~5の2~
今日は学校がPTAで2時までしかない!! 何て素晴らしいんだろうか!? さぁて…何しようかな?
「マコト~」
『ん? なんだよ‥シュウイチ? いや…プレーンヨーグルト?』
「そ‥その名前で呼ばないでよ…」
『ああ‥わかった! んで‥何だよ?』
「今日遅刻しただろ? その罰として、先生が正門の掃除しろって」
『ぬわぁにぃぃぃ!? そ‥それは本当か、プレ…シュウイチ?』
「うん。残念ながらね‥」
…なんてこったい! こんな秋晴れの遊び日和に掃除!? なんたる屈辱!
「おーい…リアクション大き過ぎるよ。ま‥そういう事だから、頑張ってね」
『あ‥おい!! シュウイチ! お前は友人を見捨てて行くのか?』
「僕だって‥心を鬼にして言ってるんだ。第一、悪いのはマコトだろ?」
『ぐっ…』
「おっと…もうこんな時間か。じゃ‥行くね。また明日」
……ちくしょう。アイツ‥あんな事言いながら、終始半笑いだったぞ? むかつくなぁ…。はぁ…仕方ないや、行こう。
~正門にて~
うわ‥汚いなぁ。これ全部俺一人でやるのかよ…。めんどくさいなぁ…。
“サッ‥サッ‥サッサッ…”
秋だなぁ‥落ち葉ばっかだ。焚き火したいね。焚き火。
「こんにちは」
『!? こ‥こんにちは!!』
「一人で掃除してるの? 偉いねぇ」
『あ‥ありがとうございます!!』
「大変だろうけど‥頑張ってね」
『ハイ!!』
…PTAの人かな? ヤバい‥やる気出てきた。今なら全てをそつなくこなせる気がするよ!
『よーし! バッチこ~い!!』
《この後、マコトは凄まじい勢いで掃除をしますが、関係無いので割愛します。》
『よーし‥終わったぞ~! ふぅ…自分で自分を褒めてあげたいね!』
「おっ…終わったか。随分キレイにしたな。偉い偉い‥よし! 帰っていいぞ」
『よっしゃあ! 先生、さよなら~!』
「もう遅刻するんじゃないぞ~!!」
『はぁ~い!!』
…イィィャッホォウ!! 俺は自由を勝ち取った! 清々しいぜ! 足取りも軽い軽い♪
ところで‥今何時だ? 学校の見れば良かったな…。いいや! 今からでも遅くはない、めいっぱい遊ぶぞぉ!!
「何‥道の真ん中で両手上げてんだ? お前」
『!? おぉっ、誰かと思えばトウマじゃないか! どっか行くの?』
「ん? チアキの家だけど?」
チアキの家か……。俺も行こうかな?
「おっと…一緒に行く友達待たしてるから、またな!」
『あ? ああ…』
…アイツ、足早いなぁ。もう見えないや…………よし! 決めた! 俺もチアキの家に乗り込むぞ!!
そうと決めたら、いざ行かん我が家へ!!
~マコト家~
『ただいまぁ~!! …誰もいないよな? OK‥早速、姉ちゃんの部屋へ…っと』
“ガチャッ…キィィィ…バタン!”
忍びの基本は…あれ? ええと…『安い、早い、うまい』だっけ?
いやいやいや、それは置いといてだな……おっしゃ、落ち着けマコト! ハルカさんが待ってるぞ?
“ガタガタガタッ…ガサガサ‥ゴソゴソ…”
上着はこれと…これで…下はこれでいいや。よーし! 待ってろよ!! チェンジ!マコちゃんモード!!!
[説明しよう! マコトは10分をヘアスタイルを整える時間に費やす事で、マコちゃんに変身出来るのだ!!]
『な…なんていじらしいんだ、俺? いつもの溢れるダンディズムが嘘のようだ…』
えへっ♪………ヤバい。ポーズが決まり過ぎた。まさに完璧! チアキやハルカさんが気づかないのも無理ないや!
まったく…俺ったら、罪作りな男だぜ…。よーし、マコちゃんいっきま~す!!
~みなみけまでの道~
もう夕焼けか…最近夜になるの早いなぁ。冬が近いのかもな……さぶっ…。
「あら‥マコちゃん?」
…!? こ、この声はまさか!!
「どうしたの? そんな驚いた顔して」
やっぱり…ハルカすわぁん!
「こんな時間にどこか行くの?」
『いや‥これから丁度お宅におじゃましようかと…』
「あっ‥そうなんだ。今日チアキが友達とパジャマパーティーするって
言うから、ご飯たくさん作る予定なの。良かったら、夕飯ご一緒しない?」
ああ‥トウマはだから急いでたんだ…。
「…どうかしら?」
『あ!? え、ええ!! ぜひ! ぜひご一緒させていただきます!』
「そう…よかったぁ。特売日だったから、ついつい買いすぎちゃったのよね…」
『よかったら、手伝いましょうか? 荷物持ちくらいしますよ!!』
「わぁ‥良いの? 助かるわぁ‥ありがと♪」
『お礼を言われるだなんてそんな…』
よっしゃぁぁぁぁぁあ!! ポイントアーーーップ!! ここで男らしいところを……あ。
俺…今、マコちゃんだ。いくら良いところ見せても無駄じゃんか…。
「じゃあ…ごめんね、これ…」
『あ…はい。よっと…』
……お、重っ!? 何入ってんだよ、この中身!!
「あ、もしかして重かった? ごめんね? 無理しなくて良いから…」
『ぜ、全然大丈夫です! 平気です!』
「‥ホント? なら、お願いね?」
『…は‥はい!』
やせ我慢し過ぎたっ! 指千切れる! マジ千切れる!! 痛い痛い痛い痛い痛い!!
「ほ…本当に大丈夫? 持とうか?」
『大丈夫です! やれます! やらせて下さい!!』
「そ‥そう?」
片手で持とうとするから痛いんだ…両手でいこう。‥おっ? 全然痛くない! これなら平気だ♪
「今日はお料理大変そうね…カナだけで大丈夫かしら?」
『…また、むやみやたらにがんばろうとしてるんじゃ?』
「ふふっ…そうかも。カナったら、チアキの事なのに自分の事みたいに張り切っちゃって…」
『でも、そこが‥』
「そう…あの子の良いところなのよね」
《「…へ…へっくし!」
「どうしたバカ野郎? バカは風邪を引かないのではないのか?」
「チアキ…またお前は人を見下して‥許さん! おい、お前たちやっちまいな!!」
「「「「「お~う!!」」」」」
「!? なっ! ば‥バカっ…よせ!!」》
『…やっと着いた』
「マコちゃんお疲れ様。手伝ってくれたお礼に、後でプリンあげるわね」
『あ‥ありがとうございます!!!』
ハルカさん‥なんて優しいんだ! まるで女神!! いや、女神の生まれ変わり!!
「外からなのにすっかり賑やかね‥もう…カナったら一体何してるのよ!?」
『はしゃいでるんでしょ…きっと』
「まったく…注意しなきゃ」
“ガチャガチャ…カチャン……ギィィィ…”
最終更新:2008年02月15日 22:43