「越前?」
顧問の竜崎との話し合いで部室に戻るのが遅くなった手塚は、部室に入った途端、目を丸くした。
手塚の目線の先には、ベンチに横になって眠るリョーマがいた。
「…待っていてくれたのか?」
「…ん…、国……光…」
寝言で、二人きりの時しか呼ばない自分の名を紡ぐリョーマに、自然と笑みがこぼれる。
「ついさっき寝ちゃったんだよ」
「不二…」
部室のドアが開き、不二が入ってきた。
「ずっと居たのか?」
「妙な輩が近づかないようにね」
「そうか…、すまない」
「構わないよ。彼を狙う人は多いから…」
不二がリョーマの頭を撫でる。
不二は部活内で唯一、手塚とリョーマが恋人同士である事を知っている人物である。
「起こす?」
「いや、もう少し寝かせておこう」
手塚が、普段は見せないような笑みを零す。
「じゃあ、僕は帰るよ。後は二人でごゆっくり」
そう言って、不二は部室から出て行った。
「…スー‥スー‥」
「…よく寝ているな…」
穏やかな寝息をたてるリョーマに、手塚は軽い口付けを落とした。
「…ん…、…」
「愛しているぞ、リョーマ」
学校内ではあまり近付けないが、部活が終われば、こうして二人きりになれる。
今日も、恋人たちの甘い時間がはじまる。
『
スタートラインは僕の後ろに』の1000番キリリクとして、終さまより頂きました!
寝ているリョマはさぞかし可愛いことでしょう!
志花久遠
最終更新:2010年08月09日 19:01