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9:10分にはもう三人は宿舎の門の前に出ていた。

「今日は嵐ですか・・・夜が心配ですね。」

──俺が何気なく心配している事と同じ事を?
いや、夜に雷鳴が激しくなるのを心配しているんだろう・・・

「ん?何か気に障りましたか?」

「いや、何でも無い。」

「そうですか。」

「それよりも、早く行かないとバスに乗り遅れちゃうよ?」

「あっ、わりぃわりぃ」

宿舎から学校までの道のりは限りなく近かった。
宿舎の門を出たら真っ直ぐ50m進んだ所にあるバス停に行き、バスに乗れば一つで学校前に着くという方向音痴でも確実に行ける登校道だった。
そして、バス停に着いたら忍は4ポンドを入れて、三人分のバスの切符とお釣りを取った。

「はい。これエリズさんとキルスさんの分です。」

忍はエリズとキルスに切符を渡した。エリズは何だか忍に悪い思いをさせてしまってる感じがしたので「おごってもらっていいのか?」と情けをかけた。

「大丈夫だって!忍君は一応大金持ちだし!」

忍に聞いてるのにキルスが勝手に答えた事にエリズは突っ込みたい気持ちになったが、それも悪い気がしたので「はぁ・・・」と言った。

それから1分後にバスが来たので切符を渡した後、三人で同じ席に座った。

「そういえば、中一の始めくらいまで日本に住んでいたのですが、その時の登校の電車は、正に地獄絵図でした。」

「え?」

エリズは言ってる内容自体よりも、あのタイプでこんな事を言う事に驚いた。

「まず、朝って基本体力が整っていませんよね?」

「ああ・・・、今もだけどな。」

「それにも限らず、日本の朝の電車の中は中身を振ったコーラーのように満員でした。日本だけに限りませんが」

「電車ってここでいうチューブと同じ?それよりも、満員電車ってそんな暑苦しかったの!?」

「はい。もう、息すら困難になるくらい。後、電車はここでいうチューブと同じですよ。」

「ふ~ん。」

「あっ、そろそろ学校前に着くみたいだぜ?」

「あっ、すっかり忘れていました。
それにしても、あれに比べてのバスは空気もさわやかですね。」

忍の解放されたような声にエリズとキルスは軽く笑った。
そして、ドアが開く直後に三人はバスに降りた。

バスを降りた目の前には実に豪華な学校が建っていた。

──すげぇ・・・

中学の時の学校よりも遥かに巨大で綺麗な学校に夢中になった。

「どう?気に入ってくれた?これが私たちの学校の『ラッシェード学園』」

キルスは期待しながらいった。

「確かに想像を絶する程だったぜ。でも、今時学校が気に入るなんて珍しいなぁ。」

キルスは首を横に振った。

「違うよ。学校よりも友達が良かった。バーヴィズ君、忍君、そしてサングスちゃんの他にも、もっと居るけど、またあらゆる場所での退屈を潰す存在──
つまり友達だね。それが増えたのが最近一番嬉しい事。」

「ふ~ん」

校門に入った所──

「これが、校門の前の広場。
芝生が生えてて噴水もあるから良くカップルを見かけるんだ。」

「へぇ~、確かにドラマの恋愛シーンとかで良く見そうなスポットだなぁ。」

「僕も良く、女の子達にここまで連れて来られそうになったりします。」

「え!?お前やっぱりモテてたの!?」

エリズは忍がモテるとは予想はしたが、まさか自分の予想が当たっていたとは思わなかった。

「はい。昼休み、放課後、そして休日までも色々と誘われたりします。」

「モテるって大変なんだなぁ・・・」

「はい。全くです・・・ですからって、不細工になるわけにもいかないし・・・」

少し気まずい空気が流れたので、エリズは話を反らす事を決めた。

「ところで、大きい校舎が東、西、北に三つあるんだが・・・アレって何なんだ?」

「あれは東校舎は中学生専用の校舎でいくつかの専科専用の教室もあるよ。
西校舎も根本的には東校舎と同じだけど違うのは高校生専用っていう所。
北校舎は・・・まぁ、体育館みたいな物かな?他にも剣道場とかもあるけど」

余りにも説明が不十分過ぎたのでエリズは余り良く理解できなかった。

「とにかく、西校舎の一階のD組がエリズさんや僕ら、サングスさんとバーヴィズさんの担当クラスです。」

この一言でキルスのいったことが少しだけ理解できた。



あの後、指定のクラスまで辿り着き時刻も8:30になった──

席を把握すると、エリズは丁度真ん中の席に居た。
エリズの隣の席にはサングス
窓側にはキルス
一番前の席には忍
一番後ろの席にはバーヴィズがいた。

──当たりくじを引いたようだな。

エリズは自分の席の位置に満足していた。
教室がざわついてる中で、日本人みたいな男が教室に入った。

──あっ、先生だ

そのような声が周りから聞こえたと同時に全員着席していた。

「みなさんおはよう御座います。」

教師はいかにも礼儀正しかった。

──生徒までにこんな礼儀が正しいなんて珍しい先生だな・・・

「えっと・・・
今日からこのクラスの担任を務める数学の『狭川 麗十』です。
本来ならもっと紹介をしたかった所ですが、あいにく時間が無いので自己紹介は後回しで、講堂まで先にいきましょう。」


狭川に従い、講堂で始業式が始まった──

全員が講堂まで綺麗に集まった途端に司会の声が聞こえた。

「これから、ラッシェード学園の始業式を始めます。
まずは、高校1年生代表のサングス・アルバードさんの紹介から──」

「あれ?あいつそんなに重要な仕事してたのか?」

エリズは自分の知り合いが出た事に驚きながら言った。

「まぁ、一応立場が立場だし・・・」

キルスは返事に困っていたのに無理やり答えた感じだった。
エリズは何と無く「ふ~ん」と答えた。


それから長い始業式は終わった──

「あっ~、ケツの骨が・・・」
エリズは余りにも長い始業式に座りすぎたので骨板に負担が掛かったらしい
「私ももう少しでなる所だったよ・・・」
「やっぱり、精神がいりますよね。こういうのって」


それから先生から教材を渡されだけで今回の学校は終了した──



始業式の日から次の日になるまで一時間がたった──

当然、キルスと忍は何気なく暇を潰していた。
しかし、エリズは考え事をしていた。

その理由は三つ──

第一に──
この都市では、嵐の日の24時から午前3時迄は外出禁止令が出されていたからだ。
その上、外の音・景色も見てはいけないという厳重な物だった。
しかし、2009年の科学の進歩はロンドンの科学者により予想が付かない程に進歩し
た為、それ自体は簡単だった。

第二に──
その嵐の日の24時前の直前なのに未だに、サングスとバーヴィズが帰ってきてない。

第三に──
そこまで関係は無いが、忍に『今夜は申し訳ありませんが外出禁止令が終わるまでは寝ないで下さい』と言われた。

そして、考えた結果──

「なぁ、忍」

エリズは念の為、いつもの顔で話した。

「何ですか?エリズさん。」

「質問があるんだが──」

「外出禁止令の事でしょう?」

──!!

エリズは目を少し大きく開いた。

「口で説明するのは難しいので夜まで待っていてください。」

忍は無邪気な笑みを見せながら言った。
しかし、エリズは今日の終わりの瞬間に、僅かに恐怖心を持った。

──24時まで後5秒だ!

時計の秒針が音を立てながら動いている。
エリズにはそれがゆっくり感じた。


その頃には、サングスとエリズは未だに外を歩いていた。

「全く──
雨の日は服が濡れて困るわ──」

「後5秒だ。
そろそろ来るぞ。」

「ええ──」


── 5、4、3、2、1・・・

「ゼロ」

エリズは思わずカウントダウンの最後の数字を口に出したと同時に心の中で鐘の音が開いた。

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最終更新:2008年10月20日 18:19