俺以外の名前を呼ぶのは許さない!
 だからさ…俺にしときなよ?




 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─




 「ね!部長!」

 「…何だ…」

 脈絡のない越前の言葉に手塚は困った。
 数日前からこの調子なのだ。

 なにが『この調子か』というと…

 一緒にかえりましょう!、ご飯食べましょう!など誘ってきているのだ。
 しかも少しテンションが高めだ。

 現に今も、

 「だーかーらー!早く帰りましょうって!」

 と、ニコニコと微笑みながら言うのだ。
 この微笑み具合は他の部員は、見たことないに違いない。


 「…先に帰って良いと言っているじゃないか…」

 「それじゃあ、約束した意味がないじゃないッスか…」


 確かにそうかも知れないが…と手塚は思うが口には出さない。
 もう反論する気も無いらしい。

 「それに、夜に俺1人歩いてたら……捕まっちゃうかも…よ?」

 上目に手塚を見る瞳はウルウルと涙を張っていた。
 手塚はこの仕草に弱いことを越前は知っていた。

 「解ったから…早く着替えを済ませておけ。部誌を出してくる」

 「はぁい!」

 もそもそと着替え始めた越前の横を通り過ぎ、扉を開ける。
 扉が閉まると同時に溜息をつく。

 「どうも慣れない…」

 苦虫を潰したように顔を歪めた。

 越前は手塚のことを好いているが、手塚もまた、越前のことは好いていた。
 しかしこの積極的なアプローチは慣れないでいた。


 「まぁ…いつか言ってやるさ」


 1人苦笑いをし、部室で着替えて待って居るだろう未来の恋人に言った。



 2人が一緒になる日は、そう遠くないのかもしれない…





 【全て俺のモノ!】
 (俺だけしか見えないようにしてやるもん!)







 ・─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─・
 袈南 様。リクエスト有り難うございます!
 内容に沿っているかは微妙ですが、
 こんな物でも宜しければお納め下さいませ。

 2009.12.25.志花久遠.



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最終更新:2010年04月16日 13:41