@存在論



■1.用語説明



◆1.「存在論」


ontology
(Oxford Dictionary of English)
[mass noun] <philosophy>
the branch of metaphysics dealing with the nature of being:
[early 18th cent.:from Latin ontologia, from Greek on, ont- 'being' + -LOGY.]
ontology
(Britannica Concise Encyclopedia)
Theory of being as such.
It was originally called "first philosophy" by ARISTOTLE.
In the 18th century CHRISTIAN WOLFF constrasted ontology, or general metaphysics, with special metaphysical theories of souls, bodies, or God, claiming that ontology could be a deductive discipline revealing the essences of things.
This view was later strongly criticized by DAVID HUME and IMMANUEL KANT.
Ontology was revived in the early 20th century by practitioners of PHENOMENOLOGY and EXISTENTIALISM, notably EDMUND HUSSERL and his student MARTIN HEIDEGGER.
In the English-speaking world, interest in ontology was renewed in the mid-20th century by W.V.O.QUINE; by the end of the century it had become a central discipline of ANALYTIC PHILOSOPHY.
See also IDEALISM; REALISM; UNIVERSAL.

ontology
(ジーニアス英和大辞典)
[哲学]
1. 存在論, 本体論.
2. 《広義》形而上学(metaphysics).
ontology
(新英和辞典)
1. 〖哲学〗存在論, 存在学 《自然学・実践学などの個別領域の研究、また特に現象的世界を主たる対象とする認識論よりも、存在一般、とりわけ超越的存在を哲学の主題とする立場; cf. First Phylosophy, phenomenology》
2. 〖神学〗存在論, 本体論

そんざい-ろん【存在論】
(広辞苑)
(ontology)
あらゆる存在者が存在者としてもつ共通の特質やその根拠を考察する学問。
アリストテレス以来、形而上学の基礎的部門。
学としての形而上学はカントにより批判的に再建され、その後も観念論的存在論や唯物論的存在論等が輩出し、現代でも人間実存の分析を通じて存在一般の意味を明らかにしようとする新しい存在論の試み(ハイデガー・ヤスパース・サルトルら)がある。
存在学。オントロギー。
そんざいろん【存在論】
(ブリタニカ国際大百科事典)
(ontologia; ontology)
存在者一般に関する学
ontologia の語は1613年ゴクレニウスが最初に用い、クラウベルクを経てウォルフにいたり用語として定着したが、存在論自体は古代にさかのぼる。
アリストテレスの第一哲学がそれであり、以降の歴史においても形而上学の中核は存在論であった。
カント以降哲学の主流は認識論に傾いたが、20世紀に入って N.ハルトマンの批判的存在論や M.ハイデガーの基礎的存在論、また実存哲学の興隆によって再び存在論が哲学の中核となった。
そんざいろん【存在論】
(百科事典マイペディア)
英語 ontologye などの訳で、17世紀のR.ゴクレウスの造語(ontologia)になるという。
<あるということはどういうことであるか>(和辻哲郎)を問う哲学の一部門。
しばしば認識論に対比される。
個々の存在者ではなく、存在者一般に関する学であり、すべての存在者が存在者である限りにおいて共通にもつもの、あるいは存在そのものおよびそれのもつ最も根本的・普遍的な諸規定を考察する。
アリストテレスにおける<第一哲学>としての形而上学は存在学であり、また中世のスコラ学はアリストテレス存在論の伝承をめぐって展開された一面をもつ。
近世に入ってウォルフは存在論を特殊存在を論ずる諸部門の総論として、理性的認識による<本体>の学と考えた(そのため以前は存在論は<本体論>といわれた)が、カントはこれを認識の可能性に関する吟味を欠く独断論として否定し、代わって<先験哲学>を提唱した。
しかし、カントの後、存在論は新たに認識論に対抗する意味で復活し、ヘーゲルの存在論の意味での論理学、N.ハルトマンの批判的存在論、フッサール、ハイデッガー、サルトルらにおけるおのおの独自の現象学的存在論などにみられるように、それは存在論あるいは形而上学に認識論を先行させるカント的立場に対して、逆に存在論あるいは形而上学を基礎にして認識論を説くものである。
⇒認識論

◆2.「存在」



そんざい【存在】
(広辞苑)
ある、または、いること。および「あるもの」。動詞の表す内容のうち、その場で動かす時間の経過する状態。「神の-」「偉大な-」「歴史上に-する人物」
[哲] (being イギリス・ Sein ドイツ)
<1> 何かがあること、またはあるもの。実体と属性とに分かれ、前者は基体・本体のようにそれ自体で独立にあるが、後者は前者に付帯して依存的にある。また、実体には自然的・物的なものと、意識的なもの、さらに超自然的で非感覚的なものとがある。有(ゆう)。
<2> 命題の主語と述語とをつなぐ繋辞(copula ラテン)としての「ある」。→繋辞(けいじ)。
そんざい【存在】
(ブリタニカ国際大百科事典)
(being; etre; Sein)
有ともいう。哲学における最も根本的な概念。それゆえ十全に定義することはできない。
通常、(1) 何か「がある」、(2) 「何か」がある、(3) 何かは何か「である」(内的規定)の3様の意に用いられ、それぞれ、 (1) 実存または実在、(2) 存在者、(3) 本質 とも呼ばれる。
中世スコラ哲学では可能態である (3) が、現実態である (1) によって現実化され (2) となると説明される。
(3) の観点から主語となって述語とはならない実体と、その逆の偶有が区別されている。
また (1) と (3) との間には現実的な区別が存するか否かが大論争された。
近代以後、存在は客観的に存してこれを主観がとらえるとする立場と、主観が構成するものとする立場とに分かれた。
M.ハイデガーは存在者とその規定根拠としての存在を峻別する。

オン (on)
(ブリタニカ国際大百科事典)
ギリシャ語で「ある」「あるもの」を意味し、「有」「存在」などと訳される。
(1) プラトンは、「真の有」 ontos on (オントス・オン) がイデアであるとし、
(2) アリストテレスは、「存在である限りの存在者」 on he on を扱うのが哲学であるといった。
オントス・オン (ontos on)
(ブリタニカ国際大百科事典)
ギリシア語で「真にあるもの」の意。
プラトンによると、生成変化消滅する感覚的事物としての存在者は、真の意味で「存在する」ものではない。
「真に存在するもの」は色もなく形もなく触れることもできず、ただ魂 psyche の導き手であるヌース nous のみがみることのできるもの、すなわち永遠に自己同一を保つオン on であり、イデア idea である。
ontos はプラトン的意味の on を強調する副詞。


◆3.「オントロジズム(本体論主義)」



オントロジズム
(ブリタニカ国際大百科事典)
(ontologism)
存在(本体)論主義ともいい、あらゆる認識の究極に、客観的で認識不可能な無限の存在、すなわち神をおく哲学上の立場。
すなわち、人間の認識を成立させるのは神であり、この神は純粋直観によってしかとらえられないとする。
19世紀前半のイタリアの哲学者ジョベルティの哲学に顕著であるが、プラトン、アウグスチヌス、マルブランシュらもこれに数えられる。
ontologism
(リーダース英和辞典)
[神学] 本体論主義 ⦅直観による神の認識を一切の認識の前提とする⦆
ontologism
(ランダムハウス英和大辞典)
1.  [神学] 本体論主義: 人間の知性は、その本来の認識対象として、またすべての認識の基本原理として神を直観的に認識するという説
2.  [哲学] 存在・非存在を判断する根拠が神であるとする説
  [1865]
最終更新:2020年02月02日 17:14