@真理論



■1.用語説明



◆1.「真理」



truth
(Britannica Concise Encyclopedia)
In philosophy, the property of ①statements, ②thoughts, or ③propositions that are said, in ordinary discourse, <1> to agree with the facts or <2> to state what is the case.
At least four major types of truth theory have been proposed:
(1) correspondence theories (see Realism) (※注:対応説)
(2) coherence theories (see Coherentism, Idealism) (※注:整合説)
(3) pragmatic theories (see Pragmatism) and (※注:プラグマティズム)
(4) deflationary theories. (※注:真理のデフレ理論)
the later group (※注(4) deflationary theory) encompasses a wide variety of views, including ①the redundancy theory, ②the disquotaton theory, and ③the prosentential theory.

しん-り【真理】
(広辞苑)
(1) ほんとうのこと。まことの道理。「不変の-」
(2) [哲] (truth イギリス、Wahrheit ドイツ)
意味論的には、命題の表わしている事態がその通りに成立しているときに語られる。例えば、「雪は白い」という命題が真であるのは、事実雪が白いときである。
真理認識の方式には、おおよそ3つの立場がある。
<1> 観念(認識する知性)と実在との合致によって真が成立する、と考える対応説(correspondence theory)
<2> 当の観念が、整合的な観念体系の内部で適合するときに真が成立する、と考える整合説(coherence theory)
<3> 仮説が事実によって検証されたときに真が成立する、と考えるプラグマティズム
  現実の真理認識は、この3説によって成り立っている。
倫理的・宗教的に正しい生き方を、真理ということもある。
しん【真】
(ブリタニカ国際大百科事典)
真理が問われるのは、①判断、および、それを文章化したものとしての②命題である。
(1) アリストテレス、トミズムにおいては、真理は、①判断と対象が適合すること、と規定され、真理の基準として、①判断相互間の整合性をとる立場、すなわち <a> 整合説が出てくる(カントや、新カント派)。
(2) しかし、相互に整合的だが、全体がまったく虚構であるような①判断の体系は、真とはいえないから、どこかで実在との接点がなければならない(※注:<b> 対応説へ)。
(3) <c> プラグマティズムでは、真理は、それが行動を規制する有用性である、とした。また、何らかの意義深い①判断のみを真理とする傾向は、実在主義(※注:existentialism)にも顕著である。
また、①判断の名に値するのが、価値判断(⇒価値判断論争)であるとするなら、<b>対応説の内部でも、これをイデアとの適合とする《2》存在の真理を考えなければならない。
これはプラトン、アウグスチヌスの伝統に立って、トマスが、《1》認識の真理に対して、第2の真理としたもので、存在者は、それが神のうちにある原型的イデアと一致するとき、真である。
キリスト教において、真なる神とか、真理としてのキリストとかいわれるのは、この意味である。
しん-り【真理】
(精選版日本国語大辞典)
[1] ほんとうのこと。まことの道理。真実のこと。[落葉集(1598)]
*形影夜話(1810)上「各自見を逞うせしも多けれども、又皆其本明らかならざる事を基とせし故、真理を精詳にする事を得ざると知らる」
[2] 特に哲学でいう。
(1) 古代・中世には、認識が実在の事物に一致すること。
スコラ哲学では、この認識の真理をささえる絶対の真理として神を考え、神は信仰によって啓示されるとした。
(2) 近代では、判断が思惟法則に一致するという形式的真理と、判断が経験の先天的原理である悟性の法則に一致するという認識の真理がとりあげられた(カント)。
(3) 現代では、
<1> 命題の性質とみなされ、論理学におけるトートロジー(恒真式)群とその変形という形式的真理と、
<2> 命題と事実の一致という認識の真理、
<3> 命題が絶対とみなされた一貫した体系全体の必然的な一部分であると認められることという筋道一貫の真理、
<4> 命題が有効であるというプラグマチックの真理、
<5> 意識から独立に存在する物質とその運動を認め、物質を正しく反映する意識をさす唯物論的真理
    ・・・などに分かれて研究されている。
[3] 仏教で、真如(しんにょ)のこと。真実で永遠不変の理法をいう。
*懐風藻(751)和藤江守詠裨叡山先考之旧禅処柳樹之作(麻田陽春)「山静俗塵寂、谷間真理専」
*太平記(14C以降)四〇「文々に悲涙の玉詞を榮(みが)き、句々に真理の法義を宣られしかば」[方干-遊竹林詩]
しんり【真理】
(百科事典マイペディア)
一般に認識と存在、命題と現実の事態、命題相互が正しく一致・整合していること。
虚偽の対。
ギリシア語アレテイアの原義は<隠蔽性の否定>、存在者の立ち顕れで、たとえばハイデッガーはこれを根源的な真理値として採用する。
基準の置き方で真偽は相対的になるが、真理値の根拠のあくなき追求が西洋哲学史を性格づけている。
<それなくしては特定の種類の生き物(人間)が生きえないようなある種の誤謬>(ニーチェ)。
⇒虚偽

にじゅう-しんり-せつ【二重真理説】
(広辞苑)
自然的と超自然的、すなわち理性的と啓示的との2種類の真理が並び存するという説。
にじゅうしんりせつ【二重真理説】
(ブリタニカ国際大百科事典)
(theory of twofold truth)
神学と哲学、啓示と理性、信仰と認識のそれぞれの真理が互いに矛盾することがありうるとする二元論。
13世紀のラテン・アベロイズムがその典型とされる。
しかしその代表者シジェ・ド・ブラバンは、哲学とはアリストテレス研究であって、それが信仰と矛盾していてもかまわないと主張したにすぎない。
この一派は1270、77年にパリ司教E. タンピエによって異端とされた。
14世紀には哲学の厳密性を求めたドゥンス・スコツスが、神の存在や霊魂不滅などの命題を、論証しえないが信仰のうえでは真なるものとして二重真理説の傾向を示した。
その立場を明確に打出したのはオッカムで、彼とともに中世的な哲学が終る。
なお、教会内部ではあくまでも異端とされるこの立場の最近の例は、A. ロアジらの近代化運動にみられる。
最終更新:2020年02月02日 16:54