うん」
申し訳なさそうに真っ赤な顔で謝った和ちゃんを見たら、不思議な位胸がすっきりして、
先程のもやもやが嘘だったみたいに、パソコンを覗き込むことが出来た。
「このサイト運営している無料の相性診断なんですが」
「あ、でも、やっぱり『女性』と『男性』の名前を入れるようになってるんだね」
「そうですね。じゃあ、まずは『女性』のところに『haramuranodoka』、
『男性』のところに『miyanagasaki』と入れてやってみましょうか?」
「う、うん(私が男の子なんだ//////)」
和ちゃんが馴れた手付きキーボードを打ち、すぐに診断結果の画面が現れる。
「えーと。『ケンカもするけど、仲良しカップル』?」
「そうみたいですね。
『仲がいいときと、悪いときの差が激しくて、ケンカの多い恋になりそうなカップルです。
さっきまでのいい雰囲気が急変、争いごとになってしまったり・・・。
波のある刺激的なお付き合いになるでしょう』
ということですが……」
「『小さなことでも、かくし事や嘘は二人を遠ざけます。
なんでも話し合ってお互いの信頼感を深めあいましょう。
そしていつも自分をみがく努力は忘れずに。デートはきちんと計画を立て、健康的な場所で。
お金を使いすぎないように注意しましょう。ケンカは二人にとって日常茶飯事ですが、必ずルールを守って。
いつまでもこだわりつづけるのはバツ』
かあ」
「咲さんと喧嘩をするなんて、想像がつかないです」
「私もそうだよ? 仲良しでいようね」
「はい//////。じゃあ次は逆にしてやってみますね」
先程と同じ調子で、診断結果が液晶画面に浮かび上がる。
「あれ、『ケンカもするけど、仲良しカップル』って、さっきと同じだよ?」
「この秘数というのが私と咲さんで同じなので、どっちにしても同じになるみたいですね」
「絶対喧嘩をしないようにしようね」
「はい」
最終更新:2010年04月24日 19:13