「ハ、ハルカさん!?」
「だけど、それはあの子達に対してとは違うって思っちゃうの。
 私、藤岡君よりも年上だけど、それでも風邪を引いちゃった時みたいに
甘えさせて欲しいって思うときがあるというか…。」
それで藤岡にも少しわかった。ハルカはずっと妹達の面倒をみてきた。
家庭の事情はよくわからないが、長い間自分を省みず、妹達の世話をし続けてきたのだろう。
こういった弱音を普段抑えていたとしても、おかしくはないと思った。
「…続けてください。」
ハルカの頭を優しく撫でる。それが今藤岡にできる精一杯である。
「…ありがとう。」
ハルカも満更でもない様子で、一旦顔を見上げ、微笑んできた。
不覚にも、そのハルカの笑顔に思わず見とれてしまった。
「でも、どう言えばいいのかな? あの子達と同じようにして欲しいといえば、ちょっと違うし…。
 ……うぅん、ちゃんと言うべきことはわかってるの…。」
ようやく決心がついたのか、ハルカは藤岡から離れ、真剣な顔で藤岡を見た。
「散々勿体つけてごめんなさい。用件を言うね。」
少し間をおく。しかし、今度は踏みとどまらない。しっかりと、その言葉を口にした。
「私は、藤岡君のことが好きなの。」

藤岡は驚きのあまり固まってしまった。自分の耳がおかしくなったのではと疑ったぐらいだ。
お互いベッドの上で正座したまま、ほとんど動かない。
「…えっと、藤岡君?」
固まったままの藤岡を不安そうに見る。藤岡も声をかけられたことで我に帰る。
「…すみません、ちょっと戸惑っちゃって。告白されるなんて思ってもいなかったから…。」
「そうなの? 藤岡君なら、そういうことあるんじゃないかと思ってたんだけど…。」
良くも悪くも、カナ一筋な藤岡は自分がどれだけモテているかなど考えたことすらない。
そう、藤岡にはカナへの想いがある。だから、ハルカの想いには応えられない。
(そうだ、ここでハッキリと断るべきだ! 変に期待をさせちゃハルカさんにも悪い。)
しかし、何故かそれを言葉に出すことができなかった。
バレンタインの時だって、カナ以外からのチョコは受け取らなかったというのに。
藤岡が考え込んでいると、ハルカが口を挟んできた。
「…藤岡君は私のこと、どう思ってるの? 教えて?」
「…オレが、ハルカさんをどう思っているか…。」
ハルカが返事を催促してきたことで、藤岡は自分の思いを振り返ってみた。
考えてみれば、今まではカナに夢中で周りをよく見ていなかった。
ハルカの見舞いに行った日、少しだけ考えたことは考えたものの、あの時は明確な答えが出なかった。

自分がハルカをどう思っているか。
ハルカは妹思いの優しいお姉さん、そして家庭的で妹達の母親代わりも務めるしっかり者。
ハルカに対する印象はその程度のことだったはずだ。しかし…



『…お父さん。』

以前泊まった時の甘えたようなハルカの寝言、その時の寝顔が頭に浮かんだ。
自分よりは年上だが、ハルカだって人の子であり、まだ未成年だ。あんなふうに誰かに甘えても良いはずである。
思えば、あの時から自分の中でハルカの存在が大きくなったのかもしれない。

ハルカの見舞いに行った日の帰りにトウマに指摘されたことを思い出す。
ハルカが笑った時自分も笑っていた、ハルカだけに見せた笑顔だったと言っていた。
あの時点で既にハルカはカナよりも大きな存在になっていたのだ。
(そうか、オレはハルカさんのあの笑顔が見たかったんだ…。違う、これからも見続けていきたいんだ!)

自分の中で結論を見出すと、ジッとハルカの方を見つめ直し、ハルカの両肩に手を乗せた。
今まで見たことがない藤岡の表情にハルカの胸は高まった。
「ハルカさん、オレ、あなたのことが好きです!」
カナへの告白よりもずっと力強く、はっきりと口にした。
「…え?」
まさか、自分の告白が受け入れられるとは思わなかった。
藤岡の返事を聞いた途端、思わず口に両手を当て、涙が出てきた。
「それじゃあ…。」
「オレと、…付き合ってもらえますか?」
再び藤岡の胸へと飛び込む。藤岡も今度はそれをしっかりと受け止めた。
「うん…。」
ハルカもちゃんと答えようとしたが、嬉しさのあまり口が上手く動かなく、小さな涙声しか出なかった。
しかし、それとは反対に藤岡の背に回した腕の力はとても強いものだった。
しばらく時間が経つと、2人はお互いの顔を見つめ合うと、互いの唇を静かに重ね合った。

部屋が静寂に包まれて間もなく、ハルカは積極的に藤岡の口に舌を入れ始めた。
藤岡が奥手なハルカの思いがけない行動に戸惑っているのをよそに、
ハルカの舌は藤岡の口の中を隅々まで動き回る。
藤岡の舌を感知すると、お互いの舌と舌を積極的に絡め合わせようとする。
「…んっ。」
口を離しても、お互いの口はまだ粘液の糸で繋がっていた。
「藤岡君…。」
恍惚とした顔を浮かべ、ハルカは藤岡をじっと見る。
「ハルカさん…、いいんですね?」
鈍い藤岡でもハルカが今何を要求しているかはわかる。
ハルカが無言で頷くのを確認すると、優しくハルカを押し倒した。

上着をたくし上げ、胸を露出させる。ブラジャー越しにハルカの胸に手を添え、揉み始めた。
「ん…!」
その程度のことでも、この手の刺激には慣れていないのか、わずかばかりの反応を見せる。
藤岡も少しずつ力を入れ、刺激を強くする。



「藤岡君…、もっと……、直に触ってぇ…。」
背中を若干浮かせながら反らし、ブラジャーを取るように催促する。
藤岡は催促に従い、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外し、ハルカの乳房を露にした。
自分からそうするように促したものの、やはり直に見られるのは恥ずかしいのか、ハルカは顔を両手で隠す。
「綺麗ですよ、ハルカさん。」
ハルカの両手をどかし、ハルカの表情を窺う。
顔を見られたからか、藤岡の言葉に反応したのかは定かではないが、ハルカの顔がより赤くなる。
その仕草を可愛く思い、藤岡は再びハルカの唇に口を付けた。
ハルカも藤岡の首に腕を回し、口付けに懸命に応える。
唇を貪りながらも、胸への愛撫を少しずつ激しいものにする。
胸と唇を同時に責められ、ハルカの快感は高まっていく。
「!! んん!」
今度は下半身の方へと藤岡の手が伸びる。しかも、今度は一気に下着の中に滑り込ませ、大胆に責めてくる。
責められる所が3ヶ所に増え、ハルカは絶頂に近づく。
「ん、……ぷはぁっ! ま、待って!」
唇を離し、下半身を責めている方の手を止め、一度中断させる。

「どうしたんですか?」
「ごめんなさい…、けど藤岡君が凄いから、その、驚いちゃって…。」
実際自分が一方的に責められていることに恥ずかしさを覚えていた。
「あ、あの、この前は自分だけ気持ちよくなってたから、
ハルカさんにも気持ちよくなってもらいたいなぁと思いまして、つい…。」
自分の行動の激しさを指摘されて、藤岡も顔を赤くしてしまった。
そんな藤岡の様子に思わず笑ってしまったが、藤岡なりの気遣いを嬉しく思った。
「ありがとう。でも、どうせならこれで気持ちよくなりたいな…。」
藤岡の股間にそっと触れる。そこにあるものは既に硬くなっている。
「…その、大丈夫ですか? 無理しなくてもいいんですよ?」
「大丈夫、私、したい…。だから、お願い…。」
そこまで言われてしまえば、引くわけにもいかない。
ハルカの寝巻きと下着を丁寧に脱がし、自分も下半身を曝け出した。
「きて…。」
ハルカは風呂場の時とは凄い違いだと、自分をおかしく思った。
ただ今考えると、あの時思い止まったのは恐怖ではなく、藤岡にちゃんと処女を捧げたかったからかもしれない。
「それじゃ、いきます…。」
少しずつ肉棒がハルカの中へと入っていく。藤岡は慎重に奥へ入れていったつもりなのだが、
処女膜はあっけなく破れ、ハルカに痛みをもたらす。
「痛!!」
「! ハルカさん! 大丈夫ですか!?」
見ると股間から血が出ていて痛々しい。藤岡が慌てて引き抜こうとすると、
ハルカの脚が藤岡の腰に回り、それを妨害してきた。



「…大丈夫、すぐに痛みはなくなると思うから。」
「けど…!」
「ありがとう、気にしてくれて。でも、続けて?」
痛いはずなのに笑顔を絶やそうとしないハルカに心打たれた。
ハルカにできるだけ負担をかけないようにと、ゆっくりと腰を動かした。
「…!!」
藤岡は気持ちいいが、ハルカの方はまだ痛みが残っているらしく、
時々快感ではなく、痛みに耐えるような声を上げる。痛みを紛らわせようと、ハルカの唇を自分の唇で愛撫する。
「んふっ!」
痛みよりも快感が上回ったのか、痛みに耐える仕草はなくなってきた。
藤岡も安心して、少しずつ腰の動きを早くしていく。
「あっ ……やぁ、アァッ…!」
ハルカも少しずつ気持ちよさを感じるようになり、快感に喘ぐ声を出し始めた。
このままいけば、やがてハルカも絶頂に達するだろう。
しかし、それまで藤岡の方が持ちそうになかった。
「ハ、ハルカさん! オレ、もう!」
「お願い! このまま出して!」
ハルカの了承を合図に、藤岡はハルカの中に思いっきり射精した。
手でされた時も気持ちよかったが、今回はそれ以上だ。以前よりも長く射精が続く。
まだ抜いていないが、射精した時の快感から、相当出しただろうと確信が持てた。
余韻に浸り、抜こうとすると、再びハルカが藤岡の腰に脚を回してきた。
「………え?」
「ごめんなさい。でも私、まだ満足してなくて…。」
藤岡の返事を待たずに、腰を動かし始めた。



「ごめんね、藤岡君。何度も何度も…。」
「…いえ、気にしないでください……。」
申し訳なさそうに謝るハルカの横で藤岡は力なく、横たわっていた。
あれからどのくらい時間は経ったかわからないが、ハルカが満足するまで付き合わされた。
それは1回の絶頂では済まされず、何度も行われたのだった。
(今まで誰かに甘えられなかった反動なのかな?)
いくら妹達のことが好きとはいえ、それでも辛く思うことはあるのだろう。
そんな思いを少しでも和らげることができたのなら、良かったと思う。
「…ねぇ、藤岡君。」
思いに耽っているとハルカに声をかけられた。
声がした方へ振り向くと、心底幸せそうに微笑んでいるハルカを確認できた。
「これからも、ずっと私と一緒にいてね。」
愛する人の微笑みを絶やすまい、守り抜こうという決意を込め、藤岡はハッキリと返事をした。
「はい!」


最終更新:2008年03月27日 23:45