496 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2010/03/07(日) 16:18:31 ID:WmEtytFV Be:
『リングアウト!』
「WMA世界タイトルマッチ。この試合が終わった後、チャンピオンベルトを巻くのは
現チャンピオン 天江衣か、挑戦者 井上純か!
実況は私、国広一、ジャッジ原村和、そして解説には特別ゲストの龍門──」
カーーーンっ!
「おーーっとゴングが鳴らされました。試合開始です」
「と…ともきーーっ!!なんでゴング鳴らしてますのっ!まだ私の紹介が終わってませんわーーっ!!」
「(まぁまぁ、とーか。落ち着いて…ねっ?)では気を取り直して。
まずは両者様子見から。先に手を出したのは井上選手。左のジャブが…当たりません!」
「あの身長差ですわ。足元をちょこまか逃げ回る衣を捕まえるのは不可能ですわね」
「今度は天江選手、お返しとばかり渾身の────」
「衣は私の従姉妹ですのよ?さぁ、世界中にあなたの力を見せて差し上げなさいっ!!」
「右ストレートが空を切ったーーーーっっ!!!!」
「…………」
「天江選手、井上選手に手が届きませんっ!透華さん、天江選手の拳が届かないのですが…」
「……お…おーーほっほっほっ…」
「(笑って誤魔化したね、とーか…)さぁ、しかし天江選手あきらめない。
必死に井上選手の回りを飛び跳ねる姿はまさしくウサギさんだっ!」
「まるで幼稚園のお遊戯ですわね」
「会場も思わずほのぼのムードです」
…ぶっ!
「おっと、どうしたことでしょう。井上選手、鼻から血を流しています。
天江選手のパンチが当たったようには見えませんでしたが…。解説の透華さん」
「おそらく飛び跳ねる衣の愛くるしさに耐えられなくなったのですわ。
純はああ見えてカワイイもの大好きですから」
「しかし井上選手、普段はそんな素振りは見せていませんが?」
「ふふ…純は隠してるつもりでも私の目は誤魔化せませんわ!
私は知っておりますのよ。毎晩、純がクマさんのぬいぐるみを抱いて寝ていることをっ!!」
「井上選手っ、恥ずかしい日常を暴露されてしまったっ!!
キャラがキャラだけに試合後の周囲の視線を想像すると同情を禁じ得ませんっ!」
カンカンカンっ!
「ここで第1ラウンド終了です。では赤コーナ、チャンピオンサイドの様子はどうでしょう?」
──赤コーナー
「どうだっ!!見ててくれたか、咲?」
「うん。がんばったね、衣ちゃん」
なでなで
「や、やめろ、なでるな~~…ふにゅう~~…」
「天江選手、何か完全に力が抜けてしまっているようですが第2ラウンドは大丈夫でしょうか?」
「セコンドが選手にダメージを与えてどうしますの…」
バンバンバンっ!バンバンバンっ!!
「なんですの、この音は?」
「これは…ジャッジの原村和ですっ!原村和が床を叩いて号泣していますっ!そしてその視線の先は…
赤コーナーだっ!!『悔しいっ!私もなでられたこと無いのにっ!私も咲さんになでられたいっ!!』
そんな魂の慟哭が聞こえてくるようです」
「嫉妬に狂った女は恐ろしいですわよ…」
「さぁ続いて青コーナー、挑戦者サイドです」
──青コーナー
「しっかりするじぇっ!!」
「すまねぇ、やられちまった…」
「大人しくしてるじぇ。いま止血するじぇ」
「ちょ…ま、待てって。そんなに顔を近づけたら…」
「な…何を恥ずかしがってるじょ……。こ、こっちまで恥ずかしく…」
「「////」」
「こちらはこちらで、あやしい雰囲気になってまいりました」
ガンガンガンっ!ガンガンガンっ!!
「今度は何の音ですの…」
「これは…ともきーですっ!ともきーがゴングではなく机を叩いて号泣していますっ!その視線の先は…
青コーナーだっ!『悔しいっ!私よりそんなタコス臭い女がいいの?どうして私じゃダメなのっ!!』
そんな女の情念が聞こえてくるようです」
「私の紹介が終わる前にゴングを鳴らした天罰ですわ」
カーーーンっ!
「第2ラウンドが始まりました。おっと天江選手、セコンドから受けたダメージが抜けていないのか
足元がふらついているぞっ!井上選手、この機会を逃さないっ!右の拳を打ち下ろしたぁ!」
「こ、ころもーーーーっ!!」
なでなで
「井上選手、振り下ろした右手で天江選手の頭を撫でています」
「…心配したのがバカみたいですわ」
なでなで、なでなで
「…ふ…ふにゃああああぁぁぁぁ…………」バタンっ
「天江選手ダウンっ!ジャッジのカウントが始まります」
「1、4、7、9、10っ!」
カンカンカンカーン!!
「試合終了っ!あっという間の10カウントっ!…というかカウントが飛んだ気がしましたが…」
「やはり嫉妬に狂った女は恐ろしかったですわね…」
「あっ、倒れていた天江選手。目を覚ましたようです」
「咲…?そうか、私は負けたのか…」
「うん…。でも立派だったよ、衣ちゃん」
なでなで
「ふ、ふにゅ~…」ガクっ
バンバンバンっ!!!
「あのセコンドは自分が敗因だと、まだ気付いていないようですわ…」
「その後ろで必死に存在をアピールしている原村和にも気づいていないようです」
「ある意味、原村和が真の敗者ですわね」
「こちらは勝者、井上選手の映像です」
「よくやったじぇっ!ほら、これ」
「おっ、サンキュ!」
ガンガンガンっ!!!
「井上選手、セコンドの片岡トレーナーから花束を渡されました。これには感極まったのか
涙が止まりません。そして、こちらも後ろで懸命に存在を主張するともきーに気付く様子もありません」
「あ…はじめっ!あれは花束ではありませんわ」
「え…?あれは…巨大なタコスですっ!井上選手の涙はタバスコに目をやられたものでしたっ!
これはキツそうだっ!井上選手、悶絶っ!渡した片岡トレーナーも悶絶しています」
「衣たちまで悶絶してますわね…。どれだけ強力なタバスコを使えばこんな事態に…」
「あっ、この非常事態に原村和と沢村智紀の両者も、想い人を救出すべくリングに飛び込んで───
悶絶しています…」
「わかりやすい三文コントですわ」
「そろそろ収拾がつかなくなってきたので、透華さんにこの試合を振り返っていただきましょう」
「やっと私の出番ですわね。まず、この試合のポイントは────」
「あっ、ここで放送時間が無くなってしまいました。それではみなさん、さようなら」
「お、お待ちなさい。まだ私が目立って────」
『この放送は──
”アメリカでも大暴走” 池田自動車
”あなたの右目も光らせたい” フクジコンタクト
”大学受験って何だっけ?” カマボコ予備校
”働くあなたのパートナー” ビジネスホテル東横INN
──以上の提供でお送りしました』
最終更新:2010年03月11日 08:45