「ウサギは寂しいと死んじゃうんスよ?」

 リョーマの突然の言葉に驚く手塚。

 「だから…キ、キス…して?」

 「…越前?」

 今にも泣き出しそうな表情で懇願するリョーマ。

 「どうしたんだ?何があった?」

 リョーマにそっと近づき、抱き寄せる手塚。
 髪をゆっくりと梳いていく。
 その動作を振りほどくことなくリョーマは、ギュッと手塚の胸にしがみつく。

 「なん、でも…ない…ただ…不安になっただけ…」

 「…そうか…」

 「ね、キスして?」

 「…あぁ」

 優しい。脆い硝子を扱うような触れるだけの口付け。

 「もっと…」

 触れるだけの甘い口付けを何度も繰り返す。何度も、何度も、
 触れては離れる。

 「ふッ…うぅ…」

 「?…リョーマ…」

 突然、泣き出したリョーマ。

 「すき…国光さんのこと誰よりも好きぃ…」

 「俺も、リョーマを愛してる」

 「ぅん…」

 そんなリョーマを手塚は強く抱き締めた。

 「誰よりも愛してる。その言葉に嘘はない。天に誓っても良い」

 「…ぅん…」

 「だから、泣き止んでくれ…お前が悲しいと俺も悲しいんだ」

 「…御免なさい」

 「別に謝ることじゃない。不安になることは人として普通の事だ」

 そう良う手塚はリョーマが泣き止むまで抱き締め、髪を梳いていた。





 【サミシイウサギ】
 (貴方がいるからもう寂しくないよ?)



 2009.12.21.志花久遠.


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最終更新:2010年02月03日 16:37