「眠いのなら寝たらどうだ?」
「イヤ!まだ起きてるの!」
本当は眠いのだろう。
その証拠に俺の胸に頭をすりつけ、何か呻いている。
この行動は、リョーマが眠いときに良く見られる。
「何故そこまで…」
「…別に…」
そう言いながらも瞳は閉じられていた。
「いま何分?」
「11時59分だが?」
「…え!?ちょッちょっと待って!!」
そう言うと、俺の腕からすり抜け自分のカバンを漁り始めた。
そして俺に背を向けたままリョーマは再度、時間を聞いてきた。
「何分?」
「12時ちょうどだ。」
俺が返事をするとリョーマは振り返り、
「Happy Birthday!国光さん!」
突然、俺に祝福の言葉と小さな正方形の包みをくれた。
「!…あ、ありがとう…」
「やっぱり忘れてた?」
「あぁ…」
「へへっ、国光さんらしいよ!」
俺らしいとはどういう事か気になるが、
リョーマに言われたことが嬉しい。
「一番にね、おめでとうって言いたかったんだ!だから起きてた!」
成るほど。それであんなに意地になっていたのか…
本当に可愛いやつだ
「ねぇ!開けてみて!」
「あぁ」
リョーマの言葉に促され、ガサガサと包装を解いていく。
すると、小さな青い箱が出てきた。
まさか…コレは…
「リョーマ…」
「ほら早く!早く!」
蓋の部分をパコッと開けると予想通り、指輪が入っていた。
細めのリングに、俺の誕生石のトルマリンが一つだけついたシンプルなものだ。
「…高かっただろう…」
「大丈夫!お年玉が余ってたから!国光さん、指輪かして!」
そう言われ俺は、リョーマに渡した。
「手、出して」
素直に手をさし出すと、指輪がスッと俺の指にはめられた。
リョーマは何だか嬉しそうだ。
「うん!ピッタリだね!」
「あぁ、有り難う…リョーマ
…愛してる」
リョーマを抱き寄せ、耳元で囁く。
するとリョーマの耳が若干、朱に染まった。
「俺も、国光さんのこと…す、き…」
よほど眠かったのだろう、それだけ言うとリョーマは深く眠った。
今年の誕生日は、最高の誕生日になった。
腕の中で眠る、小さくも大きい恋人に俺はキスを贈った。
【今日、最初の言葉】
(あれ?手塚、その指輪どうしたの?)
(誕生日プレゼントだ…)
(…成るほどね)
部長お誕生日おめでとう^^
2009.10.07.志花久遠.
最終更新:2010年02月03日 16:32