@認識論



■1.用語説明



◆1.「認識論」



epistemology
(Oxford Dictionary of English)
[mass noun] <philosophy>
the theory of knowledge, especially with regard to its methods, varidity, and scope, and the distinction between justified belief and opinion.
[mid 19th cent.:from Greek episteme 'knowledge', from epistasthai 'know, know how to do'.]
epistemology
(Britannica Concise Encyclopedia)
Study of the ①origine, ②nature, and ③limits of human knowledge.
Nearly every great philosopher has contributed to the epistemological literature.
Some historically important issues in epistemology are:
(1) whether knowledge of any kind is possible, and if so what kind;
(2) whether some human knowledge in innate (i.e, present, in some sense, at birth) or whether instead all significant knowledge is acquired through experience (see Empericism; Rationalism);
(3) whether knowledge is inherently a mental state (see Behaviourism);
(4) whether certainty is a form of knowledge; and
(5) whether the primary task of epistemology is
<1> to provide justifications for broad categories of knowledge claim or
<2> merely to describe what kinds of things are known and how that knowledge is aquired.
Issues related to (1) arise in the consideration of Skeptism, radical versions of which challenge the possibility of ①knowledge of matter of fact, ②knowledge of an external world, and ③knowledge of the existence and natures of Other Minds.

epistemology
(ジーニアス英和大辞典)
[哲学] 認識論《◆現代では theory of knowledge と呼ばれる》
epistemology
(オーレックス英和辞典)
〖哲〗認識論《知識の性質や起源などを研究する哲学の一部門》

にんしき-ろん【認識論】
(広辞苑)
(epistemology; theory of knowledge(イギリス)、Erkenntnisthorie(ドイツ))
認識の起源・本質・方法・妥当範囲などを論究する哲学の一部門。
近代に入ってロックが哲学の中心問題として取り上げ、カントのよって体系的に確立された。
認識の起源については経験論・合理論、その対象については実在論・観念論などがある。
知識論。知識哲学。
にんしきろん【認識論】
(ブリタニカ国際大百科事典)
(Erkenntnistheorie; epistemology)
知識論、知識哲学ともいう。
哲学の一部門で、認識、知識の起源、構造、範囲、方法などを探究する学問。
「認識論」という言葉自体は近代の所産であり、Erkenntnistheorie が最初に用いられたのは、K. ラインホルトの『人間の表象能力新論の試み』(1789)においてである。
epistemology はギリシア語の episteme (知識)+ logos (論理、方法論)に由来するが、この言葉が最初に用いられたのは、J. フェリアーの『形而上学原論』(1854)においてである。
(1) もちろん、認識の哲学的考察は、古代・中世においても、神の認識をめぐって為されたが、人間の主体の認識問題として哲学の中心部門に位置を占めるに至ったのは、近世において、である。
<1> J. ロックの『人間悟性論』は、この認識の問題の転回点に立つものであり、
<2> D. ヒュームらイギリス経験論により認識論の近代的性格は、さらに明確にされ、
<3> I. カントにおいて大成された。
カントの認識論は、認識を①事実問題としてではなく、②権利問題(※注:事実の価値・妥当性の問題)とした点で、「認識批判」の意味をもっている。
(2) 認識論は、形而上学と並んで哲学の2大部門をなすが、両者の関係については、立場によって異なり、
<A> ロック、デカルト、カントらによれば、認識論は形而上学に優先し、
<B> B. スピノザ、ヘーゲル、S. アレクサンダー、A. ホワイトヘッドらによれば、逆である、とされる。
にんしきろん【認識論】
(百科事典マイペディア)
英語 epistemology, ドイツ語 Erkenntnistheorie などの訳で、<知識論> <知識哲学> とも。
知識・認識の本質・起源・根拠などを究明する哲学の一部門。
英語、フランス語の原語はギリシア語エピステーメー(知識・認識)とロゴス(学問・理論)の合成に由来する。
存在論あるいは形而上学と対比されて論じられることが多い。
アリストテレスとプラトンに発する経験論と合理論(理性論)の2大系譜、カントによるその総合がいわれるが、多くの認識論が拠る、数学に代表される科学的認識そのものが解体ないし再考されつつある現代にあっては、認識をも多様な存在関係の一つと見る新しい存在論の試みに比して、有力な革新はなされていない。

◆2.「認識」



エピステーメー【episteme(ギリシア)】
(広辞苑)
 [哲]
知識。特に、生成消滅する現象界について成立するドクサ(臆見)に対し、永遠不変の存在について成立する学問的知識をいう。
フーコーの用語。ある一定の時代の認識や言説を成立させる知の制度的枠組をいう。認識の台座。
エピステメ
(ブリタニカ国際大百科事典)
(episteme)
科学的知識、職業的専門知識、知識一般をさすが、哲学上の用語としては、①実践的知識(フローネシス)に対して②理論的知識、あるいは、③感性に基づく臆見(ドクサ)に対して④真なる知識をいう。
ドクサとエピステメの区別はすでにパルメニデスに見出されるが、それをさらに明白に区別したのはプラトンであり、彼はエピステメとエイドス(形相)を密接に関連させつつ、ドクサとアイステタ(感性的にとらえられたもの)に対立させることによって、真なる知識の位相を認識論的、存在論的に明らかにした。
アリストテレスにおいては、必然的永遠的なものを対象とする認識能力をいう。


にんしき-ひはん【認識批判】
(広辞苑)
認識の、①可能性、②妥当性、③限界、などの研究。
認識論とほぼ同義。
にんしきひはん【認識批判】
(ブリタニカ国際大百科事典)
(critique of knowledge; Erkenntniskritik)
(1) 一般には、人間の認識や認識能力に対する学問的考察・吟味をいうが、
(2) 歴史的には、特に、18世紀のヨーロッパ哲学における形而上学の可能性をめぐる認識能力の①起源、②本質、③限界などに対する一連の考察を指し、その代表者は、<a> J. ロック、および <b> I. カントといわれる。
<a> 前者が、認識はどのように成立しているのか、を事実的に問おうとしたのに対し、
<b> 後者は、認識がどのように成立するか、を権利的(※注:価値・妥当性の判断の問題として)に問うた。
これは、当時の社会の精神的基盤であった神についての理性的認識の根本を問うものとして重大な影響を及ぼし、従って、哲学とは認識批判を根底においた認識論である、との観さえ呈し、この傾向は20世紀初めまで持ち越された。
最終更新:2020年02月02日 17:35